地水師  坎下、坤上
「戦いの道。指導者の苦しみ。」
波乱、変動、多事多難の象。
私利私欲に走らず、功を焦らず、小細工を弄せず、中道を守れば、成果をあげる。

中吉
「師」は戦、それも小競り合いではなく大軍を動員する戦争です。戦は回避すべきでありますが、大儀の為戦争せねばならない時もあります。しかし正義の戦でも大きな犠牲を伴うので、そのリーダーは人格者でなければ人は付いてこない、これがこの卦の大意です。
「師は憂う」とあります。この卦の時は争いごとなどで平穏ではなく、苦労が多いでしょう。人と協力して乗り越えて行く時です。
「願いごと」ー困難多くすぐにはかなわず。忍耐し努力すれば、やがてとおる。
「商ごと」ー困難多く急には進まず。急がず、期を窺い果断に決行すれば利あり。
「相場」ー波乱。
「受験」ー不成績の傾向。
「病気」ー病状波大きく、危険な状態になるもあり。養生に努めれば回復の可能性あり。
「就職」ー望み少なし。
「天気」ー定まらず。
「旅行」ー災難の危険あり、見合わすべし。
「開業」ー危うし。見合わす方がよろし。
「転業、移転」ー見合わすべし。
「失物」ー盗難の象。出でず。
「方角」ー北、東北。
「色」ー黄灰色
「初爻変爻」の場合:
  正義の戦いと言えども出陣に当っては全軍の調和、規律がとれていなければならないように、如何なる問題に対処するにも関係者が心を一つにして取り組まねばなりません。

「二爻変爻」の場合:
  進んで問題解決に当たり功を奏するでしょう。重責に抜擢され苦労するかもしれません。

「三爻変爻」の場合:
  「戦死者の遺体を運ぶことになり、凶」とあります。無理に進めば傷つきます。

「四爻変爻」の場合:
  「退却するのがよろしい」とあります。作戦間違いか力不足か、いずれにしろ退却です。

「五爻変爻」の場合:
  妨害されたり危害を加えられたりするのを防がねばなりません。
  しっかりした人を頼るのが良いでしょう。

「六爻変爻」の場合:
  戦の終わりです。懸案問題の解決を見ます。
  戦後処理を適切にすることが大切です。とくに人の処遇に十分気を配ることが必要です。


師は貞にして、丈人なれば吉にして、咎なし。

彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能(よ)く衆をひきいて正しければ、以って王たるべし。
剛中にして応ず、険を行いて順なり。これをもって天下を毒(くるし)め、而も民これに従う。吉にして、なんの咎あらん。

象に曰く、地中に水あるは師なり。君子は以って民を容(い)れ衆を蓄う。

初六:師は出づるに律をもってす。否(しか)らざれば臧(よ)きも凶なり。
   象に曰く、師は出づるに律をもってすとは、律を失えば凶なるなり。
九二:師に在りて中す。吉にして咎なし。王三度命を錫(たま)う。
   象に曰く、師に在りて中す、吉なりとは、天寵を承くるなり。王三たび命を錫うとは、万邦を懐(なつ)くるなり。
六三:師あるいは屍を輿(の)す。凶なり。
   象に曰く、師あるいは屍を輿すとは、大いに功なきなり。
六四:師左(しりぞ)き次(やど)る。咎なし。
   象に曰く、左き次る、咎なしとは、いまだ常を失わざればなり。
六五:田(かり)して禽(えもの)あり。言(これ)を執(と)るに利(よ)ろし。咎なし。
   長子師を帥(ひき)ゆべし。弟子なれば屍を輿す。貞なるとも凶なり。
   象に曰く、長子師を帥ゆべしとは、中行なるをもってなり。弟子なれば屍を輿すとは、使うこと当たらざればなり。
上六:大君命あり。国を開き家を承けしむ。小人は用うるなかれ。
   象に曰く、大君命ありとは、もって功を正すなり。小人は用うるなかれとは、必ず邦を乱ればなり。


<最初のページに戻る>