地天泰  乾下、坤上
「天下泰平。順風にはらむ帆。」
運気安泰。諸事順調。運勢は波であることを忘れぬように。
盛運に安心し、慢心、気のゆるみの無いように注意、努力すれば盛運を保持できる。

中吉
「泰(たい)」は泰平や安泰の泰で、安らか、と言う意味が有ります。この卦の形は上昇する「天」が下に、下降する「地」が上に有り両者ががっちりと交わる形で、易の理想の形の一つであり、易者の看板にもよく使われています。運勢も文字どおり安泰です。
しかし、今安泰であるということは、これから安泰でない方向に向かうのが自然の成りゆきです。今の安泰の状態を維持するため余程努力を重ねることが必要です。だから大吉とはならないのです。
「願いごと」ー成就す。
「商ごと」ー順調に運びて大利あり。
「相場」ー高値圏。やがて下がる。
「受験」ー好成績。慢心に注意
「病気」ー順調に回復し程なく全快する。安心に注意。
「就職」ー順調に進む。
「天気」ー晴れ。後に崩れる。
「旅行」ー平穏な旅。注意を怠りぬこと。
「開業」ーよろし。
「転業、移転」ーよろし。
「失物」ー出ず。
「方角」ー西北、西南。
「色」ー黄、白


「初爻変爻」の場合:
  「泰」の最中です。万事快調です。仲間と連れ立ち事を成し良い成果を挙げます。
  高い地位に引き立てられることもあります。外に向け力を発揮する時です。

「二爻変爻」の場合:
  「泰」の最盛期です。今の状態を維持するため相当な努力をする時です。
  新規にことを始めたりせず現状を固め、内の充実に努めるのがよろしい。

「三爻変爻」の場合:
  平かなるものにして陂(かたむ)かざるはなく、往くものにして復(かえ)らざるはなし、です。
  「泰」の終期です。これまで順調に来たことに陰りが出ます。じたばたすることはありません。
  運勢とはそう言うものだと考え、事態の収拾に努力するのがよろしい。

「四爻変爻」の場合:
  「翩翩(へんぺん)として富めりとせず」、我こそは、などと思わず蝶のように軽やかにわが身を処しなさい。
  衰運の始まりです。自分の分限をわきまえて無理をせぬことです。
  人を信頼して任せるとうまく行くかも知れません。

「五爻変爻」の場合:
  かつての隆盛のころと同じようにするのは無理です。
  今の状態を認識し、自分は一歩退いて叉の盛運のときを待つことです。

「六爻変爻」の場合:
  「城壁が崩れ平地となる、戦をしてはならない」とあります。
  盛運の終わりです。挽回策を考えるより、如何にうまく撤収するかを考えることです。


泰は小行き大来る。吉にして享(とお)る。

彖に曰く、泰は小行き大来る、吉にして享(とお)るとは、すなはちこれ天地交わりて万物通ずるなり。
内陽にして外陰なり、内健にして外順なり、内君子にして外小人なり。君子は道長じ、小人は道消するなり。

象に曰く、天地交わるは泰なり。后(きみ)もって天地の道を財成し、天地の宣を輔相し、もって民を左右す。

初九:茅を抜くに茄たり。その彙(たぐい)と以(とも)にす。征(ゆ)くも吉なり。
   象に曰く、茅を抜く、征くも吉なりとは、志外に在ればなり。
九二:荒を包(か)ね、河を馮(かちわた)るを用い、遐(とお)きを遺(わす)れず、朋亡ぶれば、中行に尚(かな)うを得ん。
   象に曰く、荒を包ね、中行に尚うを得んとは、光大なるをもってなり。
九三:平かなるものにして陂(かたむ)かざるはなく、往くものにして復(かえ)らざるはなし。
   艱(くるし)みて貞にすれば咎なし。その孚を恤うるなかれ。食において福あらん。
   象に曰く、往くものにして復らざるはなしとは、天地の際なればなり。
六四:翩翩として富めりとせず、その隣と以にす。戒めずしてもって孚あり。
   象に曰く、翩翩として富めりとせずとは、みな実を失えばなり。戒めずしてもって孚あるは、中心より願えばなり。
六五:帝乙(ていいつ)妹を帰(とつ)がしむ。もって祉(さいわい)ありて元吉なり。
   象に曰く、もって祉ありて元吉なりとは、中もって願いを行うなり。
上六:城隍(ほり)に復(かえ)る。師(いくさ)を用うるなかれ。邑より命を告げんのみ。貞なれども吝なり。
   象に曰く、城隍に復るとは、その命乱るるなり。


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