山地剥  坤下、艮上
「崩れ落ちる山。忍び寄る危機。」
運勢衰亡のとき。
守勢に徹して身を慎み、状況判断を厳しくし、時至るのを待つべし。


この卦の形は、下の方から陽が陰にとって代わり最後の一陽が頑張っている、と見ることが出来ます。雨水に侵食され崩れて行く山です。
「剥(はく)」は剥落とか剥奪とか言うように剥がれる、剥がす、と言う意味です。衰運の象です。「行くところあるによろしからず」です。何をしてもうまくいきません。じたばたせず時を待つしか有りません。
ただ、あなたが人の物を奪おうというのなら、チャンスかもしれませんが。
とんだ災難に要注意です。
「願いごと」ーかなわず。
「商ごと」ー損失増大す。撤退し時節を待つこと。
「相場」ー暴落。
「受験」ー不成績。
「病気」ー危険な状況。
「就職」ー望みなし。時節を待て。
「天気」ー風雨。雪崩。
「旅行」ー災難あり。出立は禁物。
「開業」ー時期を得ず。無理は禁物。
「転業、移転」ー止めるべし。時期を得ず。
「失物」ー出ず。盗難か。
「方角」ー東北、西南。
「色」ー黄灰色
「初爻変爻」の場合:
  寝ているベッドの足を切られる、とあります。気付かぬところで危険が迫っています。
  油断なりません。

「二爻変爻」の場合:
  ベッドの台が切られる、とあります。一層危険が迫っています。早急に危機回避をすることです。

「三爻変爻」の場合:
  危うく難を免れるでしょう。昔の仲間と手を切るのが良いことがあります。

「四爻変爻」の場合:
  寝ている膚を切られる、切に災に近きなり、とあります。すぐそこまで危険が迫っています。
  どうこう言わず逃げるのが先決です。

「五爻変爻」の場合:
  仲間がついて来ますがいざと言う時は頼りになりません。

「六爻変爻」の場合:
  最後に残った一陽です。間違った世を正す力があれば支持を得ますが、そうでなければ自分の家まで剥ぎとられます。
  この危機を乗り越えれば明るさを取り戻せます。毅然と頑張り通し悪を退ける時です。


剥は行くところあるに利(よろ)しからず。

彖に曰く、剥は剥(は)ぐなり。柔、剛を変ずるなり。行くところあるに利(よろ)しからずとは、小人長ずればなり。順にしてこれに止まるは、象を観るなり。
君子の消息盈虚(えいきょ)を尊ぶは、天の行いなればなり。

象に曰く、山の地に附くは剥なり。上はもって下を厚くし宅を安んず。

初六:牀(しょう)を剥するに足を以てす。貞を蔑(ほろ)ぼす。凶なり。
   象に曰く、牀を剥するに足を以てすとは、もって下を滅ぼすなり。
六二:牀を剥するに弁を以てす。貞を蔑(ほろ)ぼす。凶なり。
   象に曰く、牀を剥するに弁を以てすとは、いまだ与(くみ)するものあらざるなり。
六三:これを剥す。咎なし。
   象に曰く、これを剥す、咎なしとは、上下を失えばなり。
六四:牀を剥するに膚を以てす。凶なり。
   象に曰く、牀を剥するに膚を以てすとは、切に災に近きなり。
六五:魚を貫き、宮人をもって寵せらる。利(よ)ろしからざるなし。
   象に曰く、宮人をもって寵せらるとは、終に尤(とがめ)なきなり。
上九:碩(おお)いなる果(このみ)食われず。君子は輿を得、小人は廬(いおり)を剥す。
   象に曰く、君子は輿を得とは、民の載するところたるなり。小人は廬を剥すとは、終に用うべからざるなり。


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