山天大畜  乾下、艮上
「大いなる蓄積。」
進まんとはやる心を抑え、エネルギーを蓄えるとき。
やがてこの蓄積された力がほとばしり出る時が来る。

大吉
「大畜」は大いに蓄える、という意味です。何のために蓄えるかと言えば、自分のためよりは、世のため人のために役立つように蓄えるのです。蓄えるものは財産、知識、体力、技術などいろいろです。未だ蓄えが不十分なら頑張って蓄えてください。もう蓄えが十分ならその蓄えを外に向かって放出し、役立てるときです。
これまで苦労を蓄えてきたなら、それが報いられ成就すると考えられます。まだ苦労が足りぬときはいま少し努力が必要です。
「願いごと」ー今は思い通りに進まぬもやがてはかなう。
「商ごと」ー今は力を蓄えるべし。
「相場」ー伸び悩むもやがて高騰す。
「受験」ー更なる努力が好成績を生む。
「病気」ー今は危機も養生に勤めれば全快する。
「就職」ーやや長引くも結果よろし。
「天気」ー不良後回復する。
「旅行」ー出だしは問題あるもやがてよろし。
「開業」ーよろし。
「転業、移転」ー進めてよろし。
「失物」ー間もなく出る。
「方角」ー東北、西北。
「初爻変爻」の場合:
  危うきことあり、止むによろし、とあります。
  実力不足、準備不足などまだ機は熟していません。無理に進むと危険です。

「二爻変爻」の場合:
  車の車軸が外れ、進めないのが幸い、とあります。
  進みたいところですが、まだ機熟せず、いま少し待つのが良いでしょう。

「三爻変爻」の場合:
  蓄えは既に十分ですが、なお一層自重し蓄えればより大きい発展が得られます。

「四爻変爻」の場合:
  何事にも大いに進展します。万事吉です。

「五爻変爻」の場合:
  去勢豚の牙みたいなものだ、とあります。
  何だかだとあっても、まあ、吉でうまく行くでしょう。

「六爻変爻」の場合:
  天の衢(ちまた)を何(にな)う、とあります。難しい文言ですが、まあ、威勢の良い状況です。
  大いに蓄えたものが大いに役立つときです。何事にも良い成果を得ることが出来ます。


大畜は貞によろし。家食せずして吉なり。大川を渉によろし。

彖に曰く、大畜は剛健篤実にして輝光あり。日々にその徳を新たにす。剛上りて賢を尚とぶ。
よく健を止むるは大正なり。家食せずして吉なりとは、賢を養えばなり。
大川を渉によろしとは、天に応ずればなり。

象に曰く、天の山中にあるは大畜なり。君子もって多く前言往行を識し、以ってその徳を養う。

初九:氏iあや)うきことあり。止むに利(よ)ろし。
   象に曰く、獅、きことあり、止むに利ろしとは、災(わざわ)いを犯さざるなり。
九二:輿(くるま)輹(とこしばり)を説く。
   象に曰く、輿輹を説くとは、中にして尤(とが)なきなり。
九三:良馬逐(お)う。艱(くるし)みて貞なるに利ろし。日々に輿衛を閑(なら)えば、往くところあるに利ろし。
   象に曰く、往くところあるに利ろしとは、上志を合わすればなり。
六四:童牛のつのぎなり。元吉なり。
   象に曰く、六四の元吉なるは、喜びあるなり。
六五:賁豕(ふんし)の牙なり。吉なり。
   象に曰く、六五の吉なるは、慶あるなり。
上九:天の衢(ちまた)を何(にな)う。亨る。
   象に曰く、天のちまたを何うとは、道大いに行わるるなり。


剛上りて(剛上にして)賢を尚び、能(よ)く健を止むるは大正なり(大いに正し)。
一番上位に居る者が地位や力を驕らず、賢者を大切にし、更に徳力を蓄積し、天下のためにこれを用いる、これこそ正しい政治の道である、ということですが、 これが「大正」の年号の典拠となっています。
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