水火既済  ーー離下、坎上
「完成した状態。功なり名遂げた人。」
完成、成功、念願成就の状態であるが今後下り坂に向かう。初めは良くあと悪くなる象。心引き締めて良い状態を保つ努力が必要。
身内同士のいさかいに注意。

中吉
「既済(きせい)」とは既に成る、全て整う、と言う意味です。
左上の卦の形を見て下さい。下から一爻、二爻、と数え、一番上が六爻です。易では奇数は陽、偶数は陰、としています。この卦は、奇数の1、3、5爻が陽で、偶数の2、4、6爻が陰と、爻の位置とその陰陽が全て対応しています。この卦は易の一つの理想の形であります。そこでこの卦は「既済」すなはち、全て整う、です。
しかし、整い過ぎているのでどう変化しても今より悪い方になります。運勢も今の良い状態をできるだけ保持するよう努めなければなりません。
(概説)
「願いごと」ー初め順調に進むも不断の努力が必要。
「商ごと」ー初めの好調に気を許すな。
「相場」ー先下する。
「受験」ー出だしは調子良けれど気を許して失敗せぬように。
「病気」ー回復に向かうも気をゆるさず養生に努めること。
「就職」ーうまく行きそうで失敗する。
「恋愛」ー初め良さそうでも長続きせず。
「天気」ー好天なれども悪くなる。
「旅行」ー旅行中注意を怠るな。
「開業」ー時を待て。
「転業、移転」ー見合わすがよろし。
「失物」ー見つからず。
「方角」ー南、北。
「初爻変爻」の場合:
  今の成果で一応満足し現状維持に努めること。これ以上進もうとすると窮します。

「二爻変爻」の場合:
  小さいつまずきがかえって身の助けになります。焦らずゆっくり構えているのがよろしい。

「三爻変爻」の場合:
  現状に不満を持って無用に動くと窮します。平穏無事が何よりです。
  遠方の国を攻めて3年がかりでやっと勝つが疲れ果てる、とあります。

「四爻変爻」の場合:
  安泰の時期が過ぎつつあります。気を引き締め危機に備える時です。

「五爻変爻」の場合:
  見栄や外聞を捨て質素倹約を図る時です。

「六爻変爻」の場合:
  盛運の時期は終わり、今は衰運の時です。無理をすると危うい。まず身を守ることが第一です。


既済は、小(すこし)く享る。貞に利ろし。初め吉にして終わりは乱る。

彖に曰く、既済の小(すこし)く享るは小なるもの享るなり。貞に利ろしとは剛柔正にして位当たればなり。初め吉なるは柔中を得ればなり。終わり止まれば乱るとは、その道窮まればなり。

象に曰く、水火の上に有るは既済なり。君子は以って患を思い、あらかじめこれを防ぐ。

初九:その輪を曳き、その尾を濡らす。咎なし。
   象に曰く、その輪を曳くとは、義として咎なきなり。
六二:婦そのふつを喪しなう。逐(お)うことなかれ。七日にして得ん。
   象に曰く、七日にして得んとは、中道をもってなり。
九三:高宗鬼方を伐(う)つ。三年にしてこれに克(か)つ。小人は用うるなかれ。
   象に曰く、三年にしてこれに克(か)つとは、憊(つか)れたるなり。
六四:繻(ぬ)るるとき衣如(いじょ)あり。終日戒しむ。
   象に曰く、終日戒しむとは、疑うところあればなり。
九五:東隣の牛を殺すは、西隣のやく祭して、実にその福を受くるにしかず。
   象に曰く、東隣の牛を殺すは、西隣の時なるにしかざるなり。実にその福を受くるとは、吉大いに来るなり。
上六:その首を濡らす。氏iあやう)し。
   象に曰く、その首を濡らす、獅オとは、なんぞ久しかるべけんや。


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