風山漸  ーー艮下、巽上
「着実な成長。飛び立つ鳥。」
漸進、正しい順序を追って次第に進む、の意。山上の木が次第に成長して広大になる様。
運気は次第に開ける。女性の嫁ぐに吉。

中吉
この卦は、鴻(おおがも)が岸辺から木に登り、大空に飛び立つ順を説明して、一歩一歩進む、手順を踏んで物事を進めるのがよろしい、と言っています。
調子良く進む時はついつい気がはやり手順を飛ばし勝ちになることを戒めてもいる訳です。女の嫁ぐに吉、と書かれているのも、ついつい行き過ぎにならないように気をつけなさいよ、手順を踏んで結婚するのがよろしいですよ、と注意している訳です。この注意を守れば運気は大いに発展します。
(概説)
「願いごと」ー急がず待てば次第にかなう。
「商ごと」ー次第に成功を収める。
「相場」ー次第に上昇する。
「受験」ー着実に向上する。
「病気」ー次第に回復し、やがて全快す。
「就職」ー急にはかなわぬも待てばかなう。
「恋愛」ー焦らず手順を踏んで進めばよろし。
「天気」ー上昇模様。
「旅行」ーよろし。
「開業」ーよろし。焦るべからず。
「転業、移転」ーよろし。
「失物」ー気長に探せば出る。
「方角」ー東南、東北。
「初爻変爻」の場合:
  ことの始まりです。運気もこれから開けるところです。急がず、無理をしないように。

「二爻変爻」の場合:
  利益を得たり、収入が増えたりしても、自分だけ良い思いをしないこと。

「三爻変爻」の場合:
  手順を踏まずに進んだツケが廻って来ます。自己過信や私利に走れば悪い結果となります。
  止まって方針の修正が必要です。

「四爻変爻」の場合:
  運気上昇の過程でのひと休み、ちょっと不安定な状況です。慎重に乗り越えることです。

「五爻変爻」の場合:
  多少の困難が有っても頑張り通せばやがて良い結果が得られるでしょう。

「六爻変爻」の場合:
  鴻が大空に飛び立つ、とあります。努力の甲斐有って発展の時です。


漸は、女の嫁ぐに吉なり。貞に利(よ)ろし。

彖に曰く、漸の進むや、女の嫁ぐに吉なり。進んで位を得、往(い)きて功あるなり。進むに正をもってし、もって邦を正すべきなり。その位剛にして中を得るなり。止りて従い、動いて窮まらざるなり。

象に曰く、山の上に木あるは漸なり。君子もって賢徳に居りて俗を善くす。

初六:鴻干(みずぎわ)に漸(すす)む。小子は氏iあやう)し。言あれども咎なし。
   象に曰く、小子は獅ォは、義として咎なきなり。
六二:鴻磐(いわ)に漸む。飲食かんかんたり。吉なり。
   象に曰く、飲食かんかんたりとは、素飽(そほう)せざるなり。
九三:鴻陸に漸む。夫征きて復らず。妻孕みて育(やしな)わず。凶なり。寇(あだ)を禦(ふせ)ぐに利(よ)ろし。
   象に曰く、夫征きて復らずとは、群醜を離るるなり。妻孕みて育わずとは、その道を失えばなり。
   以て寇を禦ぐに利ろしとは、順にして相い保てばなり。
六四:鴻木に漸む。あるいはその桷(たるき)を得。咎なし。
   象に曰く、あるいはその桷を得とは、順にしてもって巽なればなり。
九五:鴻陵(おか)に漸む。婦三歳まで孕まず。終にこれに勝つことなし。吉なり。
   象に曰く、終にこれに勝つことなし、吉なりとは、願うところを得るなり。
上九:鴻逵(き)に漸む。その羽をもって儀となすべし。吉なり。
   象に曰く、その羽をもって儀となすべし、吉なりとは、乱るべからざるなり。


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