巽為風  ーー巽下、巽上
「風に漂うタンポポのように。柔軟至極。」
人に従い、状況に従い進むよう心掛ければまずまず無難に進む。但し従うべき人を見、状況を適切に判断することが必要。
焦らず沈着冷静な判断が必要。

小吉
「巽(そん)」は謙遜の「遜」と同じでへりくだる、と言う意味です。また下に入り込む、下から入り込む、というような意味もあります。
この卦は風の象徴です。風が障害物を回り込み、狭い隙間を通り抜け、何処にでも入り込んでいくように、身を低くして、柔軟な方針で目的を達成する、ということです。 しかし悪くすると、中心が定まらず、ご都合主義であったり、気まぐれトンボだということでもあります。また住居や職業、身分などが安定しないということもあります。 風のようにさっと来て利益を上げ、さっと引き上げる、というのがこの卦の神髄でしょう。
(概説)
「願いごと」ーまずまずかなう。
「商ごと」ー機敏に動いて利をうる。
「相場」ー波乱。
「受験」ー波が有るがまずまずの成績。
「病気」ー長引くが急には悪化せず。
「就職」ー人を頼ればまずまずの結果を得る。
「恋愛」ー無理をせずばそこそこに進む。
「天気」ーまずまずの天気なれど風強し。
「旅行」ーよろし。
「開業」ー無理をせずばそこそこに成功する。
「転業、移転」ー無理をせずばよろし。
「失物」ーすぐには出ず。
「方角」ー東、南。
「初爻変爻」の場合:
  いつまでも決断できずに迷うことがあります。焦らず、腰を据えて取り組むのがよろしい。

「二爻変爻」の場合:
  いろんなことで紛糾することがあります。慎重に、気長に取り組めば徐々に開けてきます。

「三爻変爻」の場合:
  意志薄弱であっちに付いたりこっちに付いたりして結局窮地に陥ります。
  しっかりした方針を立てることです。

「四爻変爻」の場合:
  柔軟な方針で目的を達成する、この卦の良いところが発揮されます。

「五爻変爻」の場合:
  初めは思うように進まないが根気よく続けることで功を奏します。
  途中で投げ出すことのないように頑張って下さい。

「六爻変爻」の場合:
  へりくだり過ぎてかえってうまく行きません。一旦撤退し方針を立て直すのが良いでしょう。


巽は、小(すこ)しく亨(とお)る。行くところあるに利(よ)ろし。大人を見るに利ろし。

彖に曰く、重巽はもって命を重ぬるなり。剛は中正に従いて志行われ、柔はみな剛に従う。ここをもって小(すこ)しく亨(とお)り、行くところあるに利(よ)ろしく、大人を見るに利ろしきなり。

象に曰く、随風は巽なり。君子もって命を重ね事を行う。

初六:進み退く。武人の貞に利(よ)ろし。
   象に曰く、進み退くとは、志疑うなり。武人の貞に利ろしとは、志治まるなり。
九二:巽(したが)いて床下にあり。史巫を用うること紛若たれば、吉にして咎なし。
   象に曰く、紛若たるの吉とは、中を得ればなり。
九三:頻(しきり)に巽う。吝なり。
   象に曰く、頻に巽うの吝とは、志窮すればなり。
六四:悔亡ぶ。田(かり)して三品を獲(え)たり。
   象に曰く、田して三品を獲たりとは、功あるなり。
九五:貞なれば吉にして悔亡ぶ。利ろしからざるなし。初めなくして終わりあり。庚に先立つこと三日、庚に後くるること三日。吉なり。
   象に曰く、九五の吉なるは位、正中なればなり。
上九:巽いて床下にあり。その資斧を喪う。貞なれども凶なり。
   象に曰く、巽いて床下にありとは、上窮まるなり。その資斧を喪うとは、正しく凶なるなり。


(役に立つ言葉)
「君子もって命を重ね事を行う。」
組織のリーダーが中正の道に従い行動すれば、みながそれに従い、その志が行われます。
しかし、それだけでは充分では有りません。リーダーはまず自分の意志を明確に伝えねばなりません。君子でなくとも、命令を丁寧に繰り返して後、事を実行に移すことが必要です。
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