風火家人  ーー離下、巽上
「家庭を守る女性。男と女と。」
家族の火を主婦が守る象。
各自がその持ち場を守り、自分の役目をまず果たすことが肝要。
結婚、家庭内の慶びの象。

中吉
「家人」は家庭のこと、そして外に対して内のこと。家族が力を合わせて家庭の繁栄を築く、そんなことを象徴している卦です。また、外で傷つき、或いは疲れ果てた者が家に戻って安らぎを得る、そんな意味の卦でもあります。「家人は女の貞によろし。」とあります。まず女性が中心となって家庭をしっかり守りなさい、ということです。
外に出て行くより内をしっかり守る時です。内輪のことはうまく進むでしょう。
(概説)
「願いごと」ー小事はかなう。
「商ごと」ー順調。
「相場」ー上げ基調。
「受験」ー好成績。
「病気」ー軽症にて順調に回復す。
「就職」ー望みかなう。
「恋愛」ー大変順調です。
「天気」ー穏やか。
「旅行」ー平穏な旅となる。
「開業」ーよろし。
「転業、移転」ーよろし。
「失物」ー家の中をよく探せば出る。
「方角」ー南、南東。

「初爻変爻」の場合:
  まだ準備をする段階です。十分な準備が成功の秘けつです。

「二爻変爻」の場合:
  これまでの方針で更に努力を続けることで成果を上げることが出来ます。

「三爻変爻」の場合:
  「一家の主人が厳しすぎるのも問題だが、女子供がキャッキャと騒ぐのはダメ」とあります。
  あまり強硬過ぎてもうまく行かないが情に流されるのはもっと悪い。

「四爻変爻」の場合:
  「家を富ます。大吉。」です。

「五爻変爻」の場合:
  運勢の強いときです。積極的に進んで成果を上げることができるでしょう。

「六爻変爻」の場合:
  強硬なくらいでうまく行きます。即断即決です。長引くといけません。


家人は、女の貞に利(よ)ろし。

彖に曰く、家人は、女は位を内に正し、男は位を外に正す。男女の正しきは、天地の大義なり。
家人に厳君ありとは、父母之を謂うなり。父は父なり、子は子なり、兄は兄なり、弟は弟なり、夫は夫なり、婦(つま)は婦なり、而して家道正し。 家正しくして天下定まるなり。

象に曰く、風の火より出るは家人なり。君子以って言に物有り、而して行いに恒有り。

初九:有家を閑(ふせ)ぐ。悔亡ぶ。
   象に曰く、有家を閑ぐとは、志いまだ変ぜざるなり。
六二:遂(と)ぐるところなし。中饋(ちゅうき)に在り。貞にして吉。
   象に曰く、六二の吉は、順もって巽なればなり。
九三:家人かくかくたり。氏iはげ)しきを悔いれば吉。婦子喜喜たれば終には吝なり。
   象に曰く、家人かくかくたりとは、いまだ失ならざるなり。婦子喜喜たりとは、家節を失うなり。
六四:家を富ます。大吉なり。
   象に曰く、家を富ます、大吉なりとは、順にして位に在ればなり。
九五:王有家に仮(いた)る。恤(うれ)うるなくして吉なり。
   象に曰く、王有家に仮るとは、交々(こもごも)相愛するなり。
上九:孚ありて威如たれば、終に吉なり。
   象に曰く、威如たるの吉とは、身に反(かえ)るの謂なり。


「男と女と」
「婦人」という用語は差別的だ、というので、「女性」に改めるところも多いそうです。「婦」という文字が「女」と「箒」の組み合わせで、掃除をする女というのが適切じゃない、ということでしょうか。しかし、漢和辞典では、「帚」という字は古くは「飾る」という意味で使われており、婦は家を治め飾る女、という意であると書かれています。
こんな、現在の風潮に対し、易では、男女の役割分担について、このように書いています。

「女は位を内に正し、男は位を外に正す。男女の正しきは、天地の大義なり。父は父なり、子は子なり、兄は兄なり、弟は弟なり、夫は夫なり、婦は婦なり、而して家道正し。」
男に生まれ女に生まれた、兄として生まれ弟として生まれた、それはそれで一つの現実です。逆になろうと思っても、自分だけそのつもりになっても、現実はなにも変わりません。
そして、それぞれの立場として、守るべき持ち場、果たすべき役割を片付けてから次ぎに進む、それが家庭の正しい在り方であり、終には国家安定の基本です。
夫は夫たり、といっても、単に威張っておれというわけではありません。

「誠ありて威如たれば、終には吉なり。」
一家の主たるもの、自らに厳しく、よくわが身を反省し、誠意をもってことにあたり、そのうえで威厳があれば、結果は吉、と易は説いています。


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