雷沢帰妹  ーー震下、兌上
「秋の雷。道ならぬ恋。後宮の女。」
情に走り、正しき道を外れて男女が交わる象。あるいは夫婦不和の象。
この卦は秋の雷のように、時期遅れや、道筋が正常で無いことが問題。

小吉
帰は「とつぐ」の意味、妹は若い女。若い女が嫁ぐ、そのことはまさに天地の大義に沿っています。
「帰妹は天地の大義なり。天地交わらざれば万物興らず。」とあるように、天地が交わらねば万物が生じないように、男女が交わるのは天地の大義であります。
しかし、その手順が間違っているのがよろしくない。
運勢も弱い時です。何ごとにつけ手後れやタイミングを失することになります。無理をせぬこと。特に男女の関係で手順の問題が起ります。
(概説)
「願いごと」ー始め順調に見えても結局失敗になる。
「商ごと」ー目先の利にとらわれ結局は損をする。
「相場」ー目先ほど強くない。
「受験」ー思ったほどの成績にあらず。
「病気」ー一時の回復気配に安心できず。
「就職」ー調子が良さそうでも安心できず。
「恋愛」ー道ならぬ恋。
「天気」ー一時良さそうでも悪天候となる。
「旅行」ー支障多し。見合わすべし。
「開業」ー支障多し。見合わすべし。
「転業、移転」ー支障多し。見合わすべし。
「失物」ー出ず。
「方角」ー東、西。
「初爻変爻」の場合:
  トップを狙わず、二番目、副の立場で満足すればそれなりにうまくいきます。

「二爻変爻」の場合:
  万事に手控えの気持ち、進んで表に出ないこと、でうまくいきます。

「三爻変爻」の場合:
  過大な願望、行き過ぎた要求、一時の欲望などで窮地に陥る危険があります。いずれも自重。

「四爻変爻」の場合:
  チャンスを失した状態です。次のチャンスまで待つのがよろしい。

「五爻変爻」の場合:
  満月に近いが、まだ満月ではありません。今は程々のところで満足することです。

「六爻変爻」の場合:
  あまり良い運勢ではありません。誠意不足、実力不足などで万事うまくいきません。
  無理をせず、時期を待つことです。


帰妹は、征(い)けば凶なり。よろしきところなし。

彖に曰く、帰妹は、天地の大義なり。天地交わらざれば万物興らず。帰妹は人の終始なり。
喜びてもって動く、帰(とつ)ぐところのものは妹なり。征(い)けば凶なりとは、位当たらざればなり。よろしきところなしとは、柔剛に乗ればなり。

象に曰く、沢上に雷あるは帰妹なり。君子もって終わりを永くし破るるを知る。

初九:帰妹に女弟(てい)をもってす。跛(あしなえ)に能(よ)く履(ふ)む。征(ゆ)くときは吉なり。
   象に曰く、帰妹に女弟をもってすとは、恒をもってするなり。跛に能く履むとは、相承くればなり。
九二:眇(すがめ)に能く視る。幽人の貞に利(よ)ろし。
   象に曰く、幽人の貞に利ろしとは、未だ常を変えざるなり。
六三:帰妹に須をもってす。反(かえ)り帰(とつ)ぐに弟をもってすべし。
   象に曰く、帰妹に須をもってすとは、いまだ当らざればなり。
九四:帰妹に期を過ぐ。帰(とつ)ぐを遅(ま)つこと時あり。
   象に曰く、期を過ぐの志は、待つことありて行くなり。
六五:帝乙妹を帰(とつ)がしむ。その君の袂は、その女弟の袂の良きにしかず。月望に幾(ちか)し。吉なり。
   象に曰く、帝乙妹を帰(とつ)がしむ、その女弟の袂の良きにしかずとは、その位中に在り、貴をもって行けばなり。
上六:女筐(かご)を承(う)けて実なく、士羊を割(さ)くに血なし。利(よ)ろしきところなし。
   象に曰く、上六の実なきは、虚しき筐を承くるなり。


(解説)

「帰妹は人の終始なり。」
 雑卦伝には「帰妹は女の終りなり」とあり、女性が嫁いで子供を産むということについての一つの考え方でしょう。

「君子もって終わりを永くし、破るるを知る。」
「始め良ければ全て良し。」の逆で、「始め悪ければ全て悪し。」です。
君子たるもの、遠い先のことまで見通し、始めが悪いとうまく行かないことを知るのです。


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