火山旅  ーー艮下、離上
「孤独な旅人。不安定な状態。」
異国にある旅人の様に孤独で運気不安定な状態。万事に思い通りには運ばぬが自重すれば少しは進む。
身分、住居、対人関係など動きの有る象。
旅行中のように気を緩めず、万事慎重に。

小吉
「雑卦伝」に「親寡なきは旅なり」とあります。親しい人、親しいものなどが少ない、というのが旅の卦の大意です。
「旅」といっても今の観光旅行ではなく昔の旅です。その地域の情報も無く、交通も不便、泊まるところもあてなく、盗賊が手ぐすね引いている、そんな旅です。
この卦の示す運勢も、孤独、孤立無援、不案内、不安定、不足、気苦労、などです。
大きく望みが叶うことは難しく、程々で満足せねばならぬ時です。周りの状況を敏感に察知することが求められます。
遊学というように学問には良い卦です。
ところで、「ティファニーで朝食を」というカポーティの小説をご存知でしょう。その主人公の女性(同名の映画ではヘップバーンが演じましたが)の名刺は「ミス ホリデイ・ゴライトリー (住所)travelling 」でしたよ。
(概説)
「願いごと」ー小事はかなう。高望みは禁物。
「商ごと」ー小利に止めるべし。
「相場」ー不安定。
「受験」ー不成績。
「病気」ー病状安定せず、安心できず。
「就職」ー当分望みなし。
「恋愛」ー互いの気持ちが揺れ動き整わず。
「天気」ー不安定。
「旅行」ーよろし。
「開業」ー慎重に進みてよろし。
「転業、移転」ー慎重に進みてよろし。
「失物」ー出ず。
「方角」ー東北、南。

「初爻変爻」の場合:
  細々した苦労があります。旅の途中の気持ちで、無理をしないように。

「二爻変爻」の場合:
  旅でも金があり仲間があり良い宿が見つかる時。一時の平安と喜びです。

「三爻変爻」の場合:
  旅で宿屋が火事になり仲間を失う、とあります。積極的になるより被害を最小限にくい止める時です。
  火事や災害に注意。

「四爻変爻」の場合:
  それなりの成果は出ますが後が続きません。何かと焦りを感じる時ですが、じたばたせぬこと。

「五爻変爻」の場合:
  少々の犠牲を払っても大きい成果を得ることが出来ます。

「六爻変爻」の場合:
  「旅人先きには笑い、後には号泣す。」と書かれています。
  はじめはうまく行っても、慢心したり気を緩めたりすると号泣することになりますよ。


旅は、小しく亨(とお)る。旅には貞(ただ)しければ吉なり。

彖に曰く、旅は、小しく亨(とお)る。柔、中を外に得て、剛に従う。止りて明につく。ここをもって小しく亨り、旅には貞(ただ)しければ吉なるなり。
旅の時義、大いなるかな。

象に曰く、山上に火あるは旅なり。君子もって明かに慎んで刑を用いて獄を留めず。

初六:旅して瑣瑣(ささ)たり。それその災いを取るところなり。
   象に曰く、旅して瑣瑣たりとは、志窮して災いあるなり。
六二:旅して次(やど)に即(つ)き、その資(かね)を懐(いだ)き、僕童の貞を得たり。
   象に曰く、僕童の貞を得たりとは、終に尤(とが)無きなり。
九三:旅してその次(やど)を焚(や)かれ、その僕童を喪(う)しなう。貞しけれども氏iあやう)し。
   象に曰く、旅してその次を焚かるとは、亦もって傷(いた)まし。旅をもって下に与(くみ)す。その義、喪しなうなり。
九四:旅して于(ここ)に処(お)り、その資斧を得たり。我が心快(こころよ)からず。
   象に曰く、旅して于に処るとは、いまだ位を得ざるなり。その資斧を得たりとは、心未だ快ざるなり。
六五:雉を射て、一矢失う。終にもって誉命あり。
   象に曰く、終にもって誉命ありとは、上におよぶなり。
上九:鳥その巣を焚(や)かる。旅人先には笑い、後には号(な)き叫ぶ。牛を易(さかい)に失う。凶なり。
   象に曰く、旅をもって上にあり、その義焚かるるなり。牛を易に失うとは、終にこれを聞くことなきなり。


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