離為火  ーー離下、離上
「火と火、炎。情熱のあと先。」
火は何かに燃え付いて炎となり輝くように、正しきところについて道を進む心がけを。
物事の成り行き、判断の難しい時。慎重を旨とすること。

中吉
「離」は「麗」と同じで「つく」という意味。
火は必要不可欠であると同時に危険極まりないもの。この卦は、危険の多い時だぞという警告です。火をもてあそぶことの無いように、また美しく光るものに目をくらまさないように、気を付けて下さい。
(概説)
「願いごと」ー誠実を心がければとおる。
「商ごと」ー焦らずに進めば利あり。
「相場」ー上がる。
「受験」ー慎重に取り組めば好成績。
「病気」ー治療に専念すれば全快す。
「就職」ーかなう。
「恋愛」ー情熱にまかせ突っ走らぬようにすればかなう。火遊びは危険。
「天気」ー快晴。
「旅行」ーよろし。調子に乗りすぎぬように注意。
「開業」ーよろし。準備は慎重にすること。
「転業、移転」ーよろし。
「失物」ー良く探せば出る。何かに付いている。
「方角」ー南。

「初爻変爻」の場合:
  まだ夜明けの明るさで、辺りはハッキリ見えません。
  もう少し待って、十分明るくなってから行動するのが良いでしょう。

「二爻変爻」の場合:
  中天に日が昇ったところです。運気の波に乗って進むでしょう。
  好調な今の間にできるだけ仕事を進めることです。

「三爻変爻」の場合:
  日が傾いた時です。運勢も下り坂。何ごとにも一段落を付ける時でしょう。

「四爻変爻」の場合:
  思わぬ災難に遇うかもしれません。万事うまくいきません。気を引き締めること。

「五爻変爻」の場合:
  悲しみに涙することがあるがそれも身の為。苦労の多い時です。
  目上の知恵を借りて問題解決に当るのも良いでしょう。

「六爻変爻」の場合:
  火のように燃えて敵を撃つ。多少の危険を覚悟で強硬手段による解決が有効。


離は、貞(ただし)きに利(よ)ろし。亨(とお)る。牝牛を畜えば吉なり。

彖に曰く、離は麗(り)なり。日月は天に麗(つ)き、百穀草木は土に麗(つ)く。重明もって正に麗(つ)けば、すなはち天下を化成す。
柔、中正に麗(つ)く、故に享る。ここをもって牝牛を畜えば吉なるなり。

象に曰く、明ふたたび作(おこ)るは離なり。大人もって明を継ぎ、四方を照らす。

初九。履(ふ)むこと錯然(さくぜん)たり。これを敬すれば咎なし。
   象に曰く、履むこと錯たるの敬は、もって咎を辟(さ)くるなり。
六二。黄離、元吉なり。
   象に曰く、黄離元吉とは、中道を得ればなり。
九三。日昃(かたむ)くの離なり。缶(ほとぎ)を鼓(う)ちて歌わず。則(すなは)ち大耋(だいてつ)の嗟(なげき)あり。凶。
   象に曰く、日昃くの離は、なんぞ久しかるべけんや。
九四。突如それ来如たり、焚如たり、死如たり、棄如たり。
   象に曰く、突如それ来如たりとは、容(い)れらるるところなきなり。
六五。涕(なみだ)を出し沱若(たじゃく)たり。戚(いたみ)て嗟若(さじゃく)たり。吉なり。
   象に曰く、六五の吉は王公に離(つ)けばなり。
上九。王もって出征す。嘉(よき)ことあり。首を折る。獲(と)るものその醜に匪(あら)ず。咎なし。
   象に曰く、王もって出征すは、もって邦を正すなり。


役にたつ易の言葉
「日傾くの離。缶(ほとぎ)を鼓(う)ちて歌わざれば、大耋(だいてつ)の磋(なげき)あり。凶。」
「大耋」は80歳の高齢者のこと。80歳にもなれば、いくら元気満々、といっても所詮は人生の終わりに近い高齢者、西に傾く太陽が明々と燃えていても、間もなくは地平線に沈みます。いつまでも若いつもりで頑張るのもいい加減にして、まあ、缶(酒を入れる器。大きめの徳利)でも叩きながら歌い、楽しく余生を送ろうじゃないですか。
そうしないと、老衰したなあ、何でこんな苦労をせねばならんのか、と、悲哀を感じることになり、何のいいこともありませんよ。
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