火天大有  ーー乾下、離上
「中天の太陽。」
真昼の太陽のごとく、運気広大、隆盛の象。
午後には太陽は傾くごとく衰運の兆でもあり、慢心を戒むこと。

大吉
この卦は中天に太陽が輝く形で、大変良い運勢 を示しています。「大有」は大いに所有すること、或いは大なるものを有すること。
有するものは財産など実態的な物か、人や組織か、或いは時の運か、いろいろあるでしょう。
この盛運は「天の時」です。太陽が突然中天に現れることはなく、日の出から次第に高くなり今中天にあります。そして次第に西に傾いて行きます。今が良い運勢にあるのも時の流れの中でのことです。
この天の時を見失わないように、大いに有するモノを正しく活用することです。また衰運に備えるように、気配りが肝心です。
(概説)
「願いごと」ー成就す。慢心を戒めること。
「商ごと」ー順調に運びて大利あり。調子に乗りすぎぬように。
「相場」ー高値圏。程なく下がる。
「受験」ー好成績。慢心に注意
「病気」ー程なく全快するが、油断禁物。
「就職」ー良い勤めを得、地位を得る。
「天気」ー快晴。あとは下り坂。
「旅行」ーよろし。
「開業」ーよろし。
「転業、移転」ー悪くは無いが、無理には不要。
「失物」ーそのうち出る。
「方角」ー南、西北。
「色」ー赤、白
「初爻変爻」の場合:
  大いに有するとは言えまだ緒についたばかりです。
  他人に力を貸すことは出来ませんが、それで良いのです。

「二爻変爻」の場合:
  大きな車の真中に財産を一杯載せて進む、と書かれています。何ごとにも大変良い運勢の時です。

「三爻変爻」の場合:
  さらに盛運ですが、人から妬まれたり反発をかったりすることに気をつけること。

「四爻変爻」の場合:
  まことに盛運で万事順調ですが、調子に乗り過ぎ余計なことをしないように自制が必要です。

「五爻変爻」の場合:
  人との交わりは誠意と礼儀、節度を持つこと。盛運にも気を引き締めなさい。

「六爻変爻」の場合:
  盛運は天の助けるところによるものです。


大有は、元(おおい)に亨(とお)る。

彖に曰く、大有は、柔尊位を得、大中にして上下これに応ずるを、大有と言う。その徳剛健にして文明、天に応じて時に行う。ここをもって元(おおい)に亨(とお)るなり。
象に曰く、火の天上にあるは大有なり。君子は以って悪を止め善を揚げて、天の大いなる命に順(した)がう。

初九。害に交わること無し。咎に匪(あら)ず。艱(なや)むときは咎なし。
   象に曰く、大有の初九は、害に交わること無きなり。
九二。大車以て載(の)す。往くところあり。咎無し。
   象に曰く、車以て載すは、中に積みて敗れざるなり。
九三。公用いて天子に亨す。小人は克(あた)わず。
   象に曰く、公用いて天子に亨す。小人は害なり。
九四。その彭(さかん)なるに匪(あら)ず。咎なし。
   象に曰く、その彭なるに匪ず、咎なしとは、明弁にして晢(あきら)かなればなり。
六五。その孚(まこと)、交如(こうじょ)たり、威如(いじょ)たり。吉。
   象に曰く、その孚、交如たりとは、信を以て志を発するなり。威如の吉なるは、易(あなど)りて備え無きなり。
上九。天よりこれを祐(たす)く。吉にして利(よ)ろしからざるなり。
   象に曰く、大有の上の吉は、天より祐くるなり。


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