沢雷随  ーー震下、兌上
「何に随して行動するか。強から弱への変わり目。」
自己主張せず、他の意見を聞き、これに従うことで運が開く。
諸事、他の力を借りて成就する象なれど、誰に従うかを間違えぬこと。


この卦は、時に従い、流れに従って運勢が開ける、という卦です。また、上の者が下の者に従う、強いものが弱いものに従う、という見方もあります。
いすれにしろ、人に従って行くことが良い時です。
仕事、住まいなど変わることがありますが、そのことで良い方向に進みます。
(概説)
「願いごと」ー他の助けを得て成就す。
「商ごと」ー順調に運びて利あり。不正な利殖に走らぬこと。
「相場」ー始め高くあと安い。
「受験」ー好成績。
「病気」ーやや長引くも全快する。ただ病状を軽視せぬこと。
「就職」ー引き立てあってよい勤めを得る。
「天気」ー回復に向かう。
「旅行」ー出立に良いが予定をそれた行動に注意。
「開業」ーよろし。ただし無理は禁物。
「転業、移転」ーよろし。
「失物」ーどこかに紛れ込んでいるが、そのうち出る。
「方角」ー東、西。
「色」ー青、白。


「初爻変爻」の場合:
  変化の多い時です。人の意見を聞いたり、力を借りるとうまくいく。

「二爻変爻」の場合:
  二者の選択に迷った末に、つまらぬこだわりで選択を誤ったり、
  小事にこだわり大事を失うようなことがあります。

「三爻変爻」の場合:
  大事のために小事を切り捨てることが必要です。

「四爻変爻」の場合:
  勢いのある時です。しかし勢いに任せて「清濁併せ飲む」のは考えものです。

「五爻変爻」の場合:
  信望を得ることに心掛けることです。

「六爻変爻」の場合:
  人の支援、協力が得られる時です。逆に勝手な行動はとれません。
  先祖を祭るに良いチャンスです。病気については十分注意が必要です。


随は、元(おおい)に亨り、貞に利(よろ)し。咎なし。

彖に曰く、随は剛来たりて柔に下る。動きて喜ぶは随なり。大いにとおり貞にして咎なく、天下これに従う。随の時義大いなるかな。

象に曰く、沢中に雷あるは随なり。君子は以って日の晦(くらき)に向かえば、入て宴息す。

初九。官渝(かわ)ることあり。貞なれば吉なり。門を出でて交われば功あり。
   象に曰く、官渝ることあるは、正に従えば吉なるなり。門を出でて交われば功ありとは、失ならざるなり。
六二。小子に係れば、丈夫を失う。
   象に曰く、小子に係るとは、兼ねて与(くみ)せざるなり。
六三。丈夫に係れば、小子を失う。随いて求むるあれば得。貞に居るに利ろし。
   象に曰く、丈夫に係るとは、志下を捨つるなり。
九四。随いて獲るあり。貞なれども凶なり。孚(まこと)あり、道に在りて明らかなれば、何の咎かあらん。
   象に曰く、随いて獲るありとは、その義凶なるなり。孚ありて道に在るとは、明らかなるの功なり。
九五。嘉に孚あり。吉なり。
   象に曰く、嘉に孚あり、吉なりとは、その位正中なればなり。
上六。これを拘(とど)め係(つな)ぎ、すなはち従いてこれを維(つな)ぐ。王もって西山に亨す。
   象に曰く、これを拘め係ぐとは、上窮まるなり。


(解説)
「君子は以って日の晦(くらき)に向かえば、入て宴息す。」
随は天の動き、時の動きに従って行動することです。だから君子たるものは、日が沈み暗くなれば家に入り、ゆっくりと休息するものだ、ということです。
明日までにこれを片付けねば、などじたばたするようでは、君子にはなれませんよ。
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