兌為沢  ーー沢下、沢上
「和合悦楽。笑いころげる少女。」
人に喜ばれて亨る象。親和をはかって吉。
口舌の禍に要注意。


「兌」は沢であり、口であり、少女です。また嬉しい時はまず口元がほころぶので、喜びという意味が有ります。それが二重になっているのがこの卦です。
程々の喜びが得られる運勢です。ちょっとした良いこと、があります。調子に乗らず、その程度で満足することが肝要です。
口に関する注意が必要です。甘言に騙されたり、余計なことを喋って困ったことになったりせぬように注意してください。
また異性問題で失敗を起こさぬ様注意が必要です。
(概説)
「願いごと」ー概ねかなう。大望みせぬこと。
「商ごと」ー概ね利有り。
「相場」ー概ね好況。
「受験」ー好成績。
「病気」ー回復する。
「就職」ー進む。
「恋愛」ー成功する。
「天気」ー概ね好天気。
「旅行」ーよろし。
「開業」ーよろし。
「転業、移転」ー近くならよろし。
「失物」ー出る。
「方角」ー西。
「初爻変爻」の場合:
  「和してよろこぶ」とあります。喜びを分かち合うこと、和解することが良いということでしょう。

「二爻変爻」の場合:
  誠実にすることで喜びを得ます。

「三爻変爻」の場合:
  自分から進んで喜びを得ようとすれば問題を起こします。

「四爻変爻」の場合:
  いづれにしようかと迷うときは、情を捨て冷静に判断することが必要です。
  酒と色恋沙汰に注意。

「五爻変爻」の場合:
  甘い誘いに注意すること。

「六爻変爻」の場合:
  後れてついて行くことで喜びが有ります。適当なところで満足すること。


兌は、亨(とお)る。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。

彖に曰く、兌は説なり。剛中にして柔外なり。説(よろこ)びてもって貞なるに利(よ)ろし。ここをもって天に従い人に応ずるなり。
説(よろこ)びてもって民に先だつときは、民その労を忘れ、説(よろこ)びてもって難を犯すときは、民はその死を忘る。説の大いなる、民勧(すす)むかな。

象に曰く、麗沢は兌なり。君子もって朋友講習す。

初九。和して兌(よろこ)ぶ。吉なり。
   象に曰く、和して兌ぶの吉とは、行いていまだ疑われざるなり。
九二。孚(まこと)ありて兌ぶ。吉にして悔亡ぶ。
   象に曰く、孚ありて兌ぶの吉とは、志を信(まこと)にすればなり。
六三。来たりて兌ぶ。凶なり。
   象に曰く、来たりて兌ぶの凶とは、位当たらざればなり。
九四。商(はか)りて兌ぶ。いまだ寧(やす)からざるも、介(かた)く疾(にく)めば喜びあり。
   象に曰く、九四の喜びとは、慶(よろこ)びあるなり。
九五。剥に孚(まこと)あり。氏iあやう)きことあり。
   象に曰く、剥に孚ありとは、位正に当たればなり。
上六。引きて兌ぶ。
   象に曰く、上六の引きて兌ぶとは、いまだ光(おお)いならざるなり。


(解説)

「説(よろこ)びてもって民に先だつときは、民その労を忘れ、説(よろこ)びてもって難を犯すときは、民はその死を忘る。説の大いなる、民勧(すす)むかな。」
困難な問題に当る時はリーダーは率先して喜んでその問題に取り組まねばならない。そうすれば部下も苦労を厭わずついてくる。戦争のような大難に当ってもまずリーダーが先頭に立てば兵も死を忘れてついてくる。喜んでことに当るということは、それ程重要なことである、という意です。
あなたが困難な問題に取り組む時も、嫌々やるのではなく、喜んで取り組む心構えが、問題を解決する、ということでもあります。

「麗沢(りたく)は兌(だ)なり。君子もって朋友講習す。」
麗は連なっていること。沢はここでは口の象と見て、麗沢は口と口が並んでいる状態。二人が口々に発言をする、この象を見て君子は、朋友と共に学び、共に益するよう努めるものであります。

論語にもこう書かれています。
「学びて時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)あり、遠方より来る、また楽しからずや。」
新しいことを学び、それを復習して身につける、これは喜ばしいことではないか。
そうすれば同じ志の友が遠方からも集まり、共に切磋琢磨する、これまた楽しいことではないか。

「友あり、遠方より来る、また楽しからずや。」と思い出話にうち興じて杯を重ねる、ま、それもよろしいが、本来の意味もお忘れなきように。


<最初のページに戻る>