雑記帳

2011年2月21日

【知事選二様…福岡、三重】(ブログ)

◎民主、自民とも戦闘意欲が湧かない

 統一地方選の動きがパッとしない。
 東京・永田町が菅首相に対する退陣要求で一気に緊迫化して各党とも統一選どころではないのかもしれないが、常道からすれば、菅内閣の命脈を左右するのは統一選の帰趨である。もっとも今の政局が急変すれば、菅内閣は統一選を待たずに交代を余儀なくされるかもしれない。
 統一選の影を薄くしているのもう一つの理由は、先日も記した「愛知の乱」がある。民主党は愛知知事選でダブルスコア、名古屋市長選でトリプルスコアの惨敗を喫した。自民党は両選挙で全く存在感がなかった。大村知事も河村名古屋市長もコンセプトは「減税」である。さらに、両氏と連携を密にした大阪府の 橋下知事が率いる「維新の会」が、今度の統一選を虎視眈々と狙っている。
 地方政治にこうした動きが表れれば今度の統一選は盛り上がるはずなのだが、目下のところその動きがないのは、「維新の会」も「減税」も新しい政治を求める有権者の関心を引き付けるが、まだまだ大阪、愛知に運動がとどまっているからだ。今後、その動きが広がれば統一選は従来とは全く様相を異にすることになるかもしれない。

 動きの鈍い統一選を象徴するようなのが福岡、三重両県の知事選である。
 福岡知事選は民主、公明、自民の3党相乗り候補で決まったが、ここにも自民の悲しい現実が表れている。
 内定していた県議団会長を降ろして民主、公明両党が推薦する元内閣広報官に相乗りする。自ら候補者を立てられない状況は東京・永田町の党本部の勢いのなさを映し出した形だ。党分裂を避けたといえば聞こえはいいが、解散風が吹き出したことを考えると、独自候補を擁立して地方政治で自民の勢いを示すのが筋。民主は昨年来、地方選で大敗続きだし、今度の統一選も民主に逆風が強まるのは避けられない。機を見るに鈍、と言われかねない。

一方の三重県知事選は、現職知事の3選不出馬が尾を引いて各党とも候補者選考が難航している。元通産官僚が自民党籍を外れて立候補を表明したが、民主党はこれと言った適格者がいないことに加えて、愛知知事選、名古屋市長選の民主大敗ショックで惨めなくらい戦闘意欲がない。
 岡田幹事長(三重3区)ら党幹部が働きかけた国会議員や官僚に次々と断られ、お手上げの状態だった。対抗馬としてようやく名乗りを上げたのは現津市長で、県連、連合三重が推しているが党本部は明確な態度を保留したまま。津市長は一年前に2期目の当選を果たしたばかりで、県民の間には任期早々の県政への転出に疑問が残っている。
 党本部が態度を決めかねているのは、昨年秋以降の民主党内の対立や菅内閣に対する国民の不信の高まり、さらにはこのところの菅首相への退陣要求が広がるなど政局が大きく動き出したため、岡田幹事長も動きが取れなかったからだ。

(尾形宣夫のホームページ「鎌倉日誌」)