雑記帳

2011123

【通常国会召集】(ブログ)

◎政争の咆哮しか聞こえてこない

 通常国会が明日24日召集される。いよいよ、ねじれ国会の与野党が激突するヤマ場を迎える。冒頭から波乱含みの国会を菅首相はどう乗り切るのか、まさに正念場である。
 論戦の焦点は@マニフェスト大幅見直しA政治とカネB与謝野経済財政相起用―の3点に絞られる。だが議論の前に立ちはだかるのは、今週中と言われる小沢元民主党代表の強制起訴と、それに伴う民主党内の対立激化、さらにはこの機を逃さず一気に攻勢に出る野党攻撃で国会機能がストップする事態が来るかもしれないということだ。
 民主党執行部は、小沢氏の証人喚問に向けて衆院予算委員会から親小沢系委員を外し、非小沢系委員に差し替えている。有無も言わさない人事に、民主党内の非小沢派対親小沢派の対立はもはや絶望的なところまで突き進んでしまった。
 強制起訴がいつになるのか現時点では分からないが、24日には施政方針演説や政府演説が行われ、これに対する各党代表質問が週末の28日まで予定されている。もしこの間に強制起訴が飛び込んでくれば、国会日程の混乱は避けられない。与党側が予定している31日からの予算委員会開催はまず無理だ。

 いまだに割り切れないのは、首相や岡田執行部が、本気で小沢氏の証人喚問をやろうとしているのかどうかだ。その準備は確かに進んでいるが、今ひとつすっきりしない。
 うがった見方かもしれないが、「証人喚問」は来年度予算案審議に野党を引き寄せるための「見せ掛け」ということもないわけではない。仮に証人喚問が行われたとしても、その後の予算案審議が順調に進むとは言えない。逆に前述の3項目が混乱し菅首相に対する問責決議案や不信任案が出た場合の小沢派の出方次第で、菅内閣が総辞職に追い込まれることになりかねない。
 表面的には、もはや菅首相と小沢氏の修復は絶望的だ。その通りだと思う。だが小沢氏の証人喚問は、首相にとって自らの政治生命をかける大博打である。首相にそこまでの度胸があるのか、また岡田幹事長についても同じことは言える。
 国会の冒頭から混乱するようだと、召集されはしたが政府演説を除けば、予算案審議に入るどころか、その前での与野党攻防で国会が明け暮れることになる。元々、菅内閣の布陣を見れば、野党の攻勢を手際よく裁けるような配置にはなっていない。危機に対応できる自前の人材はいなかった。

今月14日の二次改造で与謝野氏を入閣させ、長老の藤井元財務相を官房副長官に就けるなど国会対策に腐心した跡は見えるが、一方で重要ポストの官房長官に枝野氏を据えたり、国会対策の司令塔ともなる国会対策委員長に就いた安住氏も修羅場を切り抜ける力量があるとはとても思えない。両氏は昨年の参院選をそれぞれ幹事長、選挙対策委員長として戦った。だが、結果は周知のように惨敗だった。
 さらに、もう少し先を見れば、4月には統一地方選が待ち構えている。通常国会の内容が、そのまま地方選に響くことは当然だ。菅首相とのツーショットのポスターが嫌われているようだ。党首に遠慮してもらいたいという選挙が旧政権の時もあった。

 冒頭から混乱必至の通常国会だが、予算案審議はもとより、もっとも懸念されるのは予算関連法案が野党の出方次第で「一本も通らない」(安住国対委員長)かもしれない。となると、菅内閣は立ち往生である。関連法案が通らなければ、税と社会保障の一体改革もできないし、子ども手当支給もかなわない。民主党政権のマニフェストはズタズタになりかねないのである。
 政治理念を欠き、この国をどこに導こうとしているのかも分からない菅内閣に託するものは、正直言ってない。政権交代から1年半が経つ。激動する世界で日本は何を果たそうとしているのか何も見えない。むなしい政争の咆哮だけが聞こえてくる。こんな政治には早く終止符を打ってもらいたい。

(尾形宣夫のホームページ「鎌倉日誌」)