雑記帳

2010年12月13日

【続・嗚呼、民主党政権】(ブログ)

茨城県議選惨敗は地方の反乱

 茨城県議選は予想通り民主党の惨敗で終わった。党中央の理解し難い内紛が続いていたのだから、選挙など戦えたものではないことは明白だった。にもかかわらず党執行部は、小沢氏を政倫審に呼ぶべきだ、で県議選どころでなかった。携帯電話を耳に当てて忙しそうに歩き回る岡田幹事長の姿は、政権政党に必要な冷静さ失った羅針盤なき旅客船の船長に似ている。
 茨城県議選で民主党議席が選挙前の6議席に留まったことは、政権交代前の、ごく当たり前の民主党から少しも前進していないということだ。支持者が固い県議選の特性からいって、現有議席維持は同党に何かを期待するものではない。
 今度の県議選が注目されたのは、来春の統一地方選の前哨戦としてだけでなく、政権交代のメッキが剥げだした民主党に対して地方の声がどう表れるかだった。その危機感があったからこそ、党幹部が国政選挙並みに地元入りし支援を訴えたのではないのか。

選挙戦を統括する総司令部が小沢問題で浮き足立ってしまい緻密な作戦を立てられなかった。再三指摘しているが、民主党選対には選挙を勝ち抜く知恵がない。意欲はあるかもしれないが、それを戦術・戦略にまとめる知恵袋が見当たらない。
 消費税発言で参院選惨敗の「A級戦犯」だった菅首相はもとより、選対責任者が選挙敗北の責任を取っていない。にもかかわらず、高級官僚OBの「天下り・渡り」同様に枢要なポストに就いている。何をか言わんやである。
 民主党は13日の役員会で政倫審招致問題の対応を岡田幹事長に一任した。幹事長は近く小沢氏に会うことになるだろう。
 しかし、両者の話し合いの場ができても、小沢氏が政倫審に出るとは言わないだろう。小沢氏の証人喚問を求める自民党などは、仮に政倫審が開かれたところで、攻撃の手を緩めるはずはない。逆に追い討ちをかけるように攻勢を強めるはずだ。その結果どんな事態が現れるかといえば、内閣がすがる思いで通そうとする来年度予算案審議の通常国会が大荒れになることは想像に難くない。
 岡田執行部は、小沢氏を政倫審に呼んで、何とか野党の軟化を期待しているようだが、その芽は既にない。政倫審招致の譲歩が、対野党で少しも役に立たないということである。
 知ってか知らずか、執行部の動きが「敵(自民党)に利する」ことを分かっていないのではないか。政倫審招致で頭がいっぱいのように見えてしかたがない。

ところで菅首相である。昨日、都内で開かれた身内のパーティーで「これまでは仮免許、これからは本免許」と言ったそうだ。この人は、自分が何を言っているのかまだ分からないらしい。本免許でスピード違反、暴走されたのでは、たまったものではない。
 「有言実行内閣」が、免許取り立ての若葉マークを付けて走ってきたというのだろうか。大風呂敷のマニフェストが約束どおりできなくなって修正し続け、内政、外交とも失点、失政だらけの内閣の責任はどこにいってしまったのか。
 鳩山前首相が突然辞任、代わって登場した菅氏は小沢氏と争った党代表選で、「これまでの3カ月は準備期間」と言い、本当の仕事をこれからやると気負いこんだ。それが、有言実行内閣発言に続く。
 「これからが本免許」を国民はどう聞いただろうか。聞くまでもなく、茨城県議選の結果が如実にそれに応えている。

首相は毎日のぶら下がり記者との会見で、メモは持たず、見ないようにしたという。当たり前のことだ。これまでの誰(首相)がメモを片手にぶら下がり会見に応じたと言うのか。
 内閣支持率は、まさに秋の夕のつるべ落としである。自覚と反省、さらに教訓を生かす努力がない首相を選んだのは、結局国民だ。猛省に身が縮む思いである。

(尾形宣夫)