2010417

【自らまいた種】(ブログ)

◎“自損事故”の影響は甚大だ

 普天間飛行場移設問題は「鳩山首相の自損事故」、と佐々木毅・学習院大教授(元東大総長)が言ったらしい。
 首相は、「私には(普天間移設の)腹案がある」と大見得を切ったものの、今となっては説得力を持つような具体的な中身のあるものではなく、苦し紛れに飛び出した言葉でしかないことが明らかになっている。「命がけでやる」と言った「5月末の決着」も、どうも首相一人の思い込みで終わりそうな感じだ。というのも、何をもって「決着」とするのかについて首相と女房役の官房長官の解釈にズレが表れたからで、こんな状態ではよほどのウルトラCでもない限り、5月末の決着が先送りになるのは避けれないだろう。

もともと、「腹案」にしても「5月末の決着」にしても閣内で意思統一されたものではない。民主党のマニフェストにもなかった普天間飛行場の移設候補地を「最低でも県外」と再三言い続け、米国のオバマ大統領には「トラスト・ミー」などと日米が合意した現行案でいくような気を持たせたのだから、それが実現できそうもなくなった今では、問題混迷の責任が首相にあるのは明らかだ。
 鳩山氏の個人的な自損事故なら、先の不透明な政治資金問題のように処理できるが、いやしくも、一国の政治リーダーが外交上にかかわる問題で引き起こした不始末なのだから、黙って見ているわけにはいかない。事は日米関係を揺るがす、とんでもない自損事故である。贈与税を払って済ますようなわけにはいかない。
 鳩山丸という船には日本国民が乗っている。座礁すれば、国民の生命・財産が脅かされる。沈没することなど、誰も考えたくない。首相が1月の施政方針演説の冒頭で強調した「いのちを守りたい」は、一体なんだったのかとなる。

東京・永田町では夏の衆参同日選挙が現実味を帯びだしているという。
 現に、仙谷国家戦略担当相が民放テレビの収録で、鳩山首相が辞任した場合は「ダブル(選挙)を問う可能性がある」との見方を示した。政権を支える有力閣僚が、早々と「首相辞任」に言及すること自体が異例だ。民主党最高顧問の渡部氏が先に外国人特派員協会で、鳩山辞任の場合は「(副総理の)菅くんがいる」と言っている。

 東京・新宿御苑で17日午前催された「桜を見る会」で、首相は「雨天の友」は真の友だと、自らを奮い立たせるように呼び掛けた。季節外れの雪が積もり、冷たい雨がしみるあいにくの天気だった。「寒い時こそがんばらないと」と語る首相に、普天間問題の「5月末決着」の次の一手が出せるのか、あるいは周りが驚くような隠し玉があるのか。(尾形)