2010416

【舛添氏の“誘活”?】(ブログ)

◎人気知事への接近は見え見え

 自民党執行部に批判的な言動を繰り返している舛添要一前厚労相が、大阪府 橋下知事と宮崎県の東国原知事にラブコールを送っている。両知事の人気にあやかろうというものだが、昨年の衆院選でも自民党選対首脳らが両知事に揉み手をして仲間に取り込もうとした。不人気の自民党立て直しに力を借りようとしたのだが、この作戦は見事に失敗した。
 舛添氏の意図は、下野してすっかり消沈したままの自民党の勢いを盛り返すためというよりは、自身の党内での存在感をさらに大きくしようと狙ったものと見て間違いない。
 15日午後、参院議員会館でそわそわした様子で東国原知事を待つ舛添氏の姿が何ともこっけいだった。会談は約40分。知事によると、新党や離党の話はなかったということだったが、舛添氏は「いい政策論議ができた」と足早に車に乗り込んだ。

舛添氏はかねがね、経済活性化と地方分権を実験的にやれるところが必要だと言っている。その目に適ったのが知事の中でも話題性もあり人気が高い2人というわけだ。 橋下知事とは「大阪特区構想」などで何度か議論しているが、「特区」は政権がとれるかどうかにかかっており、現実味は乏しい。
 舛添氏が、人気知事を味方に引き付けて存在感を印象付けようとしても、両者をつなげるものに目新しさがない。しかも、本気度に疑問符が付くし、話題づくりの域を出ない。案の定、自民党内からは舛添批判が噴出している。
 舛添氏の意図はともかく、知事に「期待感」が寄せられるのは悪いことではない。鳩山政権が目指す地域主権の実現には、首長の役割が欠かせないからだ。国政が自治体に秋波を送るのであれば、それを逆手にとって自己目的の実現にうまく利用すればいい。それぐらいの狡さを遠慮する必要はない。

「就活」「婚活」流で言えば、舛添氏の両知事への接近は誘惑活動、つまり「誘活」かもしれない。真剣さが伴わない誘活は、すぐ足元が見透かされることを忘れずに。(尾形)