【自民党少年探偵団】

◎もっと勉強しなさい

 落日の自民党にとって、「天の配剤」ともいうべき鳩山首相や小沢幹事長のカネにまつわる問題でどんな巻き返しを見せるのか、が通常国会を見守る国民の関心である。
 ところが、本格的な論戦の場となる予算委員会で初の党首対決に臨んだ自民党総裁の谷垣禎一氏は、政治とカネの問題で鳩山首相を追い込むどころか、途中で再三「今日のところはそれぐらいにしましょう」などと言い、何とも迫力のないものだった。
 さすがに自民党委員の間からも失笑が漏れ、民主党委員席はニヤニヤしている始末。これほど緊張感のない党首対決を見せられた国民こそいい迷惑というものだ。
 総裁がこんな具合だから若手議員が存在感を示せばいいのだが、それがないのが自民党の現実である。民放テレビの討論番組では元気がいいのだが、国会ではそれがまるでない。下野して4カ月も経とうというのに、いまだに総選挙惨敗の検証もなされていないし、やる気もない。7月の参院選に向けても戦闘態勢ができていない。内閣支持率が急低下しても、政党支持率が微減にとどまっているのは、それだけ自民党に魅力がないからである。

 景気と国民生活を考えれば、今国会は補正予算案と来年度の本予算案を一刻も早く審議・成立させなければならないのだが、野党は「政治とカネ」で政府を追及するだけだ。
 「政治とカネ」の問題が重要であることは誰もが分かる。だが、国民生活を脇においてカネの問題だけを追及することが野党の役割なのかを、よく考えるべきではないか。「政治とカネ」の問題と予算審議を分けて論議をしなければ、国民不在の単なる永田町の権力闘争でしかない。
 「政治とカネ」の問題を現場で確かめようというものだろう。自民党の「不正資産追及チーム」座長の後藤田正純氏と菅原一秀、平沢勝栄両議員の3人が21日、問題になっている小沢幹事長関連の不動産を視察した。
 報道陣を乗せた観光バス仕立ての現場視察は3時間をかけて行われたというが、マンションや土地を外から眺めるだけ。「建物を見るだけで何が分かるの」とは付近の住民の声だと新聞が伝えている。報道陣を引き連れて観光バスを使った現場視察は、なかなか「絵になる」演出だ。
 座長は視察の効果を自賛したようだが、傍目にもパフォーマンスにしか見えない。有り体に言えば、疑惑追及のアリバイづくりと言えるかもしれない。

 それと、同日の予算委員会で質問に立った小里泰弘議員(自民)の政府追及もいただけない。民主党内の確執や政党交付金問題について、「報道によれば」を連発している。報道する以上、その内容に根拠があるのは確かだろうが、マスコミネタを振りかざすだけの追及は、いかにも安易過ぎる。かつて国会は野党の爆弾質問に政府側は戦々恐々とした。追及のネタをマスコミ報道に頼っているようでは、不勉強のそしりを免れない。
 ベテラン議員が沈黙し、不慣れな若手議員がパフォーマンスを繰り広げる。「少年探偵団」と言われないよう自らを磨くことにまい進しなければ、尊敬される政治家とはならない。

10122日)