200910月8日

【政変と自然災害】(ブログ)

◎台風一過の公園を歩いた

 愛知県知多半島付近に8日未明上陸、列島を縦断した台風18号は各地に深い傷跡を残した。台風上陸は2年前の079月以来だそうだ。
 民主党が8月末の総選挙で地すべり的勝利、鳩山政権が発足してまだ20日だ。政権交代したから台風がやって来たわけではもちろんないが、“政変”と自然災害は不思議なくらい符節が合うような気がする。
 記憶に残る政変としては、自民党の一党支配が崩れた1993(平成5)年8月の非自民・非共産の細川政権の誕生と、自民党が政権奪還に成功した翌年6月に発足した自民、社会(現社民)、さきがけの自社さ連立の村山政権である。

 調べてみると細川政権ができて間もない93日、中心気圧が930ヘクトパスカル、最大風速が50bという伊勢湾台風(昭和34年)に匹敵する勢力を保った台風13号が薩摩半島に上陸。その後、愛媛県八幡浜市付近に再上陸、さらに広島県福山市付近に再々上陸して西日本各地に被害をもたらした。
 この年はまた、1月に北海道釧路沖地震、2月には能登沖地震、そして7月に北海道南西沖地震が起きている。気象も狂っていた。記録的な冷夏で農作物に深刻な打撃を与え、戦後最大の米の不作で翌年にかけて深刻な米不足に見舞われている。
 村山政権発足の年はどうだったかというと、梅雨明けが早く前年の冷夏とは逆に記録的な猛暑に襲われ、最高気温が39度を超える地点が続出した。コメは豊作だったが、空梅雨で西日本各地は深刻な水不足に見舞われた。
 地震も続発した。10月の北海道東方沖地震(M81)、釧路市で震度6を観測、12月には三陸はるか沖地震(M76)、八戸市で震度6を観測している。

私は今回の台風18号で、7日夜から荒れ狂う雨風にまんじりともせず夜を明かした。勢力が弱まったとはいえ、暴れ風は家の周囲の立ち木を振り回している。雲が切れて空に青空が戻ったのは8日午前10時ごろだ。ようやく日差しが戻った昼過ぎ、台風一過の青空を見やりながら家の前の公園をぶらついた。
 造形的でない自然な公園は、風に吹かれて折れた小枝や飛び散った葉が散乱し、有難くもない嵐の置き土産で汚れていた。きれいに伸びそろったススキが無情にも風雨になぎ倒されていた。ついこの前、雲間から顔を出した中秋の名月の淡い光に浮かんでいた、あのススキである。
 無粋な荒くれ台風が散らかした道を歩きながら、あれこれ世相に思いを巡らすのも散歩の楽しみなのかもしれない。
 政権交代を実現した鳩山民主党の力を試そうとして台風
18号がやってきたのか。あるいは下野してなおわが身の至らなさを感じていないような自民党を叱って18号が上陸したのかなどと、自然現象を政局に結びつけるのも浮世離れしていて楽しい。(尾形)