三重県伊賀市の「はんなり探検隊」の和服で装った
女性隊員たちは、市内の菅原神社に参拝した。
(08年5月6日)

「伊賀学はんなり探検隊」の熱き挑戦

西浦 有紀子

三重県伊賀市の職員有志が集まってつくった「はんなり隊」が、今年5月6日、ついに始動した。
 「はんなり隊」とは、「伊賀学はんなり探検隊」の略。伊賀の落ち着いた華やかさ、つまり、はんなりを探り出そうと探検隊をつくった。「伊賀を学ぶ」「伊賀を探検する」「伊賀をはんなりしっとりと楽しむ」という意味を込めている。
 「何かやりたい、楽しみたい」―そう思い続けて構想すること半年、「伊賀人による地元・伊賀を楽しむ」集まりを実現することができた。生まれ育った地元で普段生活しているのに、実はあまり知らないのではないだろうか?
 楽しく遊ぶための集まりとして「はんなり隊」を立ち上げたのであるが、地元で遊んでいるうちに地元がもっと好きになり、最終的には伊賀の良さを他の伊賀人、ひいては日本中に伝える存在になっていければと思っている。はんなり隊って、何か響きもいいしね。はんなり活動を広げていきたい。

さて、最初の催しは「着物を着てみたい」「折角着たのなら街歩きをしたい」ということをテーマに、これに賛同した6人が集まった。美味しいランチが食べられることが魅力だったこともあってか、着物で伊賀を元気にしたい、と普段の生活に着物を取り入れて生活しているゲストも参加。それに、企画の下準備を一生懸命してくれた「黒マネージャー」(黒子ということらしい)2人も含め総勢9人で賑やかに第1回が始まった。
 まずはおしゃれなイタリアンレストランでランチということで、美味しいパスタに舌鼓を打った。お店の「チッタ」は、イタリア語で「街」という意味。古い町家を改築して使用しているこのまちやガーデンにちなんで名付けられたという。
 雰囲気のある建物で、フロアからは中庭の季節感のある景色も見えて、料理のみならず楽しませてくれる。お腹がいっぱいになったところで、次は本日のメインエベントの着付けである。
 何せ集まった皆は着物は初めてか、成人式以来だから、着付けの先生は大忙し。男性組とは一時別行動となったが、あまりの遅さにしびれを切らした彼らが、あと帯だけというところに踏み込んできた。仕方なく女の舞台裏を披露しながら、何とか着付けを完成させた。

着てしまったら何だかとても楽しい!嬉しい!まずはチッタの前にて記念撮影、街歩きを始めて天神さんでお参りしつつ記念撮影。上野市駅前で伊賀上野のマスコットキャラクター「にん太」と「しのぶ」と記念撮影―とハイテンションに記念撮影をしまくり、ちょうどNINJAフェスタ中で賑わっていた街中に華を添えられたと思っている。
 手裏剣打ちなども体験しつつ、伊賀まちかど博物館でもある「むらい萬香園」に着いてお抹茶ソフトクリームをいただいた。こちらはお茶や茶道具をはじめ、和小物も売っているし、珍しい昔の生活道具などが展示されている。
 なんと言っても店長が忍者なのだから、伊賀の名店の一つ。日曜日は修行中の占い師さんも来ていて、激安で占ってくれるのもお薦めだ。ちょうど店の前で伊賀焼の展示即売をしていた窯元の先生も加わってここでも記念撮影。
 そろそろ疲れてきた足を引きずって履物屋さんで下駄を見ながらチッタに戻った。
 風物詩の若あゆを「田山屋」でいただけたのも、着物パワーだとしみじみ思う。その後、隣の「藤岡組紐店」で組紐も見学し、今日だけでも伊賀のいろんなところを楽しめた。イタリアンレストラン、町家、神社、駅、お茶屋、履物屋、和菓子屋、組紐屋NINJAフェスタ…街には本当に楽しい、面白いものがたくさんあった。

大型店では味わえない、地域の良さはこういったところにこそあるのだと感じた。メンバーの中にも、地元なのに行ったことがないところがあり、普段はなかなか街中で遊ぶことはないからこそ、やっぱり仲間を作ることが大切かなと思う。
 この企画には黒マネージャーの力が大きかった。メンバーも伊賀を楽しみながら伊賀をより知って、いずれはそれぞれが伊賀の良さを語れるようになっていければいいなと思っている。

(伊賀学はんなり探検隊長)