象潟合歓花


    
象潟合歓花 象潟合歓花:

芭蕉は、「奥の細道」で秋田県の象潟(きさかた)を訪ね て、「象潟や雨に西施が合歓の花」と詠んだ。
西施は、紀元前五世紀頃古代中国の四大美女の一人であった。 西施は胸が痛む病を持ち、胸元を押さ え眉間にしわを寄せた姿はなんともなまめかしく、 彼女が里から歩いて来るその様に、里人たちは皆、 目が釘付けになったという。

合歓(ねむ)の花を西施になぞらえたのは芭蕉が初めてだと思われるが、 雨に打たれた可憐な合歓の花を西施になぞらえたのは見事である。

第33回水桜会展(2016年9月24日-29日、水戸)に出展。

(606mm x 1000mm, 2016)
"象潟(きさかた) ? 芭蕉が象潟を訪れた時、象潟は東の松島と並び称せられる風光明媚な99個からなる島々だった。ところが、1804年に大地震が発生し、約2m以上隆起して陸地になったため、現在は、鳥海山のふもとに点在する60あまりの島々が田園地帯に浮かんでいるように見える象潟独特の風景である。
"合歓(ねぶ) ? 合歓は、「ネム」とも「ネブ」とも呼ばれる。花は頭状花序的に枝先に集まって夏に咲く。淡紅色のおしべが長く美しい。 香りは桃のように甘い。イラン、アフガニスタン、中国南部、朝鮮半島、日本の本州・四国・九州に自生する。河原や雑 木林に生え、高さは10mにもなる。和名のネム、ネブは、夜になると葉が閉じること(就眠運動)に由来する。漢字名の 「合歓木」は、中国においてネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから付けられたものである。
私は、筑波植物園で見た。とても可憐で見ごたえがある。
"漢詩 旅中俳聖到江葭
船向煙波驟雨斜
島嶼遠山真似画
想望西施合歓花
    杜正

書き下し文:
旅中(りょちゅう)の俳聖(はいせい)は 江葭(こうか)に到(いた)る
船(ふね) 煙波(えんぱ)に向(むか)えば 驟雨(しゅうう) 斜(ななめ)なり
島嶼(とうしょ) 遠山(えんざん) 真(まさ)に画(が)に似(に)たり
西施(せいし)を想望(そうぼう)す 合歓(ねぶ)の花(はな)

戻り

ロゴマーク

E-mail:jinseizen@yahoo.co.jp
Copyright 1996-2022 JINSEI All Rights Reserved.