同居していた愚息が結婚を決めましたが、まだプータローでした。

私も家内も嫁のことを考えると、早く就職してほしいと毎日新聞や
折込に目を通している時家内が「おとーさんこれ!」とチラシを
持ってきました。
そこには仏壇屋さんの、就職案内が載っております。
「なるほどこれだな」家内と顔を見合わせすぐ息子に話しました。

息子は「親父、俺やだよ!死んだ人を利用して、金儲ける仕事は
したくない」と言うのです。これからの時代、高齢者が増える事で
デイサービスや養老院が増え、当然斎場も多くなるだろう。

それと独身の若者が増えこれから先、誰がお墓を管理するのか、
自分のお骨を埋葬するのはどうするのか問題が起きるだろう。
人間が一生の間、誕生、結婚、死亡の三大儀式としてとらえる考えもある。

そこに関係する仕事と考えると襟を正して、困った人の助けが出来る事に
なる事を話し、「まず面接だけでも行ってみろ、たぶん受ける人は少ないと
思うよ」と言って送り出した。

夕方息子から電話があり「親父これから専務と一緒に家に行くから、
何だか面接の二次試験だとよ」「はあー?二次試験?聞いたことないぞ、
まず分かった待っている」カミさんと「なんだ?」といぶかしんだものの
待つこと
20分二人が到着した。

専務さんより「いや実は息子さんから親父を尊敬すると言う話を聞いて、
そんな事を言う親御さんてどんな人だろうと、是非逢って見たくなり失礼を
承知で伺いました」との事。

いや驚いたのなんのって、まさか息子がそんな事を言うなんて、考えても
見なかったので驚きました。私だってそんな事、親父に思ったことはありません。

「ま、折角だから一杯飲みましょうか」と勧めると、飲める口だという。
それから色んな話が出て帰りには「正式にお返事は差し上げますが、
是非宜しくお願いします」と上機嫌で帰って行った。

それから愚息は足掛け20年仏壇屋さんに勤めており、自分では天職だと
思っているようです。漢字もろくに読めなかったのに・・・です!