中学校3年の夏休み、熱い一日でした。下の弟と近所の友達4人と一緒に、泳ぎに行こうと言う事になり、空港手前の灌漑溝を目指した。
この灌漑溝は支笏湖から取水していて、すごく冷たい。こんな暑い日はここだなと自転車を降りて、まずロープ張りをする。

流れがきつくロープがないと、上がるのに大変苦労する為、一番初めの仕事になる。私がまずこちら側の木に結び付け、泳いで渡って岸に上がり、ロープを張ってみんなに
OKサインを出す。
100m位上流から飛び込み、ユックリ泳ぎながらロープにつかまって、上がることを繰り返していたが、腹減ったと一人が言い出すと皆すぐに賛同した。

皆の目に留まったのは、上流にある国道淵の西瓜畑だった。「ヨシあれだな!」
「ウンあれだ」と意見が一致し、西瓜を食べたら砂の中に埋めてしまえば証拠は残らないぞ等と話しながら、抜き足差し足で熱くなった砂を踏みしめて畑へ着いた。

番兵小屋があるが誰もいないようだ。
しめしめと夫々西瓜を一個づつ持って灌漑用水の上流に向かった。なるべく上から流した方が西瓜が冷たくなる為、灌漑溝の淵を歩いているとすぐ下に白い帽子が見えた。「シッ!」と言って木の陰に隠れたが、見つかった後だった。

「こらー」の声でみんな一目散に逃げ出したのは言うまでもない。
しかし弟が足が遅く捕まりそうだったので、私が飛び出して「おーい恵逃げろ」と声をかけ、私の方に追ってくるようにして走った。

途中小屋があったのでそこに隠れたが見つかってしまった。私がすぐに泣き出して「ごめんなさい、もうしません」と言うが「名前は?どこの学校だ?警察に言わなくちゃだめだな」と言われ「何でも言ううとおりにするから、家や学校には言わないで」と必死で頼み込んだ。

そこで親父が条件を出して来た。「よしわかった、じゃあお前西瓜泥棒の番をしろ!誰にも盗まれるな、夏休みもあと
1週間だから、それで許してやる」と言われた。

西瓜番をしているとみんなが現れた。「大丈夫だったか?怒られなかったかったか?」「許して貰えたか?」と矢継ぎ早に質問が来る中、とにかく「俺が番兵だからお前ら持っていくな」と皆を帰した。
3
日すると親父が来て「この間友達が来たとき俺見てたんだ。
ちゃんと友達に説明して、帰したのはりっぱだったぞ」とホメてくれたのだ。

そして「今日で解放してやる、ほらこれ持って行け」と自転車に積めるだけ西瓜とアジウリを貰い帰って来た。親にちゃんと報告をして謝り、友達にお土産を配った。

昔はおおらかな人が多かったし、近隣地域皆で、子供を育てる意識が強かったように思う。
最近はどうなのだろう?今の子供たちが昔ほどおおらかな、思いやりのある接し方で、ルールをちゃんと教える大人になっているのだろうか?我々の罪は大きいかも・・・・。