平成六年 山本学園高等学校 3年「親から学ぶ・親子研修会」

皆さんこんにちは!情報3Cの桑原史成の父です。『親から学ぶ研修会』との事なので
私は、「わが家の家族感と企業人としての一言」をテーマに、すこし話をしてみたいと
思います。何か一言でも皆さんの、アドバィスになれば幸いです。

さて、私が勤めている会社は、カルビーと言うお菓子の会社です。全国組織なので
転勤はあります。その点家族の結びつきは、他の家とは違っているかも知れません。
初めての赴任地で、人間関係ゼロからの出発となる事から、それぞれが気を使い合う
事からかも・・。私の友達はカミさんの友達、息子の友達は姉ちゃんも友達、家族全員が
何か声を掛け合う「ああ良い家庭だな、又遊びに来よう」そう思って貰いたい、みんなが
そんな気持ちでいる、これが我が家の相互信頼感になり、各自の努力になっていると思います。

この山形に転勤して来たのは、息子が小五姉ちゃんが中一の時で、それ迄七回転勤を
しております。1ヶ所二年位でしょうか。上の娘は気が強く負けず嫌い「劇団山形」と言う、
演劇サークルに入るようなちょっと変わった性格です。その子が山形に来て少したった頃、
いじめにあったようなんです。

泣きながらこう言います「お父さんのせいで、どんなけ辛い思いをしてると思う。
小学校変わったのは四回だよ、まして札幌から浦和に行ったのはたったの七か月だよ。
こんな人周りに誰もいないよ!もう転校は嫌だ!」こう言われると、父親としては大変つらい物です。
その時息子が「つらいのを、全部親父のせいだと思わない方がいいよ。

いい事だって一杯あったじゃない。色んな所に行けて・・。まして、俺もっと嬉しいのは
いろんな人と友達になれた事だ。俺なんか親父に感謝するけどなー」こう言われると
「よくぞ言ってくれた」とホッとした物です。息子は転勤するたびに、人の事を考える、
人の気持ちを考える子供になって来たような気がします。

私のカミさんの性格を一言でいうと、初めての人と話す時でもノドチンコを見せて、
大きな声で笑う屈託のない人です。私自身は息子の友達からも「お前の親父チョット
変わっているな」と言われているようです。会社では釣りバカ日誌のハマちゃんか、
寅さんみたいな人と言われます。

実は一番嫌われる父親像と言うのは、つまらないギャグを連発して、受けを狙う人だそうですが、
どうも私はその典型の様です。と言うのは依然こんな事がありました。

あまりつまらないギャグばっかり言っているので、息子が付き合ってくれたんです。
「布団が吹っ飛んだ」私は「あ・は・は・は」と笑いますそんな私を見て冷ややかに
息子が言います「親父それ小学校の時出たやつ、親父の頭はその程度か?」

「よおーし、じゃあこれ分かるか?ドラゴンボールに出て来る女の子なんて言ったけ・・そうそうランチ
あの苗字知ってるか?」「エッ・なんだっけ?親父変な事言うなよ・・・」
それが言ったんですね・・「お子様」「アーハッハッハ」次の日学校から帰ると
「親父あのギャグ受けた、受けたわ!」

つい先日伊那かっぺいがラジオで「戸が開いてしまった。この状態を説明しなさい」と
いうのがありました。気が付かないうちに戸が開いた事と、何もしないのに見ている前で
開いてから自然に閉まったの二通りがあると言っていました。これを私流に考えました。皆さん一緒に
イメージしましょう。

初めて彼女の誕生パーティに呼ばれました。玄関の前で大きく深呼吸をして、呼び鈴を押します。
ピンポーンの音の後「どうぞ―」の声が聞こえました。
ヨーシ戸をアケ?あれ開かない・・無理に開ける。戸が倒れて来る。頭に当たる。
戸があ痛―・しまった!・・・こんなバカな父親です!

昨年6年飼っていた犬が死にました。10月の移動で東京から郡山に転勤し、正月寂しいからと
ヨークシャテリアを飼い、私とカミさんの間に寝る家族の一員でした。我が家は家族全員
一睡もせず、鼻は真っ赤で目は腫れあがり、屑籠はティッシュの山、大変な朝になりました。

私は会社に電話を入れますが、声がガラガラ鼻は詰まってすごい声です。
「ツーツーツーもしもし桑原です、今日休ませてください」「どうした何があったんだ」
「ハイ犬が死んだんです」「なにい!犬が死んだら会社休むんか?」「すみません家族全員
泣き明かしまして、人の前に出られる顔じゃありません」「ウーン仕方ないな・・でも犬が
死んだから休むと人には言うな!」

サー今度はカミさんです。早口で「モシモシ情報2
Cの桑原史成の親ですが、風邪をひいたので
休みますガチャ!」あれだけシャクリアゲ泣いていたカミさんが、普通の声に戻って早口の
連絡です。女は強い物です。こんな事の繰り返しが、家族の絆を深めていったのでしょう。
お金こそありませんが、暖かい家だと思っています。

さて少し視点を変えて若乃花の婚約者、栗尾美恵子さんをご存知ですか?彼女が
JALに入社した時、
新入社員教育カリキュラムの講師をした土屋史子先生の話を聞く機会がありました。
JALの社員教育は、
大変素晴らしい物だそうです。その時出た話をしましょう。

まず野菜を好きになる事それも、ほうれん草がいいと言うんです。
ミネラル鉄分が豊富でポパイが大好きな物、位しか浮かんで来ません。
何の事だろうと思ったら、報告の報、連絡の連、相談の相だと言います。報告、連絡、相談これが
キッチリ出来る事が、新入社員としての基本だと言うのです。皆さん分かりましたね。
報告連絡相談のほうれんそうです。

最後に子育ては心育てと言います。お金をあげて服を着せて、飯を食わせれば、親の責任は終り
ではありません。大事な心を育てなければいけないと言う事です。しかし皆さん実はもっと深い
意味があるのです。それは心育ての意味は、我々親が実は「君たちに心を育てられている」と言う
一面がある事を!君たちはもっと自信を持って下さい。そして一緒に心を育てて行きましょう。

高校生活も残り少なくなって来ました。もっともっと楽しい、素晴らしい思い出を作って下さい。
ただし良い事と悪い事のけじめ、人が傷つく事!これに気を付けて、高校生活をエンジョイして下さい。

終わります。