辛い悲しい   思い出は

心を揺らし   震わせる
貴方のいない  この街に
音せぬ涙の  一滴
カツコツカツと  靴音は
貴方を呼んで  響行く
夢も希望も  何もない
今は虚しい  置き去りの町

貴方を求めて  ひたすらに
秋は去りゆき  冬近し
夜更けの街に  煙る道
そぼ降る雨は  絶え間なく
霧を集めて   糸になる  
降りくる雨は  音もなく
睫毛(マツゲ)を濡らし  通せんぼ
貴方のいない  置き去りの街

来ない携帯電話(デンワ)を  待つ私
後ろ姿に    ときめいて
追い越し見れば   知らぬ人
小指噛みしめ   揺れながら
彷徨(サマヨ)い歩く  夜の街
道掃き落ち葉が  ザザシャワと
囁(ササヤ)く言葉の  独り言
冬枯れ歩道(ミチ)は   置き去りの街