家出のお付き合い

千歳の青葉中2年の時、すごく親しい友達Aがいた。

Aが夕方家へ来たが、どこか元気がない「どうした?」と聞くと、「頼む玉ねぎ
(昔の私のあだ名)俺と一緒に家出してくれ」と言って頭を下げる。訳を尋ねても
中々言い出さない。しばらくして理由を聞いたら、なるほどと納得がいった。

確かに家出をするくらい悩んで、俺の所に来た理由はわかった。それから問題の
解決策とか、他に方法がないか話し合いを続けるが、Aの決心は変わらない。
12月22日もうすぐクリスマスと言う時で、夜家出をするには寒すぎる季節だが、
家出をすることが前提で暖かくなったらしようと、言う物でもないし決行が決まった。

私は母にAの家に今日みんなで集まって、一夜を過ごすけど毛布が足りないので
持っていくと断り、毛布2枚を持って線路わきにある、保線用の小屋に行って
泊まることにした。

しかし北海道の12月である、寒くて寝られる訳がない。二人で歯をガタガタ震わせて、
背中合わせに寝ていたが起きてしまった。もし本当に寝込んだら、大変なことになって
いただろう。

それから二人で相談し結論を出した事、それは中学校へ泊る事だった。
青中(青葉中学校)は出来たばかりで冬はペチカになっていて、夜じゅうポカポカ暖かいのだ。
それからの二人の行動は早いものだった勿論寒くて寒くて一刻も早く辿り着きたい
一心だったのだろうけど・・・

1階の教室で鍵の掛かってない所を見つけ、そーっと忍び込みそこの鍵はしっかり
閉めて戸締りをした。


その時机を引きずってしまい「ギ―ッと」大きな音を立てた。小さく声を上げた二人は
廊下のドアを少し開けて、しばらく様子を見たが誰も上がってこないようだ。
ホッとして又机を動かしていると、ダーとドアが開き大きな声が響き渡った。
「こらー誰だ!」と懐中電灯の光が、周りをそして我々を照らす。
薄明りに浮かび上がったのは、背の高いクラスを持たないT先生が、
竹刀を持って仁王立ちしている姿だった。

ビックリして物凄く驚いたが、その後の事は次の日二人とも職員室で、何人かの先生から
ビンタを貰った事しか覚えていない。

先生から「親友ならお前のした事は、ただのバカだ!他の方法で協力するのが本当だ」
もし死んだらお前の親は、又その事でAの親がどう思うか考えなかったろう?しかしAが
(玉ねぎは悪くない、あいつを叱らないで)と泣いて手をついていたぞ」と、言われたのには
心が熱くなった。

色々な事があった子供時代でした。

今の子供達はどんな経験をして、大人になっていくのだろう!
ただ私達が経験した事とは、かなり違う時代なんだろうなと思うこの頃です