ひろくんは五才、ようちえんのねんしょうぐみです
きょうはおかあさんが、ごはんしたくをしているので、パパがおおゆきのなか、
ようちえんバスをおむかえです。
「パパーただいまー!」きょうもひろくんは、げんきいっぱいです。
「あのね、きょうね、ゆきだるまつくったよ。そしたらね、あたまがね、
おおきすぎてね、たいへんだったよ」ひろくんは、きゅうにたちどまりました

なにかけったような、きがしたのです。そうすると、とつぜんゆきがふるえました。
みていると、なかからコネコがでてきました。

でもたちあがりません。「パパどうしたのかな?」「どれどれ、あーこりゃだめだ。
くるまにひかれたみたいだ」おとうさんが、だきあげるとコネコは「ギャー!」と
こえをあげました。

「あしがおれているし、ずっとゆきのなかに、いたせいかつめたいよ」ひろくんが
てぶくろをぬいで、はなにさわるとコネコは、ペロペロとゆびをなめます。

「パパかわいそうだよ、うちにつれていこう「ウーンでもママがなー」「おねがい」
「じゃーちょっとだけ。あったかくしてあげような」いえへついて、ひろくんが
おおきなこえでママをよびます。   

「ママー!ネコがけがをしているんだ」おかあさんが、いいました。「どうして
そんなきたないネコをひろってくるの、けがをしているだなんておーやだ」
「だって・・・」ひろくんはことばがつづきません。「なにいってるのママはどうぶつが
きらいなの」「ママのいじわる!エーン」ひろくんは、なきだしました。「あーあ、
ママがなかしちゃった。ひろくんだいじょうぶだよ、きょうはこのダンボールに
いれてあげよう」

パパはコネコをバスタオルでふいて、くすりをつけてあげました。なきじゃくりながら
みていたひろくんは、えびせんをもってきました。コネコはにおいをかいだだけでした。

「パパたべないよ、どうしよう」「じゃあひろくんがたべて、ちいさくしてあげたら?」
ひろくんがたべたえびせんを、こんどはコネコがペロッとなめました。
「あ!パパ、ちょっとなめた・・あ!こんどはたべたよ!!」おいしそうにコネコは、
たべはじめました。そしてのどをグーグーならしています。

ママがきていいました。「かわいいコネコだね、でもしんじゃうよ。パパあとから
すててきて」「やだー!このネコ、ぼくがまもる!!」  ひろくんはさけびました。
ママがいいました「ネコはね、たなとかテーブルにのぼるのよ、だからいぬより
きらいなの、はやくごはんたべようよ」

「パパはさきにおふろはいるよ、ひろくんもはいっておいで」しばらくして、
パパがふろからあがっていいました。「あれひろくんは?」「パパといっしょじゃ
なかったの?」ひろくんはどこにもいません、そしてコネコも・・・

ママが「わたしかなちゃんや、じゅんくんにでんわしてみる」「じゃぼくはそとを
さがしてみる」ふたりがどこをさがしても、どこにでんわをかけても、みつかりません。

「あっそうーだ」パパはおもいだしました。このあいだ、こわれたバスのなかで、
ひみつきちをつくっていたことを・・・・「わかった、あそこだ!ママいこう。」
バスのなかをのぞいてみると、バスタオルでコネコをだいて、ねむっているひろくんが
いました。「ひろ、だいじょうぶ?さむくないかい、ほらおきて」「パパねこは?」
コネコはつめたくなっていました。

かえってすぐ、ひろくんはパパとおふろで、おはなしをしていました。
「ひろくんえらかったよ、きみがコネコをまもってあげたんだ。コネコはごはんを
たべて、あったかなひろくんのむねのなかで、ねながらおほしさまになれたんだ。

きっとよろこんでいるよ」「うん、えびせんたべた、のどごろごろしてた」「ひろくん、
よわいものをまもってあげる、つよいひろくんでいてね」

「うん、パパおほしさまは?」おふろのまどをあけると、そらにはたくさんのほしが
いっぱいです。「あっ!」「アッ!」ふたりはどうじにさけびました。そこにはひとすじの
ながれぼしが、おともなくながれていきました。

おわり