結婚して長女が生まれた年、お盆にカミサンと北海道千歳の実家に帰郷した。
私と親父、弟二人と浜厚真へホッキ貝を取りに行った。親父が作った港の
防波堤が完成し、内湾にいるホッキ貝は死ぬ運命にあると言う。

北海道のお盆は寒い、ましてこの辺はいつも霧がかかっていることが多い。
寒い寒いと言いながら、海パン一丁で夫々網や玉ねぎ袋を持ち海に入った。

親父はヤスで砂を刺しながしら貝を探し、私は足で砂を堀り、感触で貝があると
海に潜って採るが寒い。私は丁度入れ物がなかったので、そのまま海パンに
直接入れていた。三つも採ると重くなり一度岸まで戻ろうとしたその時、
仰天すべき事が起こった。


なんと私の大事な所が貝に挟まれたのだ。「ウワー大変だ、助けてくれー!」
私の声を聞いて三人が駆け付けた。私は蒼白になりながら「○○玉を挟まれた!」
と叫んだ。恥ずかしさも忘れ急いでそれを見ると横の端っこが挟まれている。

親父がゲラゲラ笑いながら、ヤスでこじ開けようとするが手が震えて、
うまく口に入らない。すると貝はもっとしっかり口を閉じようとする。
「イテ、イデ、イデ!」やっと取れた時私の眼には涙が浮かんでいた。
そして他の三人の眼にも・・・

 
帰ってカミサンの前で話す三人を横目で見て、「冗談でない、こっちの身になって
見ろ!」とふてくされる私。追い打ちをかけるようにカミサンが「なくなったら
アンタ離婚だね」と笑って言う。何てこと親の前で・・・とあきれたが黙っていました。

 
後日談;本当にエライ目にあったのは次の日でした。紫色に膨れあがって、
大きくなると辛いのなんのって・・えっ「カミサンが喜んだろうって?
まさかそんな物使い物になりませんでしたョ・・・・」