「葉っぱのモモちゃん」

                                                                                                                                                       文 桑原 廣

文 桑原 廣

桜の葉っぱモモちゃんは、今日もキレイなお洋服を着ています。
一日一日色が変わる服を、とても気に
入っていて、
にいるママを見て言いました。
「ねママ、みんな秋になってステキな、お洋服着るけどなんで、いなくなっちゃうの?」          
「秋になるとみんな、キレイなお洋服を着て、旅に出るのよ」
「そうなんだパパも、お姉ちゃんもお兄ちゃんも、行ってしまったもんね」

そうなんです、秋になるとみんな葉っぱさんは、木から離れて旅に出るのです
その時急に風が吹いて、木の枝や葉っぱを
揺らしました

「キャー、ママいよう」大丈夫ですよどっちが先に行くかな?」
言ったとたんモモちゃんは、大きな風に
空高く舞いあがってしまいました
「スゴイ、スゴイ、高いわ!」
ぐんぐんとモモちゃんは、空高く上がって行きます。
雲さんが話しかけました「やーモモちゃん、ずいぶん高く迄上がってきたね」
「うわーとっても気持ちいな、ねー雲さんもっと遠くまで行きたいな」というと
雲さんが、口をとがら
せて「ピュー!」と、吹いたのです。
クルクルクルと回りながら、大きな山を越え、川を越えて海の見える、
田んぼまで飛んで来ました。

田んぼはちょうど、稲刈りが終わったところです。
ゆっくり右に左に揺れながら、フワリと降りたのは稲が積んである
案山子産の足元です

「やあこんにちは、ドコから来たの?」案山子さんが聞きました。
「あのね、ずっと、ずーっと遠い所」そういうと、モモちゃんは
心細くなって泣き出します

「大丈夫だよ、ここには悪い人はいないし、とって暖かいんだよ」
と声がします

足元を見ると稲ワラの下から」小さな頭が出てきました。それはカ
ワイイ子ネズミです。
「僕はチュウキチ、みんなチュウちゃんて呼ぶよ、君は?」「私モモ」
こうして二人は、友達になりました。

寝るときは、モモちゃんがオフトンで、チュウちゃんは「モモちゃんの服、
とってもステキだ」と言い
ました。世界に一つ、モモちゃんだけのお洋服、
モモちゃん
はとっても、ウレシクなりました。

朝になり、二人で稲ワラから頭を出すと、風が吹いてきてモモちゃんを、
田んぼのスミッコまで飛ばし
ました。あわてて、チュウちゃんが後を追うと、
狐が葉っぱ
のモモちゃんを口にしています。

「この葉っぱキレイだ、俺がもらっとこ」と言って、キツネさんは葉っぱを
頭に乗せて、とんぼ返りをし
ました。あっという間に、キツネはネコになりました。

ネコは言います「やいネズミ、お前は俺にかなわないだろう、食べちゃうぞ」と
叫びました。
チュウちゃんは、必死に考えました。
「お前なんか
こわくなんかないぞ、僕はヘビが嫌いなんだ、あのくさい奴は
大っ嫌いだ」と、キツネに向かって叫び
ました。

キツネは「ヨーシ見てろ!」言うが早いか、またとんぼ返りをして、あっという
間にへびに変身です。

ヘビになったキツネは、もう冬眠の季節なのですぐ丸くなって寝てしまいました。
頭から、葉っぱのモモちゃんをはがしても、キツネのへびは静かに寝ています。
「あー良かった」「ありがとうチュウちゃん、私どうしたらいいかわかんなくて・・・」
そのままチュウちゃんに抱き着いて、一杯泣いた葉っぱのモモちゃんでした。

あたたかい穴の中で、二人は静かに眠ります。そばで顔を出した、モグラさんが
「良かったね」と
つぶやきました。