私がC社に入社し、8年位した頃、Eさんが所長として転勤して来た。私と同じ年でS専務が大変溺愛している出世頭。評判も上々と、鳴り物入りの登場に私は大変緊張した。
第一印象は口元をチョット下げて笑うメガネの目の奥に鋭い眼光が、大変気になったものです。
札幌駅前通り北海同庁前の大同生命ビル
7階に、営業所を構え当時全支店営業所内で
一番管理費が掛かる場所でもあった。

新製品発売に
E所長は面白いアイデアを出した。全ての卸さんへ「本日発売の当社製品を宜しくお願いします」と言う電報を打ったのだ。色々なアイデアは我々にやる気を起こさせ、順調に売上は伸びていった。

ある時
S所長が「クワ!お前、夜に顔聞くだろう?トルコ(当時の呼び方)で○○観光の
領収書が貰える所を探してくれ」と言う。
理由を聞くと「卸のキーマンに、今日接待麻雀を
1日やるんだが、夜女抱かせる」と言う。

私は「冗談じゃない、それは正当な営業戦略じゃない。女衒じゃあるまいしそんな役は降りる」と言うと「俺がクワの面倒を見るから、誰にでもこんな相談できないだろう?ボーナスや給料、出世の為に一度くらい目をつぶれ、大人だろう」と言われた。

私はその一言に過剰に反応。「いやだ、金の為とか、出世の為に俺のプライドは捨てない」と宣言してしまった。それから風向きが変わった。

その頃E所長は北海道では自家用車や社用車に、クーラーが付いている事はめったになかったが、
E所長の自家用車はクーラーが付いていて、卸やスーパーバイヤーと同行すると大変喜ばれていたし、
自家用車に会社のガソリンを詰めるのは当たり前になっていた。
同じ営業にいた人達は、車内芳香剤をガソリン代として落としたりして、所長が認めているとの事だった。

私は一切そんなことはしなかった為、他の人から「クワだけしなかったらマズイよ」と言われても絶対しないスタンスで通した。函館出張所を閉鎖して札幌、空知を担当していたがすぐに函館担当に戻されたものの、七か月で東京転勤になった。

函館で栄転祝いとして3万2千円を頂いたのには他の人が「えッ!転勤祝いに卸から餞別貰ったって?そんな話聞いたことないぞ」と言われた。
ちなみにE所長は自家用車を車検に出した請求書を、会社の経費で落とそうとしたのがバレて、
退職した話を聞いたのは1年も経った頃である。もっとも他に理由があったらしいが・・・