フリーターという和製英語はすっかり社会に定着し、その数も151万人に達したと労働白書は報じた。定職に就くのを拒否する若者は増加の一途をたどる。反面高い失業率、また少子高齢化による労働人口激減・・・など複雑な側面を露呈しながら、いま日本経済は外国人労働者の受け入れ、つまり移民容認に決断を求められている。雑誌「週刊宝石」は経済界代表らによる、移民受け入れ是か非か・・・の論争を掲載した。同様のテーマは既に「ニューズウィーク」(日本版)でも取り上げられ、単一民族国家の日本もやがて”多民族国家”へ歩み出す事になろうと警鐘を鳴らしている。根拠になるのは、さる3月、国連からも報告された日本の労働人口(15歳〜64歳)の急速な減少だ。1995年の経済水準を維持するには、今後50年にわたり、毎年60万人以上の移民の導入が必要という等閑視できぬ事態である。「資源の無い日本で少子化は致命的、移民を適正規模で受け入れつつ、労働環境も整備する。老人介護ヘルパーなど特定技能者中心に認めよ」、など賛成論の一方「単純労働者が増えると、高賃金で楽な仕事は日本人、低賃金で3k(きつい、汚い、危険)の仕事は外国人という労働市場の二重構造を生み、共生できぬ民族集団を形成する。教育や住宅など受け入れ施設に膨大な費用を要し、かつ日本は階級社会になる。」の反対意見もある是非いずれにせよ、外国人労働者の存在なくして、もはや経済成長は望めない。しかし法的不備やさまざまな制限規則の為、打開への曙光はまだ見えていない。永住外国人への地方参政権付与法案は、遠からず「移民開国」に向かう大きなステップと考えて良いだろう。 (ジャーナリスト 山本栄一氏著)
少子高齢化社会と”移民容認”の決断めぐる議論