朝日を浴びて1日のスタートを
睡眠は脳を休め、体内の環境を整える大切な生理現象。脳自身がそれをコントロールしている。脳には「覚せい中枢」と「睡眠中枢」があります。それが視交叉(しこうさ)上核にある体内時計の作用によって、夜は眠くなって朝は目覚めるというリズムを作っています。眠りを誘うのは、松果体から分泌されるメラトニンというホルモンです。一方眠りを妨げるのは、音や光、触覚などの知覚刺激、それに過度のストレスです。人間の体内時計は、光の刺激が無いと、25時間で1日というリズムを刻む。それを24時間のリズムに合わせるのが、太陽などの強い光。特に朝の光は、脳と体を目覚めさせる大切な働きがある。不眠を訴えるのは40歳以上の中高年者が多い。過度のストレスが原因と考えられる。仕事や家族、健康、経済的な悩みなど、色々なストレスを抱えているのが現実である。仕事を終えて深夜に帰宅し、朝はいつも通りの出勤では睡眠不足になります。ストレスもたまります。休日には睡眠不足を解消しようとゴロゴロと寝てばかりでは、かえって夜の眠りを妨げます。スポーツや趣味に打ち込むなど、楽しいと感じる事でストレスを発散し、体を動かすようにしましょう。
寝具など環境を整える事も
日常生活を改善しても不眠が続く場合は、精神科や睡眠障害の専門医を受診したい。不眠の原因をまず探り、それを取り除きながら不眠の治療を行います。治療には睡眠薬を使いますが、不眠のタイプによって種類が異なります。睡眠薬は習慣になるなどといわれますが、医師の指示通りに使えば、ビール一杯より体への影響は少なく、副作用も殆どありません。
晩酌のアルコールは適量ならば眠りを誘う一因になるが、眠る為の寝酒は体に害を与え、朝早く目覚めるなど、眠りを妨げる事があるので避けたい。薬を使いたくないという人もいる。しかし、突然薬をやめるとリバウンドによって不眠がひどくなるケースもある。薬をやめるには、まず生活リズムを整え、徐々に服用量を減らしていき、これ以上減らすと効果が無いという必要最低用量にします。そのうえで、休日の前夜の薬をやめて睡眠の状態を確かめ、大丈夫ならば更に薬を飲まない日を増やしていく、という方法が取られます。不眠の症状がある場合や、再発した時は無理をせずに、薬を使った方が、体への負担は軽いという。人生の三分の一は睡眠時間です。音楽や照明、香り、ベッド、ふとん、まくらなど睡眠環境を整えることも快眠には大切です。充実した日常生活は、充実した眠りから始まるのです。ぐっすり眠って、スッキリ起きる。規則正しい生活を心がけ、メリハリのある1日にしていきたいものです。



不眠症に悩む人は日本で2000万人とも云われています。睡眠を妨げる要因には色々ありますが、睡眠のメカニズムや不眠の原因、快眠の方法などについて、日本睡眠学会の村崎理事長のお話よりご紹介します。

「神経質」「ストレス過多」に多い
睡眠不足は多くの人が経験している。集中力が低下し、力が出ない為に仕事や勉強がはかどらない。運転中に居眠りをしてヒヤッとすることもある。「ところが、単なる睡眠不足と思っていても、実は不眠症の事があります。自己診断テスト(表)で不眠度を測ってみて下さい。10点を超えたら何らかの対策が必要です。18点以上の人は専門医に相談した方が良いでしょう。」
不眠は、その状態によって大きく4つのタイプに分けられる。
@入眠障害(寝付きが悪い)・・・最も多いタイプ。神経質な人に良く見られる。早く眠ろうと焦れば焦るほど、眠られなくなる。
A中途覚せい(眠りが浅く、わずかな物音などの刺激で目覚める)・・・交代勤務や不規則な生活で、日々のリズムが乱れている時に起こりやすい。日光に当たらない生活によって体内時計が正常に働いていない可能性がある。
B早朝覚せい(朝早く目覚める)・・・高齢者、うつ傾向の人に多い。高齢の場合は、寝付きが悪く、夜中に目覚める事が良くある。うつ病の場合は、その治療をする事で不眠も軽くなる事がある。
C満足感の欠如(眠っているのに寝ている気がしない)・・・実際には良く眠れているが、本人は眠ったと云う満足感が得られず、不眠を訴えるもの。神経質で生真面目、完全主義、責任感が強いが、頑固で融通が利かないと言う人に多い。
質問 答え 点数
@昨夜はすぐ寝付けましたか・・・ A すぐに眠ってしまった(15分以内)
B 少し時間がかかった(30分以内)
C かなり時間がかかった(60分以内)
D なかなか寝付けなかった(60分以上)
A約何時間眠れましたか・・・ A 8時間以上
B 7,8時間
C 6,7時間
D 6時間未満
B眠りの深さはどうでしたか・・・ A ぐっすり眠れた
B 割合良く眠れた
C やや浅かった
D かなり浅かった
C夜中に何回目が覚めましたか・・・ A 0回
B 1回
C 2,3回
D 4回以上
D目が覚めた後どうでしたか・・・ A すぐにまた眠れた(目が覚めなかった人も)
B しばらく眠れなかった
C なかなか眠れなかった
D 朝まで眠れなかった
E 夢は見ましたか・・・ A まったく見なかった
B 少し見た
C かなり見た
D 夢ばかり見て寝た気がしなかった
F 朝何時頃目が覚めましたか・・・ A 普通の時間に覚めた
B 少し早く覚めた(1時間以内)
C 早く覚めた(1,2時間)
D かなり早く覚めた(2時間以上)
以上7問で @〜Fまでの合計点数を各A〜Dにより出して下さい。 合計点数
自己診断表
合計点数 睡眠状態
0〜2 きわめて良い
3〜6 ふつう
7〜9 不眠の傾向
10〜13 軽い不眠
14〜17 中等度の不眠
18〜21 高度の不眠
@〜Fまでの点数を合計し、自己診断表を参照。合計点が6点以下でも、1つの質問で3点がある場合は、診断を1ランク下へ、7点以上で、2つ以上3点がある場合は、2ランク下げて評価します。中等度以上の不眠、また、合計点数が低くても、下のG、Hの点数が高い場合は専門医に相談を。
質問 答え 点数
G朝目が覚めた時の具合はどうでしたか・・・ A からだの調子は良い
B からだ特に変わらない
C からだが少しだるく、頭が重い
D からだがかなりだるく、頭が重い
A 気分がすっきりしている
B 気分は特に変わらない
C 気分が少し悪い
D 気分がかなり悪い
H日中の具合はどうでしたか・・・ A からだの調子は良い
B からだは特に変わらない
C からだが少しだるく、頭が重い
D からだがかなりだるく、頭が重い
A 気分がすっきりしている
B 気分は特に変わらない
C 気分が少し悪い
D 気分がかなり悪い

計って分かる”あなたの不眠度”
どう違う?「睡眠不足」と「不眠症」