■ 2006年のペグインターフェロン治療
平成14年に従来利用できた東京都の「難病医療助成制度」が廃止になる。
かわりに、入院時のみに適用される「入院医療費助成制度」を利用出来る。
高齢で体力も衰えてきたので、主治医と相談し、再度の治療を受ける決意をする。
2004年に保険の適用になった「ペグインターフェロン・リバビリン併用療法」である。
9年前に行った従来型のインターフェロン単独型24週治療で治癒しなかった。
難治型といわれる1b型高ウィルス量(ハイタイター)タイプの患者に対する再治療は
「ペグインターフェロン・リバビリン併用療法」の48週治療が最も効果的で約50%の
治癒率があるといわれている。
2005年12月の入院治療をめざして、手続きを進めてきたが、11月になって、
突然右上腕がひどく痛みだして微熱が続き、夜も眠れない程であったため、止むを得ず、
同じ大学病院の整形外科で診察を受ける。
検査の結果は白血球の数値が非常に高くなり、炎症が起こっていた。
当初予定していた12月の入院を延期してもらい、炎症を押さえるために3か月間に及ぶ
抗生剤(ファロムA錠)の連続投与を行う。
それによって、血液検査の数値も正常に戻り、痛みも右肩のみに移行して肝炎治療に専念
することが可能になる。
しかし、症状の悪化を防ぐため、1ヶ月に7日間、抗生剤の投与を続けることになる。
5ヶ月遅れの2006年5月中旬の入院となる。
血液検査、心電図、眼底検査、それに、エコー肝生検の結果でも、血小板数(PLT)も
正常値以上あり、病棟担当医によると、肝生検サンプルの所見でも肝炎の繊維化の進行度
「F1」とのことでまずは順調なすべりだしだ。
---------------------------------------------------------------------------
2006年 5月17日 大学病院に入院(67才)
5月18日 超音波肝生研他各種検査
5月19日 ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の治療開始
↓ (ペグインターフェロン100μg/週+リバビリン800mg/日)
5月28日 大学病院を退院(12日間)
↓
6月 9日 リバビリンの投与量を減らす。(リバビリン600mg/日)
8月11日 リバビリンの投与量を減らす。(リバビリン400mg/日)
↓
2007年 4月19日 ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の治療終了(68才)
---------------------------------------------------------------------------
担当医の治療方針はでリバビリンの副作用の程度によっては、投与量を増減する。
高齢者の場合は、腎臓機能の低下により、リバビリンが血液内に留まりやすい。
---------------------------------------------------------------------------
★ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の治療方法
ペグイントロン(ペグインターフェロン)を週一回皮下注射(100μg)
レベトール(リバビリン)を朝食と夕食後に毎回1〜2カプセルを服用(200mg/カプセル)
ペグイントロン=レベトールと併用するペグインターフェロン皮下注射剤
レベトール =リバビリンを200mg含む抗ウィルス内服カプセル剤

■ 2006年のペグインターフェロン治療データ
以前は気になる検査データを主治医から聞き出してメモするだけだった。
今回から、検査データのコピーをもらえるようになる。
手元に蓄積された数値データを公開することで治療中の方や、これからこの療法を
受けてみようかと迷っている方の参考になればと思う。
●検査項目の説明
---------------------------------------------------------------------------
項目名 基準値 単位 検査の意味
---------------------------------------------------------------------------
AST(GOT) アミノ基転移酵素 10〜33 IU/L 肝細胞の障害の程度
ALT(GPT) アミノ基転移酵素 6〜35 IU/L 肝細胞の障害の程度
γGT ガンマグルタミルトランスペプチダーセ 12〜65(男) IU/L 飲酒による肝細胞の障害
LDH 乳酸脱水素酵素 130〜235 IU/L 胆汁のながれ具合
ChE コリンエステラーゼ 3200〜6800 IU/L 肝臓の栄養状態
Hb ヘモグロビン(血色素量) 13.5〜16.5 g/dl 赤血球の酵素を運ぶ
WBC 白血球数 4.5〜8.5 10000/μl 細菌やウィルスから守る
PLT 血小板数 150〜350 10000/μl 出血を止める
---------------------------------------------------------------------------
●血液検査データ
---------------------------------------------------------------------------
週- 年 /月/日 AST ALT γGT LDH ChE Hb WBC PLT 備考
基準低 10 6 12 130 3200 13.5 4.5 150
基準高 33 35 65 235 6800 16.5 8.5 350
---------------------------------------------------------------------------
2005/10/20 93 126 123 276 4819 14.6 9.1 374 PCR>5000kiu/ml
2006/04/06 44 42 - 238 5408 15.2 8.3 341 PCR=2900
/05/18 52 43 46 291 4704 14.2 9.0 378
01-2006/05/19 46 41 46 291 4930 14.4 8.8 394 レベトール800mg
/05/22 67 59 48 265 4245 13.4 5.3 261
02 /05/25 32 30 54 248 4631 13.8 5.3 267
03 /06/02 25 17 45 254 4726 12.4 5.3 332 PCR2.2
04 /06/09 21 14 40 223 5170 12.0 5.3 295 レベトール600mgに
05 /06/16 19 10 32 207 4723 10.9 4.9 239 ウィルス(-)陰性
/06/19 21 12 32 228 - 11.6 6.3 245
06 /06/23 20 11 31 234 4592 10.7 5.1 258
07 /06/30 36 25 29 247 4466 10.4 4.3 252
08 /07/07 21 18 28 217 4316 10.4 4.7 225
09 /07/13 22 13 27 231 - 10.9 4.0 211
12 /08/04 25 16 26 224 4474 10.2 4.5 248
13 /08/11 26 15 25 238 - 9.6 3.5 249 レベトール400mgに
16 /09/01 22 15 26 238 4062 10.2 2.9 219
18 /09/15 26 19 30 218 - 11.2 3.0 207
20 /09/29 25 18 31 195 4428 10.7 3.7 209 ウィルス(-)
22 /10/13 23 13 30 230 - 10.7 3.6 203
24 /10/27 23 15 26 206 4113 9.9 2.8 195
27 /11/17 21 15 28 230 - 10.9 3.4 181
28 /11/24 22 15 30 230 4789 11.1 3.5 195
32 /12/22 20 12 27 203 4623 10.8 3.2 198 ウィルス(-)
36-2007/01/19 23 18 31 218 5015 11.4 3.0 233 ウィルス(-)
/01/22 26 19 31 211 - 11.6 3.0 227
40 /02/16 29 21 32 222 5531 11.4 4.3 216
44 /03/16 29 27 34 206 5008 11.1 3.2 216
/03/26 41 37 39 221 - 11.2 3.5 238
49 /04/19 35 34 42 213 4831 10.5 2.9 211 ウィルス(-)
終了
---------------------------------------------------------------------------
53 /05/17 21 15 30 210 4949 13.0 5.2 251 ウィルス(+)陽性
57 /06/14 52 59 39 247 4795 13.7 6.4 258
58 /06/21 44 50 39 277 - 14.3 6.1 233
61 /07/12 PCR=3300
64 /08/09 54 49 45 293 5184 14.6 8.6 272
---------------------------------------------------------------------------
治療4週目で溶血性貧血の症状がひどいので、800mg/日を600mg/日に減らしてもう。
10.0を切って9.6g/dlまで下がってしまったので、400mg/日に減らしてもらう。
その後、Hbが安定してきましたので、この量で治療を続けることになる。
治療の結果は5週目でウィルスが陰性となる。
治療終了まで血中のウィルスが陰性を維持している。
しかし、治療を終えて約1か月後の53週目には再び陽性となる。
体内から完全に肝炎ウィルスを排除することができなかった。
主治医も「現在これ以上の治療法はいまだ見つかっていない…」とのことで、今の段階
では、完全治癒の治療をあきらめるしかないようだ。
余命いくら残っているかわからないが、たとえ有効な治療法が見つかっても、保険適用
までさらに数年待たなければならない。
その時に「厳しい副作用」に耐えうる体力が残っているかどうか、また、高額な治療費の
負担に耐えられるか疑問だ。
体力と経済力に余裕がある方なら、「ペグインターフェロン・リバビリン併用療法」を
試みる価値はあると思う。

■ 2006年のペグインターフェロン治療の副作用
@ インターフェロンの皮下注射によって、いわゆる「インフルエンザ症状」が始まる。
注射後、2〜3日間 37.5°〜38°の発熱とだるさおよび頭重が起こる。
日常生活でも、「やる気」が減退し、一日中ぼーとした状態が続く。
4日目から熱も下がり、症状も軽くなる。これが1週ごとの繰り返しとなる。
→インターフェロン治療終了の数日後には正常になる。
A 10分以上長く歩いていると、めまいがし周りが真っ白になって目が見えなくなる。
耳鳴りがし、両手両足、腰、首と体中の筋肉から力が失なわれてゆく。
その後、体中から汗が吹き出し、いわゆるショック状態となる。
約15分から30分程度、じっとしているとやがて治まってくる。
しかし、体に力がなくなり、歩くのもたいへんな状態が続くことになる。
このような状態が、いつ起きるか判らないので、だるさを感じたら直ぐに休憩をとる。
人で混雑する時間帯の外出はできるだけ避けたほうがよい。
→リバビリン服用終了後、しばらくは続くがだんだん状態が軽くなってくる。
B 爪がもろくなり、力を入れるとすぐに折れてしまう。
爪の表面が白くざらつき薄皮が剥けるようにはがれてくる。
→1か月経って、ようやく爪の状態も正常になってくる。
C 体中が、あちこち痒くなり夜も眠れなくなる。
皮膚が薄く弱くなって、ちょっとひっかいたところが傷つきやすくなる。
しかし、これが原因で化膿するようなことはなかった。
また、痒くて掻いたところとか、衣服でこすれた箇所があちこち内出血がおきる。
このために爪を短く切って予防する必要がある。
→治療後はひっかき傷の跡が残って、痒みがあり皮膚科の通院が必要。
D 時々、むせるような吐き気に襲われる。
吐き気は「胃や消化器」からくるのではなく、肺や気管支に原因があるように感じられる。
→この症状は治療を終えるとすぐになくなる。
E 時折、声を出す時、呼気がむせるようで、「あー」の発声が「あっはっはー」
といった感じになる。横隔膜の痙攣かも。
→治療後は全くなくなる。
F 食欲が無くなり、食物の好みが変わってしまう。
今までなんともなかった食べ物の味や匂いが気になって体が受けつけなくなってしまう。
牛乳をたっぷりかけた「コーンフレーク」がこの1年間の朝食になってしまった。
→治療が終わると、食欲は以前に戻る。
G 時々耳鳴りがおこり、話声が神経に障るように聞こえてくる。
しばしば、意味もなく怒りっぽくなり苛々した状態になる。
→治療を終えると全くなくなる。
H 多量の抜け毛が起きてくる。。かなり頭が軽くなった感じとなる。
それと共に、頭皮がかゆくなり、掻いたところが傷になりやすく、皮膚科の治療を受ける。
脱毛症や炎症防止に効く薬を処方してもらう。
→治療終了後、2〜3か月経って徐々によくなる。
I 階段を上ぼると、すぐに息切れがして、めまいが起こり足元がふらついてくる。
この症状は呼吸が苦しくなるものではなく、体がおもうように動かなくなるというもの。
日常的に貧血が起こるのではないかと危惧するようになり、電車に乗って出掛けたり、
街の人混みに出るのがとても怖くなってしまう。
→治療が終わるとなくなる。
年齢、体力など個人差はあるとおもうが、「副作用」はとてもきついものだった。
屋外で動けなくなった時、通行人に声をかけられ、救急車を呼ばれそうになった場合に
備えて、説明カードを作って名刺の裏に貼り付けて携帯していた。
ほぼ1年間、バスによる病院の往復以外はほとんど外出できず、身体がなまってしまい、
今でも体力不足で、階段の上り下りはきつくて、平地を歩いてリハビリしている。

■ 2006年のペグインターフェロン治療費
2度目のインターフェロンの治療にあたり、一年間どの程度の治療費を用意すればよい
のか私なりに調べてみた。
ネットで調べても最新医療のためか、データの載っているサイトは見つからなかった。
近くの書店で NHKきょうの健康「肝炎・肝硬変・肝がん」という本を見つけた。
その中の「知っておきたい治療費のこと」で、体重別のペグインターフェロン投与量と
リバビリン薬剤料負担額を表にして説明していた。
+++++++++++++++++++++ 以下抜粋
ペグインターフェロンとリバビリン併用療養の薬の価格
●薬剤料
---------------------------------------------------------------------------
50μg 16,585
円
ペグインターフェロン 100μg 32,447
円
150μg 48,047
円
---------------------------------------------------------------------------
リバビリン 1カプセル (200mg) 910.3
円
---------------------------------------------------------------------------
●体重別投与量と薬剤料負担額
---------------------------------------------------------------------------
体重 ペグインター リバビリン 1か月 負担額
フェロン (1日投与量) 薬剤料総額 (3割の場合)
(1回投与量)
---------------------------------------------------------------------------
35〜60kg 100μg 600mg 211,715 円 63,515 円
60〜75kg 100μg 800mg 239,024 円 71,707 円
76〜80kg 100μg 800mg 301,424 円 90,427 円
80〜120kg 100μg 1000mg 328,733 円 98,620 円
---------------------------------------------------------------------------
++++++++++++++++++++ ここまで
次の概算の設定条件は体重62kg
ペグイントロン(100μg)を月4回注射。
レベトール(800mg)を30日分を処方。
●48週の治療総額の概算(その他の診療科の費用は含まれない)
---------------------------------------------------------------------------
診察・検査・注射・処方 (29,900x1)/月 = 43,200x12 = 518,400 円
注 射 (32,700x3)/月 = 98,100x12 = 1,177,200 円
薬剤料リバビリン (910.3x4x30)/月 = 109,200x12 = 1,310,400 円
小 計 = 3,006,000 円
---------------------------------------------------------------------------
入院費(診察・検査・肝生検)
500,000 円
---------------------------------------------------------------------------
合 計
3,506,000 円
---------------------------------------------------------------------------
本人負担額(3割の場合) 1,051,800 円
---------------------------------------------------------------------------
やはりなんといっても最大の問題点は「高額な治療費」に尽きる。
3割負担で約8万円/月を1年間負担するのは年金生活者には容易ではない。
●高額療養費に対する公的助成制度としては、
1)高額療養費払戻制度
同一医療機関(総合病院においては各科ごと)で、その月の1日から末日までの1ヶ月の
支払額の自己負担金が一般患者で72,300円(平成18年9月以降80,100円)を超えた
額を申請手続きすれば4か月後には返還される制度。 窓口は自治体/社保協
組合険保の場合付加給付という制度を適用できるようだ。
2)高額療養費貸付制度
支払額の8から10%を借りることができる。 窓口は自治体/社保協
3)高額療養費委任払い制度
患者に代わって医療機関が直接請求手続きを行ってくれるありがたい制度。
ただし、現在医薬分業になっていますが、薬剤は院内処方にする必要がある。
この制度は自治体と医療機関が対応している場合のみ使える。 窓口は自治体
