■ C型肝炎だって!
今では記憶が薄れているが、
1947年(昭和22年)のはじめ、当時8才になったばかりの頃。
遊び疲れて家に帰ったある日、40度を超える熱が出、右膝の激しい痛みで歩け
なくなる。
「腸チフス」の疑いがあると往診の医者の診たてで市立病院に搬送される。
そのまま隔離入院となってしまう。
入院中は足だけではなく全身のいたるところの関節が痛み出し、寝たきりの状態
となる。
痛みがひどく食事を受けつけず、栄養補給のために「ブドウ糖の静脈注射」と「牛乳」
それに「リンゴの絞り汁」で3ヶ月の入院生活となる。
病状がいっこうに改善せず、病名が不明で治療法も無く、痛みも薄らいできた
ので、担架にのせられたままで当病院を退院する。
退院後、左股関節の脱臼もあって、手足の筋力が衰え歩行できないようになる。
マッサージ治療と自宅でのリハビリによって、約1年後、歩けるようになった。
それから数年間、身体中の関節と長骨が次から次と痛みだして化膿する。
自然に排膿すると治ってしまうという状態が続く。
後に、骨髄手術のため入院した県立病院(旧陸軍病院)の整形外科でついた病名
がブドウ球菌による「慢性骨髄炎」である。
C型肝炎ウィルスが体内に入ったのは、1956年(昭和31年当時17才))頃に行なっ
た左脛骨および右上腕骨の骨髄手術の際の2度の輸血によるものと思われる。
手術前、同じ血液型の若い健康な輸血者を、患者側が用意するのが通例だった。
手術後に、「日赤の輸血を使うから、輸血者を捜してくる必要がないんだって…」と
輸血の提供者を探していた母親がいたく感心していたのが思い出される。
その後、成人して社会に出てから輸血の「ご恩返し」のため、せっせと「献血」
をする。そして、「日本赤十字社」から立派な「献血功労賞」のバッジまでもら
ってしまう。

■ 1997年のインターフェロン治療
手元の記録によると、
1976年4月の「健保組合」の定期検診で肝機能低下を指摘される。
3か月後の再検査でも数値が改善せず、過労にならぬよう指示される。(37才)
その後、1980年08月より近くの大学附属病院に検査のため通うことになる。(43才)
病名は「肝機能障害」→「非A非B型肝炎」と診断され最終的に「C型慢性肝炎」
となる。それは、1991年になってからだった。(52才)
比較的安定していたGOT(AST)、GPT(ALT)の数値が動いたのが1996年であった。
遺伝子型は日本人に最も多い完治しにくい「1b型」だった。
1992年からインターフェロン単独投与は24週に限って、健康保険が適用となる。
1980年以来、肝機能を示す数値が安定していたが、1996年から数値が高まりだす。
肝炎ウィルス感染時より、実に40年後となる。
東京都の「難病指定」の認定は、当時の主治医の勧めで、治療を受けることを決心
する。
最長24週のインターフェロン単独投与である。
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1997年 7月 9日 大学病院に入院(58才)
7月10日 腹腔鏡肝生研手術
7月22日 インターフェロンβ連続投与治療開始(βフェロン300万単位x2回/毎日)
↓
8月 2日 インターフェロンβ連続投与治療終了
8月 6日 インターフェロンα連続投与治療開始(αスミフェロン900万単位/毎日)
↓
8月20日 大学病院を退院(43日間)
8月22日 インターフェロンα900万単位週3回投与外来通院治療を開始
↓
1998年 1月16日 インターフェロンα900万単位週3回投与外来通院治療を終了
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担当医の治療方針は、
@尿蛋白1+ならβフェロンを使えるので先ず2週間投与する。
A尿蛋白が4+〜5+になった時点で休みを入れ、αフェロンに切り換えるか検討。
B尿蛋白値が8+に達すると腎臓への悪影響から、毎日、尿蛋白値をチェックして
投与するというものだった。
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★βフェロン300万単位を朝食前と夕食後2回=600万単位毎日点滴投与。
1997年 07/22(火)朝食前 37.9℃、夕食後 40.6℃ 治療開始
↓
1997年 08/02 36.9℃ 37.5℃ 治療中止
尿蛋白が5+〜まで増えたので、βフェロンを中止してαスミフェロンに変更。
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★αスミフェロン900万単位x1/毎日朝食後 筋肉注射。
01週 1997年 08/06(水) αスミフェロン900万単位毎日 治療開始(58才)
↓ ↓
03週 1987年 08/20 αスミフェロン900万単位毎日
8月13日 尿蛋白が(-)陰性に。
8月20日 退院以後、週3回αスミフェロンを外来にて注射。
1997年 08/22 これまで常用していた血圧降下剤(アダラートL)の投与中止
03週 1997年 08/22 αスミフェロン900万単位週3回
↓ ↓
24週 1998年 01/16 αスミフェロン900万単位週3回 治療を終了(59才)

■ 1997年のインターフェロン治療データ
●血液検査データ(治療前)
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年/月/日 AST/GOT ALT/GPT 備考
基準値 10〜35 6〜35
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1976/04/12 43 82 肝機能低下(37才)
/06/04 47 62 機能やや低下
/09/20 42 61 肝障害あり
/12/14 52 71 肝機能障害
1977/01/10 29 47 ほぼ正常
1980/07/23 54 38 肝疾患(41才)
/08/18 25 26※ 数値が高い(正常値〜15)
/09/04 ICG,RI検査/肝機能正常
/10/03 15 17※ 高め(正常値〜15)
1983/09/09 38 37 肝機能要再検
1984/07/30 47 60 肝疾患(疑い)
/08/22 14 14※ 正常範囲(正常値〜15)
1988/01/17 48 56 肝機能障害疑い
1993/01/15 28 20 正常範囲
/11/09 25 16※ 高め(正常値〜15)
1995/09/20 65 79
/11/22 54 62
1966/05/08 75 102 数値が動く(57才)
/06/10 80 127
/07/15 88 126
/08/28 88 136
/11/25 119 182
1997/01/20 140 215
/03/17 151 210
/05/12 163 215
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注:※の数値は国際単位(IU/l)の約50%を示す(正常値〜15)
●血液検査データ(治療中)
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年/月/日 AST/GOT ALT/GPT γGTP ウィルス 備考
基準値 10〜35 6〜35 12〜65 Kcopies/ml
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1998/02/13 19 8 25
/03/04 34 35 77
/05/11 37 35 29
/06/10 32 31 22
/07/08 29 27 (+) 終了から6か月 陽性
/08/05 28 24 1400
/09/16 43 34
/11/18 35 31
/12/14 32 28 670
1999/02/26 26 29 16
/03/08 32 32
/06/09 31 27
/07/28 23 20 1600
2000/03/07 32 33 19
/07/05 34 33 850 ユリノーム服用開始
/08/15 36 34 680
/09/27 153 197 ユリノーム服用中止
/11/29 71 108
/12/25 39 44
/05/14 31 27 850
/09/10 32 26
/12/12 27 27 23 240
2002/01/15 27 25 23
/03/06 32 38 23 340
/07/03 26 25 22
/11/21 40 43
2003/02/14 35 35 22
/05/22 40 39 850
/09/25 40 39
2004/01/22 41 44
/02/20 34 31 23
/07/08 43 42
2005/01/20 63 60 66 >5000
/02/13 54 55
/02/15 63 60 66
/06/23 47 47
/10/20 93 126 123 >5000
2006/01/19 48 47 2900
/02/13 54 55 63
/04/06 44 42
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注:※尿酸値を下げる薬のザンタックに換えてユリノームを服用
その後GOT,GPTの数値が急上昇したので元のザンタックに戻す。
2006年5月17日に2度目のインターフェロン治療のため大学病院に入院(67才)

■ 1997年のインターフェロン治療の副作用
@βフェロンの場合
朝食前の点滴後、38℃〜37℃の発熱はあるが身体的な異常はあまり感じない。
夕食後の点滴後は、悪寒と発熱が始まり湯たんぽと毛布を掛けてもらう。
最初の3日間は40℃の発熱でロキソニン(解熱剤)の投与を受ける。
また、電解液500mlの点滴を受ける。
その後、日を追って発熱高さが減少してくる。
βフェロンを投与中は外出を経験していないので、貧血などの症状はない。
Aαスミフェロン毎日注射の場合
01週 食事中唾液の出が悪くなり、食欲が減退、微熱 37.0〜38.0℃筋肉痛
02週 軽い吐き気を感じる
03週 外出時、町中で貧血に襲われ、脱力感で歩行が困難
貧血気味、血圧 97/66 に下がる
主治医によるとインターフェロンによる一種のショック状態
退院時、貧血気味。血圧 97/66 〜 102/72
Bαスミフェロン1日おき週3回注射の場合
外来で1日置きのαスミフェロンの注射では、微熱と食欲不振、軽い吐き気
疲労感といった「インフルエンザ症状」は継続する。
しかし、次の日の注射の休みの日は症状が改善する。
その後、体力が回復するにつれ、貧血に悩むことはなくなる。
体温と血圧の平均値
注射日:37.3〜37.8℃、124/66〜129/82
休み日:36.2〜36.6℃、116/73〜123/69

■ 1997年のインターフェロン治療費(推定)
東京都には「慢性肝炎」を難病に指定し、入院および通院治療に要した費用のうち、
被保険者の窓口負担額を公費で負担してくれる医療福祉制度を設けていた。
今回は、この制度を有効に利用することが出来た。とても有り難い制度だ。
当時の資料から、インターフェロン治療に要した費用を算出してみた。
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@βフェロン600万単位(300万x2)/日 67,360x2x12日=1,616,640 円
Aαスミフェロン900万単位(300+600万)/日(17,520+34,250)x15日=776,650 円
αスミフェロン900万単位(300+600万)/週3回(17,520+34,250)x3x22週
=1,436,820 円
B肝生検、超音波、血液検査料、入院費一式 推定 1,200,000 円
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全治療費総計 5,030,110 円
本人3割負担額 1,509,033 円
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注:この薬価は1993年05月を参考に算出。
