ウミウ捕獲場





 岐阜県長良川(ながらがわ)などで有名な「鵜飼(うか)い」の文化を支える鵜捕(うと)りの技術が、十王町伊師浜で受け継がれています。
 今回、3人の子ども通信員が、実際に鵜捕りが行われている「ウミウ捕獲場(ほかくじょう)」を取材しました。

子ども通信員(左から岡部あゆみさん、小林捷汰さん、保里彰人さん)が、ウミウ捕獲場と鵜捕りを紹介します(写真は、捕獲場へ続くトンネル入り口の案内板前にて)。

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日高中学校3年  保里 彰人(ほり あきひと)さん
 5月17日に、十王町の鵜の岬にある「ウミウ捕獲場」を見学してきました。ここは、全国の鵜飼い地へウミウを供給している唯一の捕獲場です。
 ウミウの捕獲は、岸壁に設置された鳥屋(とや)の中で行われます。鳥屋の外におとりのウミウを配置し、群れを離れて休もうとするウミウや波間で遊ぶウミウが、おとりの姿に誘われ、鳥屋の前に降りたところを捕獲者が「かぎ棒」を足首にかけ鳥屋内に引き込みます。「かぎ棒」は篠竹(しのたけ)の先端にU字型の丈夫な針金を取り付けてあり、ウミウの止まる位置に合わせるため、長さの違う「かぎ棒」が作られています。そして、もう片方の足も捕まえて動けないようにし、かまれないようにしながら、「はしかけ」というくちばしを保護し攻撃を防ぐ道具を付けます。
 捕獲したウミウは、獣医が病気にかかっていないかどうかを検査した後、「鵜籠(うかご)」というかごに入れられて各地へ送られます。
 ウミウの捕獲技術は、平成4年に市の無形民俗(むけいみんぞく)文化財に指定されました。ウミウの捕獲者が減少してしまった現在、捕獲は市の事業として行っています。興味のあるかたは、7月〜9月、1月〜3月に捕獲場が公開されているのでぜひご覧ください。
 後継者も少なく、必要な道具も自分たちで作っているので、大変な仕事だと思いました。


根本さん(写真右)の説明を熱心に聞く子ども通信員の皆さん。




豊浦中学校1年 小林 捷汰(こばやし はやた)さん
 日立市には、1,300年の歴史を誇る鵜飼いを支えてきた伝統の技があります。伊師浜で捕まえられたウミウは、トラックや航空便を使用し、岐阜市や京都府など全国11か所の鵜飼い地に供給されます。
 ウミウは、高い所に来る習性があるため断崖絶壁にある鳥屋の前に置いたおとりのウミウで呼び込み、捕獲者がタイミングをねらい、かぎ棒で足首をひっかけて引き込みます。
 捕獲に使う道具類のかぎ棒や鵜籠は、伝統的な手法で手作りしています。そのためひとつひとつ形が違っています。かぎ棒による捕獲は、若くて大きなウミウを選んで捕獲出来ることと羽などを傷めずに捕獲出来る利点があり、全国の鵜飼い地から高い評価を受けています。
 鵜飼い地では、鵜匠(うしょう)たちが船の上からウミウを操る様子が見られ、遠い昔にタイムスリップしたような不思議な世界を味わうことが出来るそうです。
 捕獲場の見学は一般にも公開されており、国民宿舎鵜の岬などでは捕獲の様子のビデオも見られます。皆さんも、ぜひ伝統の技を見学してみてください。
 僕は、この取材を通して日立市の魅力を改めて感じることが出来ました。これからもウミウのことに、もっと興味や関心を持っていきたいと思いました。


ウミウ捕獲についてビデオを見ることも出来ます。




十王中学校3年 岡部(おかべ) あゆみさん
 現在、鵜捕りは、技術継承者(けいしょうしゃ)の沼田さんと、その後継者の根本さんと大高さんの3人で行われています。「鵜捕り」とは、ウミウを捕獲することという意味で、この技術は市の無形民俗文化財に指定されています。
 私たちは、後継者の根本さんに、ウミウの捕獲の仕方や体験談などを伺いました。
 ウミウの捕獲は、鳥屋と呼ばれる崖の上に設置された小屋で行われます。まず、鳥屋ののぞき穴から、外にやって来るウミウの様子をうかがいます。このとき、片目でしかのぞけないので遠近が分からなくなってしまってたいへんなのだそうです。
 次に、かぎ棒という道具を使ってウミウを捕獲します。かぎ棒とは、細長くて、先端がU字に曲がっている棒のことです。その先端部分をウミウの足に掛け、鳥屋へ引き込みます。そのとき、逃げられないようすばやく引きます。
 鳥屋やかぎ棒、そのほかウミウの捕獲に使う道具は、捕獲者によって作られています。
 私は、ウミウの捕獲が伝統的な方法で行われていることに驚きました。この鵜捕りの技術がこの先ずっと受け継がれていけばいいと思います。
 また、捕獲地は一般に公開されているので、たくさんの人に見てもらいたいです。


実際に鵜捕りが行われる鳥屋は、直立出来ないほど低い造りになっています。

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