39. 大久保の風穴

大久保の風穴
大久保の風穴断面図




所  在  地:日立市大久保(国有林)

 風穴は、桜川の上流にある。末広町5丁目の中丸団地入り口を過ぎて、桜川の谷に沿って杉木立の道を約1km行った南斜面にある。
風穴付近の地形は、小さいながらも急峻なV字型の幼年谷である。これは桜川が石灰岩地域を、侵食したあとにつくったところの地形である。
風穴付近の地質を観察すると、石灰岩層が緑泥片岩のなかにレンズ状に入っていることがわかる。風穴には、上下2つの洞穴あって、上の洞穴が普通に見学できる穴である。
下の洞穴からは、地下水が湧出していて桜川に注いでいる。穴の規模は高さが1.5m、幅が0.5mであるが、奥行き1.5m付近で、穴は急に狭くなっていて人は入れない。
風穴を見学するためには、足場の悪い急な坂道を、約35m登り、さらに岸壁を鉄の鎖を伝わって3mほどよじ登ると入り口に着くことができる。
入り口に着くと洞内から微風が吹き上げてきて、なるほど「風穴」という名称の由来が実感できる。
風穴の規模と、風穴の様相は、上の断面図のようである。
このように入り込んだ洞穴が、多年にわたる溶食という自然の営みによって造られたことは、驚嘆するばかりである。
入り口の大きさは高さが3m、幅2mで、洞穴内に容易に入る事ができる。ただし洞穴内は無灯火なので、懐中電灯が必携である。
このライトを頼りに、途中体をくねらせたり,急な絶壁を鉄ばしごで登ったりしながら「8畳の間」まで、約30mの奥まで行ける。
これより先は竪穴になっているので危険防止の鉄柵がある。
暗くて計り知れないような奥行きをもつ洞穴は、何か神秘性が感じられる。風穴についての伝説に「この風穴は天神が造ったもので、
人間がこの穴に入ろうとすると、必ずこの洞穴から風が吹いてくる。」というのがある。また、洞穴内には石塔などがあって、信者の霊場になっている。
 

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