特集:日立市の大煙突、すごいんです。

日立のすごいところを、各メディアを活用して一斉に広報する「日立市ってホントはすごいんです!」プロジェクト。今回は、第2弾として「大煙突」をご紹介します!
 まちの成り立ちを語る上で欠かすことのできない、日立市のシンボル「大煙突」。煙害からまちを守った大煙突には、すごいところがたくさんあります。
 今号では、「今さら聞けない?知っているようで知らない?」大煙突の秘密を7つピックアップしてご紹介します!



(1)世界一の高さで環境問題を解決!?


久原房之助
約100年前、日立鉱山の煙が近隣の植物を枯らしてしまいました。さまざまな対策が講じられるなか、久原房之助が主体となって、高い煙突をつくり煙を拡散する方法にたどり着きました。大正3年12月20日、当時では世界一の高さを誇る大煙突が完成、煙の害は激減しました。
 大煙突建設は約100年前に行われた環境問題を解決しようとする一大プロジェクトでした!


日立鉱山の創業者。煙害の対策として、当時、最良とされていな
かった方法である大煙突の建設に踏み切り、見事、煙害が激減。

(2)たった1年で完成!?  


建設中の大煙突
大正3年3月に着工し、同年12月には完成、翌年3月には稼働していた大煙突!恐るべきスピードで作られました!
 完成までのスピードもさることながら、高さはなんと当時世界一の155.7メートル。さらには当時国内では技術が確立されていなかった鉄筋コンクリート製。工事で使用した足場丸太は30,000本、作業した人の数は36,840人!大煙突の名に恥じぬ「大工事」でした!

(3)小説・映画のモデルになった!?

大煙突にまつわる歴史をモデルに描かれた小説が、新田次郎著『ある町の高い煙突』。映画化され、今年6月に公開予定!
 2月2日には先行特別上映会、2月3日・11日には日立市民限定の特別上映会を開催し、約4,500人がひと足早く鑑賞しました。
 さらに、昨年の夏には「小説『ある町の高い煙突』読書感想文等コンクール」を開催。応募総数は1,068件も。まち全体が映画化で盛り上がっています!
 *下記の小説「ある町の高い煙突」読書感想文等コンクールにも詳しく掲載しています!!

2月3日 日立市民限定の特別上映会

左から俳優の城之内さん、主演の井手さん、松村監督
映画のワンシーン(copyright Kムーブ)

(4)平成5年の衝撃、大煙突折れる!?

平成5年2月19日に大煙突は突然、およそ3分の1を残して倒壊し、市民に衝撃を与えました!
 当時、市民の中には大煙突の倒壊に驚き、涙を流し、意気消沈した人もいたと言います。
 しかし!折れてもなお、約100年前に建てられた大煙突は、現在も現役!
 JX金属株式会社日立事業所の設備として稼働しています。

155.7メートルの大煙突 ⇒ 現在の大煙突  

(5)日立市民、大煙突を愛しすぎ!?

煙突周辺の学校(仲町小・宮田小・平沢中など)では、
「校歌」で大煙突が歌われているほか、「日立市民の歌」にも大煙突が登場します!

♪神峰の山の 朝日かげ
  大煙突に さし初(そ)めて
  高く輝く かの雄姿
  日立健児の 意気と見よ♪ (*仲町小校歌1番)
だいえんとつくん

平成2年には、日立青年会議所がダイナミックに大煙突のライトアップを実施し話題に。
また、日立駅前に折れる前の大煙突先端部の内径・厚さを
再現したベンチが設置されるなど日立市民にとって、
大煙突の存在がいかに大きいかが分かります。

ライトアップされた大煙突
折れる前の大煙突先端部の内径・厚さを再現したベンチ

(6)大煙突で天気予報!?
 日立市には天気にまつわることわざがあります。
 「煙が太平洋に向かうときは晴れ、入四間の方に流れるときは曇り」、
 「大煙突の煙が北西にたなびくときは雷に注意」
 ・・・本当なのでしょうか。全国で唯一、
地方自治体の直営で気象観測・天気予報を行っている「日立市天気相談所」によると、
これらは本当であるとの回答が!実際に今でも相談所が気象観測をする際に、
煙突の煙を確認しているそうです。
 天気が気になるときは大煙突を見てみよう!

煙突の煙はどうかな〜?
天気相談所 川邊主幹(気象予報士)

天気相談所とは
日立鉱山が煙害対策のため行っていた気象観測を昭和27年に市が引き継ぎました。

(7)巡りたい!ゆかりの地がある!?

 大煙突や日立鉱山ゆかりの地が日立市内にはたくさんあります!
 この地に刻まれた固有の歴史を肌で感じられる場所をピックアップして、
巡りたい!ゆかりの地に掲載しています!

さくらちゃん



小説 「ある町の高い煙突」 読書感想文等コンクール

小説「ある町の高い煙突」の映画化に合わせ、子どもたちに、
市民と企業が協働して煙害を克服した本市の歴史を身近に感じてもらうため、
市内全中学2年生を対象として読書感想文などのコンクールを実施しました。
 その中から、特に素晴らしかった作品に贈られる市長賞(最優秀賞)3作品をご紹介します!
 その他の優秀作品は、広報戦略課シティプロモーション推進室のホームページで掲載しています。
 右記のQRコードからご覧ください。

読書感想文 応募数 505点

日立第一高等学校附属中学校 
寺ア千尋(てらさき ちひろ)さん

共存の町、日立
 もし日立で一番素敵なところはと聞かれたら、私は桜と答える。いくつかの工場の隣りを通って通学しているが、毎年開花時期になるといつもの風景が別世界に様変わりする。ここにもと思う程日立には桜があり、花に囲まれていると不思議に優しいものに包まれている気持ちになる。今回この本を読んで、日立に沢山の桜がある理由がよく分かった。安直に植樹したのではなく、人々も工場も共存出来る魅力ある町にしようという願いを込めて行ったことだと知った。
 今もきららの里方面に向かう途中で、大煙突を見ることが出来るが、ここから工場の町が始まったと思うと感慨深いものがある。だがその道のりは苦労の連続だった。経営が順調になった頃から、銅を採掘する際に排出される煙害が人々を苦しめた。肺病を患い亡くなった人や、植物が枯れてしまうために生活が出来なくなり、住み慣れた地を離れた人もいた。例えそこに住み続けていても、周囲の人が病を患っている姿や春になっても葉が育たない様子を目にする度に、当時の人々は不安でたまらなかったことだろう。では安全性を優先して、生活を脅かすものは撤廃すれば良かったのだろうか。先人達が選んだのは共存、共栄だった。
 主人公の関根三郎は旧制一高に合格していたにもかかわらず、村に煙害被害の調査にやってきたスウェーデン人技師より煙害被害を知り、進学を断念してまでも煙害のために努力を尽くした。安易に被害を訴えるのではなく、日立より以前に煙害にあった四国などへ行って調べたり、気象庁では日立の風の向き等を調査した。一方鉱山側は多くの従業員を雇っているため、十分な賠償金を支払う等の対応は出来なかったが、神峰煙道やだるま煙突などを作って煙害の軽減をしようとした。また日立には全国でも珍しく市役所内に気象業務部署があるが、会社が鉱山から出る煙の流れを観測するために気象観測所を設置したことに由来するものだった。
 そうした沢山の努力によって、1914年に大煙突が完成した。製錬所周辺に垂れ籠めていた煙が消えていく様子に、人々は感動し深く心に刻みこんだことだろう。一般には被害者は「善」と判断しがちだ。だがもしその考えに固執していたならば、今に至ることは出来なかったと思う。
 公害というと足尾銅山の田中正造を思い浮かべる人が多いだろう。だが公害病の被害にあった地域は実際にはとても多く、日立もその内の一つだった。今地球を取り巻く環境は温暖化やオゾン層の破壊等、種々な問題を抱えている。どれも難しい問題ばかりだが、諦めたらそこまでだと今を生きる私達に三郎達が言っている気がする。
 私は生まれた時から日立に住んでいるが、日立市民であることを誇りに思う。来年の春は、かつて煙害と闘った人達のことを思いながら日立の山桜を見に行こうと思った。

?【受賞者コメント】
 本を読む前は、大煙突が世界で一番高かったということしか知りませんでしたが、日立が工場の町となった象徴でもあるのだと知り、とても感慨深いです。今年の桜は、日立の環境回復に一翼を担ってきたという歴史を感じながら見に行きたいです。


読書感想画 応募数 95点


久慈中学校 石井樹里(いしい じゅり)さん
【受賞者コメント】
 私は、この本を読んで、大変な煙害に悩んでいた日立が、
大煙突によって明るさを取り戻し、緑が増えていった様子を描こうと思いました。
私たちの町のシンボルを描き、入選できたことを、とても嬉しく思っています。
ありがとうございました。

キャッチコピー 応募数 468点

青年は目をそむけなかった。
勇気と忍耐、その先に築き上げたものとは・・・?
多賀中学校 小野礼樹(おの れいじゅ)さん
【受賞者コメント】
 日立市の歴史に大きく残る大煙突に関する賞をいただき、とても嬉しく思います。
公害の被害を受けている人々や町から目をそむけない勇気と、
問題を解決するにあたっての忍耐に感動したので、
勇気と忍耐を中心に表現しようと思いました。



巡りたい!ゆかりの地

大煙突には、ゆかりの地がたくさんあります。
今回は、その中でも特に縁が深いスポットを紹介します!

歴史探訪の途中には!?

カラミ
鉱山の製錬所の溶解炉で銅鉱石を溶かすとハ(かわ)(銅)と゚(からみ)(銅以外のもの)に分離されます。製錬所跡の斜面にこのカラミが広がり、黒く観える光景は日立市ならでは。
?鉱山電車跡
助川駅(現在:日立駅)から製錬所のある大雄院まで結んだ専用鉄道。1908(明治41)年に開通。1960(昭和35)年に廃止。現在もその跡を追うことができます。
(1)日鉱記念館
大煙突にまつわる歴史的資料、鉱石、鉱山機械などを展示。大煙突の歴史はもちろん、日立市発展の歩みや日本の近代産業史を学ぶことができます。先人たちが残した偉業の数々をご覧ください。
(2)御岩神社
188柱の神様が祀られる由緒正しき神社。小説・映画「ある町の高い煙突」の主人公のモデルとなった関右馬允が生まれ育った入四間にあり、作中にも登場します。近年、パワースポットとして訪れる人が増えています。
(3)日立武道館(共楽館)
日立鉱山の福利厚生施設として1917(大正6)年に完成した劇場。歌舞伎のほか講演会、演奏会、映画上映などを開催。現在は日立武道館として使用。ここからは大煙突をみることができます。
(4)新田次郎文学碑
大煙突にまつわる歴史をモデルとした小説「ある町の高い煙突」の著者・新田次郎の功績を称え、日立市制50周年の記念に建設されました。1993(平成5)年に折れてしまうまでは、ここから大煙突を眺めることができました。
(5)かみね公園頂上展望台
小高い丘に動物園や遊園地があるかみね公園頂上展望台は太平洋の大海原、日立市の街並み、緩やかに続く山々を眺めることができます。この展望台からは大煙突をみることができます。
(6)久原房之介・小平浪平頌徳碑
日立鉱山創業者・久原房之助と日立製作所創業者・小平浪平の功績を称え、1942(昭和17)年の市役所庁舎玄関脇に設置、戦後現在地に移設。碑を囲む円形の土台の大きさは、大煙突下部の内径と同じ大きさでつくられています。



チムニービューを大募集!!

  あなたのおすすめの大煙突が見える場所(=チムニービュー)を募集します!

申し込み

  3月20日(水曜日)(必着)までに、氏名・年齢・電話番号・大煙突が見える(または見えていた)場所・簡単なエピソード・写真(写真がある場合。
  プリントされた写真か画像データ)をメールか郵送で、広報戦略課シティプロモーション推進室 〒317-8601 
  助川町1丁目1番1号 Eメール kochocp@city.hitachi.lg.jp 内線 295へ 
  *応募作品の著作権は市に帰属します。プリントした写真は応募したかたへ返却しますので、住所をお書きください。詳細は問合せを。  


チムニービューって?
チムニーは煙突のことです。皆さんのおすすめの大煙突が見える(見えていた)場所をぜひ教えてください!



 今回の特集は、ケーブルテレビひたちJチャンネルの「ピックアップ情報」でも紹介します!
放送期間は、2月23日(土曜日)〜3月1日(金曜日)です。
映像でもぜひお楽しみください。
*放送時間は、行政情報番組案内の「ピックアップ情報」の枠をご確認ください。
 また、前回のホンすご「日立市の子育て支援、すごいんです。」については、
日立市公式YouTubeチャンネルで紹介しています。右のQRコードからご覧ください!


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