Euler

 問題ゼミナール 4

 [16](オイラーの多面体公式の応用)
 [17](2項係数)
 [18](中間値の定理の応用)
 [19](視点の変更)
 [20](場合分けによる論証)
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 [16](オイラーの多面体公式の応用)

グラフGの辺集合を E(G),頂点集合を V(G) で表示する。
単に E や V と表示することもある。
頂点を 点 とよぶこともある。

ひとつの頂点をそれ自身に結ぶ辺を ループ
同じ2点が2本以上の辺で結ばれてるときそれらを 多重辺
ループも多重辺ももたないグラフを 単純グラフ とよぶ。

グラフ

単純グラフGの 補グラフ G’とは、 V(G) = V(G') で、
Gで結ばれてない2点が丁度G’で結ばれているグラフをいう。

グラフの点vに接合する辺の数 d(v) を vの次数 とよぶ。(ループは2回分かぞえる)

グラフが平面グラフ(plane graph)とは平面上に辺の交差なしで実現されてるとき、
グラフが平面的(planar)とは平面グラフとして実現できるとき
とする。

平面グラフGの面集合を F(G) もしくは単に F で表示する。
面 f について、その次数 d(f) は f に接合してる辺の数とする。(ブリッジは2回分かぞえる)

単純グラフGの頂点数が 11以上であれば、Gもしくはその補グラフG’
は非平面的であることを示せ。


<Sol> 頂点数3以上の単純平面グラフ Γ においては、各面は3辺形以上であるから、

  Σd(f) ≧ 3|F|  ∴ 2|E| ≧ 3|F|

よってオイラーの公式により、

  |V| - |E| + 2|E|/3 ≧ |V| - |E| + |F| = 2  ∴ |E| ≦ 3|V| - 6.

よって、もしもGもG’も平面的とすると

     |V|(|V| - 1)/2 = |E| + |E'| ≦ 6|V| - 12

となり、これは |V| ≧ 11 に反する。  //

[類題]
どんな単純平面グラフも次数が5以下の頂点を持つことを証明せよ。


<Sol> 頂点の最小次数を δ とする。

|V|=1,2 のときはあきらか。

|V|≧3 のとき; δ|V| ≦ Σv∈V d(v) = 2|E| ≦ 6|V| - 12
  ∴ δ ≦ 6 - 12/|V| < 6  ∴ δ < 6.  //

 どんな平面地図も5辺形以下の面をもつ。

(∵) 「双対グラフ」をかんがえればよい。  //

双対グラフ

[類題]
辺の数が丁度7の凸多面体は存在しないことを示せ。


<Sol> 2|E| ≧ 3|F| (∵ 面は少なくとも3角形) かつ 2|E| ≧ 3|V| に注意する。

もし存在したとすると、 |F| ≦ 14/3 ,|V| ≦ 14/3 ∴ |F| ≦ 4 ,|V| ≦ 4
よって、 4 + 4 ≧ |V| + |F| = |E| + 2 = 7 + 2 ∴ 8≧9. これは不合理。  //

♯ 辺の数が6もしくは8以上であれば、そのような凸多面体は存在する。

(∵) |E|が偶数のときは、|E|=2n としてn角錐でOK.

|E|が奇数のときは、(|E|-3)/2角錐のひとつの面に四面体をくっつければOK.
もしくは底面の頂点の近くで切断してもOK.
別の構成として、(|E|-1)/2角錐の底面を折り、あらためて角錐の頂点から
ジョインしてもOK. //

[類題]
平面上のどの2本も平行でなくどの3本も1点で会しないようなn本の直線によって
平面はいくつの領域に分けられるか。
(ヒント: 直線どうしの交点をすべて内部に含む大きな円を描いて考える.)


敷き詰め [類題]
ある凸n角形のタイルで平面が敷き詰められているときつぎを示せ。
(1) 半径Rの円を描いて内部に含まれているタイルがiコ、円周と交わって
いるタイルがbコのとき、b/i → 0 (R→∞).
(2) n≦6.
(ヒント: (2) C(R)の内部にあるか周と交わる i+bコのタイルから
平面グラフGを構成し、オイラーの多面体公式を適用する。)


<Sol> (1). 1個のタイルの面積は1としてよい。
半径Rの円を C(R) で表示する。

Rが十分大きいとき、円周と交わっているタイルは C(R-d) と C(R+d)
に挟まれた位置にある。
     ∴ b ≦ π(R+d)2 - π(R-d)2 = 4πRd.

また、C(R)の内部にあるタイル全体は C(R-d)を coverするので
       i ≧ π(R-d)2.

     ∴ b/i ≦ 4πRd / {π(R-d)2} → 0.

(2). ヒントに従って i+bコのタイルの辺と頂点からできるグラフGを考える。
ただし、3本以上出会っている点のみを頂点とする。
凸性よりタイルの内角はπ未満ゆえ、円C(R)の内部にあるタイルの頂点は
Gの頂点である。

Gの頂点数、辺数、面数をv、e、fで表示する。f = i + b + 1 である。

Gの頂点はどれも3次以上なので、3v ≦ 2e.
この不等式とオイラーの多面体公式より
       2e ≦ 6f - 12.
またn辺形の面は少なくてもiコあるので
       ni ≦ 2e.
∴ ni ≦ 6f - 12 = 6(i+b+1) - 12.
∴ n - 6 ≦ 6・(b/i) - 6/i → 0. よって n - 6 ≦ 0.  //

説明図 《参考》 オイラーの多面体公式

凸多面体の頂点、辺、面の数を v、e、f
とすると, v - e + f = 2 .

<証明> 連結な平面グラフGで示せばよい。

NをGのひとつの生成木とする。
T = {e*|e∈Nc} は双対グラフG*の生成木である。

(v - 1) + (f - 1) = e .
∴ v - e + f = 2 .

(図で 太い黒線がN、太い赤線がT
 v - 1 = |N|, f - 1 = |T|.)  //


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 [17](2項係数)

最大公約数について ( n-1Cr-1 , nCr+1 , n+1Cr )=( n-1Cr , nCr-1 , n+1Cr+1
が成り立つことを証明せよ。


<Sol> rnCr = nn-1Cr-1
(n-r)nCr = (r+1)nCr+1
(n+1)nCr = (n-r+1)n+1Cr
nCr = (n-r+1)n+1Cr-nn-1Cr-1-(r+1)nCr+1

またn-1Cr = nCr-n-1Cr-1
nCr-1 = n+1Cr-nCr
n+1Cr+1 = nCr+nCr+1

以上より左辺は右辺の約数。
n を n - r と置き換えて pCq= pCp-qを使うと、右辺が左辺の約数もいえる。  //

【 NOTE 】 rnCr = nn-1Cr-1 は両辺を計算して較べなくても n 元集合から1元をマークした r 元部分集合を選ぶ組合せを考えるとわかる。このような論法を「数え上げによる論法」という。


[類題]
すべての正整数nに対して 2nCnは n+1 の倍数であることを示せ。


次の等式を証明せよ。
  (nC0)2 + (nC1)2 + (nC2)2 + ... + (nCn)2 = 2nCn


<Sol> (1 + x)n(1 + x)n = (1 + x)2n の xn の係数を比較する。
もしくは、n人の男子とn人の女子計2n人からn人を選出する場合の数を考える。 //

[類題]
2以上の整数nと1以上n未満の整数iに対して、不等式
     (nCi)2nCi-1nCi+1
が成り立つことを数え上げ論法により示せ。


[類題]
Σk=mn nCk kCm = nCm 2n-m (n≧k≧m)
が成り立つことを数え上げ論法により示せ。


[類題]
Σk=0m mCk n+kCm = Σk=0m mCk nCk 2k
が成り立つことを数え上げ論法により示せ。


《参考》 パスカルの3角形

パスカルの3角形 2項係数は (a + b)n の展開(2項展開)の係数で
n=0,1,2,...について上下に3角形状に並べたものはパスカルの3角形とよばれている。

パスカルの3角形では左図のようなことが成り立っている。

但し、フィボナッチ数列というのは
F1 = 1,F2 = 1,Fn = Fn-2 + Fn-1(n = 3,4,5,・・・)
で与えられる数列であり、また、たとえば、 1 + 3 + 6 + 10 = 20.

練習問題: 図の事実を証明せよ。

 1・2 + 2・3 + 3・4 + (n - 1)n = (n - 1)n(n + 1)/3.

(∵) 「各数の和は最後の数の左下」の「対称版」の特別な場合として、

    2C2 + 3C2 + ・・・ + nC2 = n+1C3

両辺に2を掛けると題意の式を得る。  //


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 [18](中間値の定理の応用)

平面上の円cの中心をOとする。cをグニャグニャと変形して閉曲線c’とする。
このとき、cにある直径PQがあって、この変形でのP,Qの移った先の点P’,Q’
とOは同一ライン上にあることを示せ。


<Sol> ある直径PQに対してP’とQ’が一致すればOKゆえ、そうでないとする。

題意の直径PQが存在しないと仮定する。

cのひとつの半径OXとする。OXを始線とするOPの偏角をθとし、OP’からOQ’
までの偏角を f(θ)とする。0≦θ≦2π, -π<f(θ)<π としてよい。

説明図

θが0から2πまでPを連続的に(反時計回りに)動かすとき、
f(θ)も連続的に変化する。
θが 0≦θ0≦2πなるθ0からスタートしてPがQの位置まで行けば QはPの位置になる。
このとき、P’とQ’も入れ替わるので f(θ+π) = - f(θ) となる。
すると中間値の定理によりθとθ+πの途中のξで f(ξ) = 0 となり矛盾。 //

[類題]
任意の凸多角形に対して、周長と面積を同時に2等分するような直線が
存在することを示せ。


[類題]
(1)空間内のかってな3角形は、水平面上に正射影したときの影が
正3角形となる位置に置くことが可能なことを示せ。
(2)更に、影が任意の3角形と相似となる位置に置くことができることを示せ。


[類題]
閉区間 [0,1] で連続、f(0) = f(1) をみたす実数値関数 f(x) がある。
nを2以上の整数とすると、
  f(x0 + 1/n) = f(x0) ,0 ≦ x0 < x0 + 1/n ≦ 1
なる x0 が存在することを示せ。


<Sol> ai = f(i/n) - f((i-1)/n) (i=1,2, ... ,n) とする。

あるiに対して ai = 0 であれば x0として (i-1)/n がとれるので、
任意のiに対して ai ≠ 0.とする。

Σ[i=1〜n] ai = f(1) - f(0) = 0 より、相隣る ai、ai+1 で符号が反対のが存在する。

連続関数 g(x) = f(x + 1/n) - f(x) (x∈[0, 1 - 1/n]) は、x = (i-1)/n と x = i/n で
正負が入れ替わるので、中間値の定理により、
0≦(i-1)/n<x0<i/n≦1 - 1/n なる x0 で g(x0) = 0.  //


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 [19](視点の変更)

(a - b)3 + (b - c)3 + (c - a)3 を因数分解せよ。

<Sol> a - b = X,b - c = Y,c - a = Z とおくと、

(与式) - 3XYZ = (X + Y +Z)(X2 + Y2 + Z2 - XY - YZ - ZX)
       = 0 (∵ X + Y + Z = 0)

∴ (与式) = 3(a - b)(b - c)(c - a).  //

[類題] 正整数nに対して、0≦a≦b≦c≦n なる整数の3つ組 (a,b,c) の個数を求めよ。

<Sol> 題意のような3つ組 (a,b,c) を {0, 1, ... , n + 2} の部分集合
{a, b + 1, c + 2} に対応させることにより、求める個数は n+3C3. //

[類題]
三角形の各頂点から対辺に引いた垂線は一点で交わることを
外心に帰着させて証明せよ。

外心と垂心

【 NOTE 】 垂心 H は垂足三角形 H123 の内心にもなっている。

[類題]
平面上の包含関係のない半径の異なる3つの円C1,C2,C3 に対して、
2とC3,C3とC1,C1とC2の共通外接線の交点 P1,P2,P3
同一直線上にあることを証明せよ。(モンジュの定理)
(ヒント: 「平面上のデザルグの定理」に帰着できる.)

モンジュの定理とデザルグの定理

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 [20](場合分けによる論証)

連立の不定方程式
  a + b = c × d , c + d = a × b
のすべての正整数解を求めよ。(出題:にゃぁにゃさん)


<Sol> a ≦ b,c ≦ d とする。

どれかが1のとき; a = 1 とする。
1 + b = cd ∴ b = cd - 1. また 1b = c + d
∴ cd - 1 = c + d
∴ (c - 1)(d - 1) = 2
∴ c = 2, d = 3. b = 2 + 3 = 5. よって (a,b,c,d) = (1,5,2,3)

いずれも2以上のとき; 2d ≦ cd = a + b ≦ b + b = 2b ∴ d ≦ b
同様にして b ≦ d ∴ b = d
a + b = cd = bc, ab = c + d = b + c
辺々加えて a + b + ab = bc + b + c ∴ a(1 + b) = c(b + 1) ∴ a = c
よって
a + b = cd = ab ∴ (a - 1)(b - 1) = 1 ∴ a = b = 2 ∴ c = d = 2
よって (a,b,c,d) = (2,2,2,2)

以上より正整数解は
(a,b,c,d) = (1,5,2,3),(5,1,2,3),(1,5,3,2),(5,1,3,2),
(2,3,1,5),(2,3,5,1),(3,2,1,5),(3,2,5,1),(2,2,2,2) の9通り. //

[類題]
n = (abc + abd + acd + bcd - 1)/abcd が整数となるような自然数 a≧b≧c≧d>1 の組 (a, b, c, d) をすべて求め、その a の値をすべて答えよ。(日本数学オリンピック予選1999 [9] )
(ヒント: nabcd = abc + abd + acd + bcd - 1 より a,b,c,d は互いに素である。
特に a>b>c>d )


[類題]
平面上にいくつかの点が与えられていて、異なる2点間の距離は異なるとする。
どの点からも最短距離の点へ線分を引くとき、ひとつの点が6点以上と結ばれる
ことはないことを示せ。


<Sol> 点TがP,Qと結ばれているとする。

(イ)Tから最も近い点がPのとき;
QとTが結ばれているから、TはQから一番近い点である。
∴ PT<QT<PQ

(ロ)Tから最も近い点がQのとき;
同様にして、QT<PT<PQ

(ハ)Tから最も近い点がP,Q以外のとき;
このとき、Pから一番近い点もQから一番近い点もT.
∴ PT<PQ かつ QT<PQ

以上どのケースでも線分PQはΔTPQの最長辺. ∴ ∠PTQ>60度.

Tの周りに60度より大きな角は高々5コしかとれないから、
Tが6点以上と結ばれることはない。  //

[類題]
3×7のチェス盤の21個の各マスを黒か白で彩色する。
どのように彩色しても、1辺の長さが2以上の長方形でコーナーの4マスが
同色のが必ずあることを証明せよ。


<Sol> 1列の彩色のパターンは
  □ □ □ ■ □ ■ ■ ■
  □ □ ■ □ ■ □ ■ ■
  □ ■ □ □ ■ ■ □ ■
  1 2 3 4 5 6 7 8
の8とおりである。

ある1列がパターン1のとき; 残りの6列に1、2、3、4のどれかがあれば、
4スミが白のがある。
そうでなければ、他の6列は5、6、7、8のいずれかで、鳩ノ巣原理により、
これら6列中に同じパターンのがあり、題意の長方形が存在することになる。

ある1列がパターン8のときも同様に示される。

どの列もパターン1でもパターン8でもないとき; 7つの列に6つのパターンなので、
鳩ノ巣原理により、同じパターンのがあり、所望の長方形が存在することになる。 //

[類題]
4×4の正方形内に、9コの点が打たれている(境界含む)。
このとき、93個の三角形のなかに、面積が2以下のものが少なくとも
2つあることを示せ。また、3つの場合はどうだろうか。(出題:歩安彼さん)


<Sol> 4行4列のチェス盤として考える。

対辺の中点どうしを結ぶと2行2列のが4コできる。
鳩ノ巣原理によりそのどれかには3点以上含まれる。
そのうちの3点で決まる3角形の面積は2以下。
よって4点以上含まれていれば成り立つ。
よって丁度3点が含まれてるとしてよい。

[その3点のうち丁度2点が同じ行か列にある場合]

同じ列にあるとしてよい。
残りの3列中その2点以外の7点のうちの3点以上を含むのがある。
これで決まる3角形も面積2以下。

[そうでない場合]

その3点は同じマスメMに属している。

そのマスメを含む2行4列もしくは4行2列の長方形に他の点があれば
新たに面積2以下の3角形が生じるので、そうでないとする。

Mの位置は
(1)チェス盤の隅
(2)中央4マスのどれか
(3)それ以外
の3パターンで、いずれのケースも容易に確かめられる。

少なくとも3つあることを示すのは、めんどそうなので保留。    //

連続関数 f:R → R が 加法的( i.e. f(x+y) = f(x) + f(y) )であれば、
f(x) = f(1)x となることを示せ。


<Sol> 加法性より、x∈R,n∈N であれば、
f(nx) = f((n-1)x + x) = f((n-1)x) + f(x) = ... = nf(x) ------- (1)
とくに f(0) = f(2×0) = 2f(0) なので、f(0) = 0.
∴ f(x) + f(-x) = f(x + (-x)) = f(0) = 0 ∴ f(-x) = - f(x) ------- (2)

x = 1/m (m ∈ N) ならば、(1) より、
f(1) = f(m×(1/m)) = mf(1/m). ∴ f(1/m) = f(1)(1/m)
よって x = n/m (m ,n ∈ N) ならば、 f(x) = nf(1/m) = f(1)x ------- (3)
(2)と(3) により、 x∈Q であれば、 f(x) = f(1)x.

また、 x∈R-Q (つまり x は無理数) であれば、 x に収束する有理数列 {xn}
を選べば、fの連続性により、 f(x) = lim f(xn) = lim f(1)xn = f(1)x.  //

【 NOTE 】 不連続関数 f:R → R が 加法的であれば、fのグラフは稠密(dense)
(i.e. どんなに小さな円板とも交わる)である。

練習問題: NOTE の命題を証明せよ。
(ヒント: fは不連続ゆえ f(a)≠f(1)a なる a∈R が存在する。
このとき、行列 A =
      (1   a )
      (f(1) f(a)) は正則であり、また、
(u,v)T ∈ Q2 ならば A(u,v)T はグラフに属する。)


[類題]
恒等的には0でない連続関数 f:R → R が 条件 f(x + y) = f(x)f(y)
を満たせば、 f(x) = eax (a∈R) となることを示せ。


<Sol> f(x) = f(x/2 + x/2) = f(x/2)f(x/2) ≧ 0

もしも f(0) = 0 とすると、 f(x) = f(x + 0) = f(x)f(0) = 0 で不合理。
∴ f(0) > 0.

f(0) = f(x + (-x)) = f(x)f(-x) > 0 ∴ f(x) ≠ 0 ∴ f(x) > 0 (∀x ∈ R)

よって、合成関数 log f(x) が定義でき、それを g(x) とする。
この g:R → R は連続である。

  g(x + y) = log f(x + y)
        = log (f(x)f(y))
        = log f(x) + log f(y)
        = g(x) + g(y)

よって、g は加法的。 ∴ g(x) = g(1)x ∴ f(x) = f(1)x
g(1) = a とすると、 f(1) = ea. ∴ f(x) = eax   //

成分が整数の2次行列Aに対して、 An=I となる正の整数nがあれば、
そのようなnの最小値は 1,2,3,4,6 のいずれかであることを示せ。


<Sol> ある正則行列 T が存在して、T-1AT は
┌λ 0┐   ┌λ 1┐
└0 μ┘ か └0 λ┘
であるが、条件より後者はありえない。

λn = μn = 1 なので、
λ= cos(2kπ/n) + i sin(2kπ/n) μ= cos(2mπ/n) + i sin(2mπ/n) ( 0 ≦ k ,m <n )

λ+μ = tr A ,λμ = |A| ゆえ、共に整数。
よって、 sin(2kπ/n) + sin(2mπ/n) = 0
∴ cos(2kπ/n) = cos(2mπ/n) または - cos(2mπ/n) ( ∵ cos2 θ + sin2 θ = 1 )
よって、 λ+μ = 0 または = 2 cos(2kπ/n) = 2 cos(2mπ/n)

前者のとき、λμ= - cos(4kπ/n) - i sin(4kπ/n) が整数より 4kπ/n = 0,π,2π,3π
∴ 2kπ/n = 0,π/2,π,3π/2 ∴ λ= -μ = 1, -1, i, -i
よって、 A2=I か A4=I

後者のとき、A=I , A2=I , A3=I , A6=I のいずれかが成り立つ。(確かめよ)

よって最小のnは 1,2,3,4,6 のいずれかである。
┌1 0┐ ┌-1  0┐ ┌1   1┐ ┌0 -1┐ ┌-1 -1┐
└0 1┘,└ 0 -1┘,└-3 -2┘,└1  0┘,└ 3  2┘
がそれぞれの例となっている。     //



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