はまぞうの”中古車ひろば”にあった"萩丘オート"のショップレポートを許可を得て掲載したものです
突撃取材でカーショップを紹介していくCar Shop Report
今回は、真面目で一本気な二代目を中心に家族4人で
顧客のため奮闘しているクルマ屋さん、浜松市西区の『萩丘オート』さんです
東名高速浜松西インターから南へ2kmほど行った浜松市西区伊左地町にある「萩丘オート」。昭和53年に萩丘の地で創業し、その後現在の場所に。 3基の整備用リフトを備える認証工場を完備。各メーカー新車販売のほか、オーダーにもとづいて程度良好な中古車も販売している
良い意味で昔堅気、そんなクルマ屋さん
最大の特色は「お客からすればすべてを安心して“任せる”ことができる、昔気質のクルマ屋さん」といったところだろうか。
どういうことかといえば、最近は飲食店でもなんでもとにかくお店側からいろいろと尋ねられることが多い世の中だ。 居酒屋に行けば「お客様がお好きなおちょこをお選びください」といってズラリと並んだおちょこの中からどれかを選ばなければならず、温泉宿に行けば「浴衣は全5種類ありますので、 お好みのものを……」と、これまたこちらで選択しなければならなかったりする。 それはそれで悪いことではないだろうが、もっとこう「あなたが最高に自信を持ってる何か一つを、自信を持ってドーンと提示してくださいよ!」と言いたくなることもしばしばだ。
それと同じで最近はクルマ屋さんでも、車検整備のときなどにお客を整備用リフトの下に呼び、 下回りの状況を説明しながら「……ということでこれを解決するのにAとBとCという3つの方策がございますが、どうされますか?」とやるところも多い。 最近流行りのインフォームド・コンセント(説明と同意)というやつで、それはそれで大変親切なクルマ屋さんなわけだが、萩丘オートはちょっと違う。
「当然しっかりとしたご説明と厳密なお見積りは提示させていただき、何かを勝手にやるわけではありませんが、基本的には『絶対に悪いようにはしないので、 わたしどもに一任してください』というようなスタンスを大事にしています」
そう語るのは、昨年9月に父・勝治さんから代表取締役を継いだ長男・宮崎将嗣さん。
「そもそも遠方のお客様が多いためお見せしようにも不可能だったという理由もあるのですが、今流行りの『リフトの下ですべてをご説明して』というやり方はとっていません。 とにかく任せてください、と。もちろん、任せていただいたのに、結果としてお客様にご満足いただけないとなると、お客様は離れていってしまいます。 ですからもう最大限がんばって、『萩丘オートに任せて良かったなぁ』とお客様に心底思っていただけるような努力はしているつもりです」
「サービスできるものはサービスする」という家訓
一例として、サイドブレーキのワイヤーを固定するゴムというのはしばしば切れてしまうものなのだが、 これを直すとなると通常はワイヤーごとのアッセンブリー交換(組み合わされた部品セットごとの交換)になる。
「でもそうすると万単位の修理代金となってしまい、お客様のご負担が増えてしまいますからねぇ……」
と将嗣さん。では萩丘オートではどうするのかといえば、切れたゴムを外し、厚手のファンベルトなどを切って加工することで、正式なゴム部品の代用にするのだ。 それを、お客の負担はゼロ円のサービスとして行っている。
「幸いにして家族経営ですから、我々兄弟が手を動かすだけならタダですからね(笑)。サイドブレーキのゴムだけじゃなくそのほかの部品も、 部品交換ではなく調整で済むならば極力調整だけで修理し、お客様の金銭的なご負担がなるべく少なくなるよう心がけてますよ」
これは初代である父・勝治さんの薫陶であるようだ。「サービスできるものは、サービスしてさしあげなさい」と、口ぐせのように言っていたのだという。
昭和53年に、社名のとおり萩丘に「萩丘オート」を設立した父はそうやって顧客を獲得し、そして2人の息子も西区の伊左地町でその精神を受け継ぎ、 もちろん無料の慈善事業ではないものの「サービスできる部分はサービス」し、そして「自分らの手を動かすことで何とかなるなら、 とにかく手を動かす」ということで顧客を維持し、そしてファンをさらに増やしていった。こういったバックグラウンドあっての「絶対に悪いようにはしないので、 わたしどもに一任してください」というスタンスなわけだ。この微妙に不景気な時代にあっても「整備の依頼件数は減っていない」という事実が、 萩丘オートの“マジメさ”のようなものを証明していると言えるだろう。
「ほかの家のご兄弟がどうかは知りませんが、少なくともウチは非常に兄弟仲が良いので、何かあったときはすぐ相談し合いながら物事を進めることができるというのも強みでしょう。 家族一丸となってお客様のカーライフのため努力いたしますので、もしよろしければぜひ一度、わたくしどもをご利用してみてください。 『あの店に任せて良かった』と、きっと思っていただけるはずです!」
笑顔でそう語る将嗣さん。生真面目で一本気なこの兄弟になら、新車および中古車の購入とその後の管理をすべてを丸投げしても、きっと何の不安も心配もない。 そう確信できた、浜松市西区伊左地町の昼下がりだった。
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創業者の勝治さん(中)と現在の代表取締役である長男・将嗣さん(右)、メカニックを務める二男・直巳さん
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瀟洒で清潔なイメージの認証工場
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取材当日は2台の軽乗用車と1台の軽トラックを整備中。工場内の整理整頓もしっかり行き届いている
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オートマチックトランスミッションの載せ替えなども当然お手の物だ
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お二人とも国家二級整備士。事あるごとに相談しながら作業を進めている
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丁寧で熱心な作業ぶりが光る直巳さん。「とにかく自分らの手を動かすことで、お客様に貢献したいですね」
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応接スペースにあるソファは実は0系新幹線のシート! 国鉄からJRになる際、父・勝治さんが払い下げ品として買ってきたものだとのこと
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中古車は基本的にすべて将嗣さんが自身の目で状態を確認してから仕入れる。オークション会場には電気テスター持参で行くという
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「家族一丸となってしっかり対応できる点が、わたくしどもの強みだと思います。何かお困りのことがありましたらぜひお気軽にご用命ください!」
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※記事の内容は2015年2月掲載時のものです