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2010.09.30
 仕事は相変わらず粛々。明日明後日不在につき日記更新滞ります。

読了本 『こめぐら』 倉知淳 東京創元社 ノンシリーズ短編集。二冊同時刊行だが、こちらは一段と怪作ぞろい、かな。1995年にメフィストに掲載されたきりだった幻のバカミステリ「さむらい探偵血風録」がようやく単行本化されたことはめでたい。しかし倉知さん、このけったいな総タイトルはなに?

2010.09.29
 仕事の方はジャーロ進行中。〆切は10/15なので、それまでにはどうにかなるだろう。
 昨日は浦和の楽風(らふ)という日本茶喫茶ギャラリーに、ツレの知り合いの飛騨の家具作家さんの展示を見に行く。それから大好きなイタリアンでたらふく食らう。オリーブオイル・ベースの料理は、あんまり体重に響かないのが嬉しい。
 今日は夏物をしまって冬物を出した。やたら暑い夏だったので、かえって服装は単調に、とにかく涼しくて洗濯しやすいものばかり着ていた。しまいながら、「ああ、これも着なかった」なんて思ったり。でもなんかまだ、暑さに痛めつけられた身体のダメージが回復していない、という気がする。

2010.09.27
 一転して雨、肌寒い。今年は半袖のTシャツを着るときがなかった。タンクトップからいきなり長袖。それも薄手の長袖一枚では寒い。なんだかなー、という感じだ。
 朝食べるパンが無くなったので、久し振りに牛乳胡麻パンを作る。ちょっと思いついて準強力粉に全粒粉を混ぜてみる。牛乳で生地を練ると水よりべたつかなくて、生地の扱いが楽になる。たんまり胡麻を入れると昔トルコで食べたシミットというドーナツ型のパンとよく似た味になって、これが我々にはなかなか懐かしいのだ。
 ジャーロの連載、仕事場ではどうもだらだらしてうまく頭が動かないので、午後になってから駅のスタバに行くが、午後は女子高生が多くて落ち着かない。雨の中、ずーっと遠回りして帰りながらプロットを作る。半分くらいは出来た感じなので、明日からちゃんと進行させよう。

 読了本『たまらなく孤独で、熱い街』 徳間文庫 『幻象機械』 中公文庫 山田正紀2連チャン 山田さんの著作はとてつもなく数が多いので、古本屋に行って知らないタイトルが目に付くと、ときどき買う。ごめん、だって新刊書店では手に入らないタイトルだもん。前者はある真夏の横浜、動機無き殺人に走るひとりの若者と、彼に関わったことで人生を狂わせていく男女のホットだけどクールな物語。後者は石川啄木の文体模写が迫真の、『神狩り』の作者らしい奇想SF。著者写真が若い。長髪だ。写真は顔だけだけど、きっと幅の広い革ベルトに裾の広がったGパンを穿いているに違いない。それにしても山田さんって、全部で何タイトルくらい書いてるのかな。

2010.09.26
 ちょっと眠り足りない感じだったので、カイミールという市販の睡眠改善剤、成分はまあドリエルとほとんど同じを、2錠のところ1錠だけ飲んだ。そしたら確かに6時まで醒めずに眠れたのだが、そのまま眠気が抜けずに昼どうにもならなくなって寝てしまった。薬が効かないのも困るが、効き過ぎるというのもどうよ。
 やっとこすっとこジャーロのゴシック・ロマンス第二回に取りかかる。短くしろといわれて、どれくらい短くすればいいんだ、とメールを書いたが、それには返事がない。しかし考えてみれば、50枚で終わるつもりの短編を130枚書いてしまうダメ作家だ。枚数なんていわれても無駄じゃん。書けるだけ書いて、多ければ適当なところでぶった切って次回回しにすればいいだけの話だ、と居直った。

 読了本『アラマタ美術誌』 荒俣宏 新書館 篠田は荒俣の著作は一時ずっと追いかけていた。デビュー作の幻想文学ガイド本『別世界通信』の元本から持っている。『帝都物語』で蘊蓄の豊富さに比べて小説の下手さに音を上げ、その後なんつーか粗製濫造水増しぽいぞとなって、あまり手を出さなくなっていたのだが、この本は千街晶之氏の文章にちらと登場して興味を持ち入手。で、久々に出色の一冊でありました。第一章は人類における絵画の起源から西洋美術と東洋美術の激突する近代に及び、第二章はモダニズムに否定された装飾美術の復権に向けてこれまた東と西を縦横に行き来し、第三章では悪趣味と否定される「美」の世界に分け入ってナチス政権下の芸術弾圧から現代芸術にいたる。
 こういう方面にもともと興味がないなら別だが、そうでなければ目から鱗がぼろぼろ落ちる。千街氏の文章は以前紹介した探偵小説研究会の機関誌CRITICA最新号にあった芦辺拓氏『綺想宮殺人事件』に関する文章に登場したもの。従って『綺想宮』に感銘を受けられた方は、こちらも読まれて損はないと思います。
 『失われた近代建築 T U』 藤森照信文 増田彰久写真 講談社 写真はもう、いうまでもなく素晴らしい。震災で失われてしまった三井銀行神戸支店の御影石の列柱の質感とか、オーストラリア大使館だった三田の蜂須賀邸のインテリアとか、ぞくぞくします。しかし収録数を重視したのか、ほとんどの建物は写真が1枚きりで、平面図などのデータがまったくないというのがさびしい。加えて値段が5200円というのも、うーん、買ったけどのけぞりたくなるね。以前出た『歴史遺産 日本の洋館』はこれより少し薄かったけど、3600円だった。そんなに売れないのかな。高くなるとさらに売れないと思うけど・・・

2010.09.25
 困ったもんだ。腰が抜けちゃって全然労働意欲が湧かない。今日はゴーヤを取り払って、でも最後の茎が抜けない。抜こうとするとプランターごと持ち上がっちゃうんで、取り敢えず放置。ポテトサラダを作る。後はなんかうだうだ。

 読了本『本格ミステリ大賞全選評2001−2010』 光文社 『ミステリ作家の自作でガイド』 原書房 本格ミステリ作家クラブが10周年なので、その記念出版物2点。前者は各年度の本格ミステリの動向をかいま見たり、ひとりの作家がどの年にはどの作品に投票しどんなことをいっていたかを10年分追いかけてみたり、なんて読み方も出来ますが、相当にディープな本格ミステリファンでないと買わないだろうなあ。後者は自作の中から任意のものを選んで自分で解説するという珍しい試みなので、こちらの方が普通の読者にも興味深く見ていただけるのではないかと。篠田も一応登場しておりますが、「本格ミステリ」というくくりなど全然考えずに文章を書いてしまったので、他の方と比べて激しく珍妙なことになっている、といまさらのように気がつきました。アホ。

2010.09.24
 次はジャーロの連載第二回にかからねばならないのだが、なかなかお尻が上がらない。なにしろいったんすべての作業領域が初期化されてしまった感じで、はて、この後はなにを書くつもりだったのかしらん、てなもんなんである。第一回を読み直してみると、わりと面白い感じはするんだが、どうも記憶が戻ってこない。アホな。
 今日は新橋のカタログハウスのお店に、いいなと思った靴を見に行く。買うことにするがやはり履いてみて良かった。ウォーキングシューズよりは横幅が狭いので、一サイズ上の方がしっくりする。注文はネットですることにして、銀座八丁を横切って、山形のアンテナショップでホタルイカの丸干し(これ実に珍味)を買い、沖縄のアンテナショップで100円券を使うべくちょろっとだけ買うつもりが、ついなんだかんだ購入してしまい、帰り池袋に立ち寄るのは中止。そのまま所沢に出て西武デパートのツレのところへ顔出し。帰って仕事するつもりが、ゴーヤの撤去作業を始めてしまう。しかし今日は終わらず。うう、涼しいというか、肌寒い。

2010.09.23
 昨日は露天風呂で日焼けしそうな天気だったのに、今日の肌寒さはこりゃなにごと。唖然とするよりありませぬ。

読了本『女学生手帖 大正・昭和 乙女らいふ』 河出書房新社 らんぷの本 主にこの時期に出た女学生向け雑誌の「乙女小説」と記事を集めた本。理論社の北斗学園は昔は女子校だったという設定があって、戦前の女子校ものを書こうかなという気がないではないのだが、正直な話女子校は男子校=ギムナジウムものほどは、篠田的には萌えませんなあ(笑) ギムナジウムに萌えるのもそれはあくまで想像的な世界だからで、現実の男子校なんてきっと臭くて汚いものだとは思うのだが、臭いといえば女子校だって臭いもの。自分より遠いものの方が安心して想像を逞しくして萌えられると、ま、身も蓋もなくいえばそーゆーことだ。

『古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活』 アルベルト・アンジェラ 河出書房新社 非常に具体的で、イラストは少ないのだが情景がありありと目に浮かぶ。龍で古代ローマを書いたときにこの本があったら、長引いたろうな。古代ローマでも、中世ヨーロッパの都市でも、その混雑ぶりとか臭いとか、きっと現代のインドを連想したらわかりやすいぞと常々思っていたが、この著者も同じことを書いていて、うんうん、と思う。もうひとつ面白かったのは古代ローマと現代ローマを対比的に述べて「たいていのものは古代からすでにあった」と、している点。そして最大の相違は奴隷の労働力で、しかし現代人はそれを主に電気と家電製品で補っている、という指摘。掃除してくれる奴隷は掃除機に、料理人奴隷は調理機械に、水汲み奴隷は水道に。ただ奴隷と家電製品の最大の相違は、性的な側面。若い奴隷は男女を問わず、しばしば主から性的な搾取を受ける存在でもありました。ちなみにローマ市民男子が同性の奴隷と性的関係を持つことはなんら問題なかったが、受け身になるのはタブーだったそうです。つまりタチOK、ネコはNG。基本的に地中海文化はマッチズモですね。

2010.09.22
 SFJapanを入稿したので、今日一日は完全に仕事から離れようと決める。朝からバスに乗って青梅の近くの河辺温泉へ。マッサージの予約を入れてから入浴。肩がこりこりですねえ、といわれつつたっぷり90分揉んでもらい、食堂で生ビールと焼きおにぎりでお昼。もう一度風呂に浸かって、ごりごり自分で垢すりをして、おしまい。マッサージ料金も含めて、1万円でおつりの来る極楽。しかし外に出たら「なんじゃこりゃ」といいたいような暑さで、かき氷を食べてしまった。

2010.09.21
 なんだよー、夏はまだ終わってなかったのかよー、な今日の天気。うっかり帽子をかぶらずに出たらひえーっ。しかしエアコン無しで仕事が出来るんだから、まあ真夏とは違うかな。
 今日はSFJapanの原稿をブラッシュアップして送稿。しかし、50枚くらいで終わるかもと思って書き出した原稿が130枚越しているんだから、我ながらプロとは思えん。でも、出来はそんなに悪くないと思う。一週間で書けたし。これでジャーロに向かう前に、少しは休憩が出来るだろう。明日は休むぞ。
 話は違うが、本屋が好きだ。それも目的が無くて行く本屋がいい。探すものがはっきりしていれば、極端な話本屋に行くよりネットで探して買う方がよほど早い。うちは半端な田舎なので、近くにまともな書店が無く、新刊もベストセラーでなければ見あたらない。いや、ベストセラーはベストセラーで田舎に配本がなかったりするしね。買うと決めている本は、ネットで注文してしまう方がストレスは少ない。
 本屋で買うのは衝動買いや気まぐれだ。「なんかおもしろそう」「いつか仕事に関係するかも」という感じで手に取る。つん読のままになってしまうことも、実はある。けちなので、出来るだけそうはならないように、とは心がけているけれど。
 というわけで、土曜日に池袋で買った衝動買い本のタイトルです。
 『ケーク・サレ』 渡辺麻紀 池田書店 塩味のパウンドケーキのレシピ本 『古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの庶民生活』 河出書房新社 テルマエ・ロマエの逆パターン? 『幽霊学入門』 新書館 仕事の参考 『密告者ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女』 原書房
ナチものはそろそろ買うのを止めよう、とは思うんだが、つい 『女学生手帖』 河出書房新社 仕事の参考になる、かも

2010.09.20
 昨日は家飲みで建築探偵完成祝いをしてもらう。前菜は高級なマグロ刺身、ただし7時過ぎで半額、を原酒日光誉のオンザロックで。メインは羊のリブ塊のまま焼き。ワインはビッグカメラで買った4000円くらいのピエモンテだったが、味はいまいちであったな。ゆっくりワインを味わうには、まだ室温が高い。
 本日SFJapanの原稿がラストまで来る。400字で換算していないが100を突破していることは確実。我ながら全然枚数が読めない。しかも外伝のはずが、この女の子ふたりの話はまだもうちょっと続くなあ。本編の男の子組と合流するのと、今回のラストの間にはもう少しタイムラグがある気がする。吉田直さんがトリ・ブラでやった、短編連作は近過去で、本編の長編と最後で繋がるという超絶技巧を思い出す。そこんところが実現する前に、彼は遠いところへ行ってしまったんだけどね。本編では女の子たちを出してしまって、タイムラグの間にあったことはまた次の区切りで読み切りの形で挟む、というのもありかな。最初からかなり綿密にいろんなことを決めていた吉田さんと違って、どこまでも出たとこ勝負な篠田さっ。

2010.09.19
 まだSFJapanを書いている。明日には書き終わると思うが、100枚を超すことは確実になった。っていうか、これ本当は1冊分の話じゃんよ。私ってバカ。
 読了本『背表紙は歌う』 大崎梢 東京創元社 出版社の営業が主人公という、ちょっと珍しい連作短編集。シリーズの2冊目。ミステリ以外の部分はそれなりに面白いんだけどね、無理に作っている日常の謎風ミステリというやつは、どうも好きではないの。ミステリじゃなくこういうものをお書きになった方がいいんでは。
 『化身』 愛川晶 創元推理文庫 著者の鮎川賞受賞作にしてデビュー作。新人離れした手堅い書きぶりと、知っているようで知らない日本の戸籍制度の奇妙さがもたらすサスペンスが初読の時から印象に残っていた。その印象は再読しても変わらない。作者がデビュー当時からほとんど作風と文体を完成させていたことに、いまさらのように驚く。しかし近年は一連の落語ミステリで、デビューの頃には乏しかったユーモアと軽みが作品に加わりつつある。彼の引き出しには、まだまだ違うものが隠れているのかも知れない。

2010.09.18
 まだSFJapanを書いている。90枚に達したがまだ終わらない。本日唐突にタイトルが決まった。「白き島の黒き女王」といいます。ヒロインがけっこうしゃきしゃきした女の子で、自分的に好み。まったく、こないだ書き終えた建築探偵ラストもそうだが、女性キャラが強く男性キャラがヘタレという傾向は強まるばっかり。でもただのヘタレではなく、一見ヘタレのようだが実は女の強さを赦してそれごと抱えられる男の強さ、というのが萌えツボなんであります。強い女に拒否反応を示す男は、実は強くも何ともない、かえって弱っちいのだというのが篠田の持論でありますから。もちろん単なるヘタレもダメよ。プライドが強くて己れの弱さを認められず、女に当たるような男は最悪だが、弱さにあぐらを掻いて女に甘ったれて良しとするような向上心のない男もいやじゃ。しっしっ。
 ゴーヤ今年もそろそろ終わり。二本植えたが産量は倍には遠く及ばなかったにゃ。まだ緑の葉を少し切ってマグカップに入れ、お湯を注いでゴーヤ茶にして喫す。かなり苦いが、ゴーヤの苦みの好きな人なら美味しく感じると思うよ。

2010.09.17
 ようやく晴れてさわやかな秋らしい気候か。仕事の途中で散歩。軽ハイキングする。山道はちょいとウェット状態なり。SFJapanの原稿伸びている。えーい。いざとなったら前後編だ。

2010.09.16
 朝から雨。半袖のTシャツを着る暇が無く、タンクトップから長袖に飛んでしまった感あり。
 SFJapanの原稿は伸びつつあり。50枚では間に合わないというので、担当にOKをもらう。ジャーロは向こうの都合で短くなる。

2010.09.14
 昨日はまたまた暑くて参った。不眠ぶり返し。
 徳間のSFJapanに載せる「黎明の書」の短編を書き出した。第二部から登場する新キャラ視点の話。女の子。で、第一部とは全然別な全体主義的国家を営む貴種たちの国の話。まあ、その国自体わりとよくあるパターンではあるんだが、第一部の貴種の設定だと、ひたすら彼らが人間に依存せざるを得ないことになっちゃったので、そういう弱点を克服するにはどんな国の制度ならいいんだろうと考えたら、そういうのが生まれてきた。
 篠田の想像力というのは、ユニークさに欠けているといいますか、「わりとよくあるパターン」に新味を持たせる程度のことしか考えつかないらしいので、その辺は無駄な抵抗はせず、その新味の部分を掘り下げて行こうという感じ。次号は3月初めの発売だそうなので、そこで改めてイオアンとラウルの旅路を語っていくこととしたい。

2010.09.13
 建築探偵の原稿を講談社担当当てにメールする。徳間のSFジャパン、いつもは100枚見当書いているのだが、今回はジャーロと〆切がもろかぶりで厳しいので、番外編的に短めの短編を書かせてもらうということで、担当と合意する。スタバに行ってプロットを作る。戻ると〆切日を確認したジャーロからもメールが戻っていて、長めの原稿が集まってしまったので、短くしてもらえないだろうかとのこと。渡りに船でほっとする。もちろん枚数が少なくなれば原稿料も減るので、喜んでばかりはいられないのだが、あと一月足らずで100枚を2本はきびしいなあと思っていたので、結果オーライということで。
 最近ちょっとまた不眠傾向で、就寝3時間ぐらいで目が覚めてしまい、後がまた寝付けない日が続いているもんで、難問が解決したとなったらがっくりと疲労が来た。無理をしないで、今日の午後はだらっとすることにしよう。

2010.09.12
 今日は献本の礼状1通、読者への返事1通、それと11月に出る『風信子の家』のあとがきを書いてメール送稿した。日射しは弱まっているのに湿度がむちゃむちゃ高くて、エアコンを入れないではいられない。入れても、エアロバイクを漕いだら汗が止まらなくなって往生した。
 読了本『虚栄の肖像』 北森鴻 文春文庫 これが北森さんの、完結している作品としては最後の文庫となる。絵画修復師佐月を主人公にした2冊目の連作短編だが、このシリーズは北森作品にしてはユーモアや余裕があまり感じられなくて、正直な話、すごく好きとはいえない。単行本は2008年に出ているので、妙に病や死の影が濃く感じられるのも、早すぎる彼の死を思わずにはいられないこちらの目にバイアスがかかっているからには違いないのだが・・・

2010.09.11
 二ヶ月に一度行く婦人科の医者がそろそろだったので、ついでに池袋西武でやっている北海道展に行き、生ウニ丼を食らってスナッフルズのチーズオムレットを買って帰りました。帰ってから建築探偵のあとがきや既刊一覧、参考文献を書きました。ちょっとだけ休んで次の仕事にかかります。
 読了本『災園』 三津田信三 光文社文庫 子供と建築が共通モチーフのホラー作品。スーパーナチュラルありだが、ミステリ的な意外な展開もある。建物の仕掛けもある。しかし子供の場合、三津田作品でも特に女の子は強いなあ。

2010.09.10
 読み直しと手入れ。意外にも手を入れたくなる箇所は少なかった。書き上げて間がないからかも知れないけど、取り敢えず一度手から離さないと決まりがつかないので、とにかく最後まで終える。後はあとがきと、参考文献とかくっつけて、モニターのツレの意見を待ってから入稿、と。そこまでやってからでないと、次の仕事にかかる気分になれないんで。
 読了本『明治少年記』 藤島亥治郎 住まいの図書館出版局 明治生まれの建築家が自分の子供に聞かせるように書いた子供時代の暮らしや街の姿。浅草から弥生町、根津と、なじみのある場所が登場するのだが、さすがに明治の話となると様子が違いすぎて、ノスタルジーよりは異国の話。しかしこの方、恐ろしく物覚えが良くて、昔住んでいた家の間取りやら風景やら、資料はほとんどなにも残っていないというのに、まあ記憶の鮮やかなことといったらない。自分は全然こんなに昔のことは覚えてないよなー、と改めて思う。

2010.09.09
 台風が去って晴れたが、さすがにあの酷暑は戻らない。いいぞー。さわやかな秋よ来い。原稿はまだまだいじるけど、間違っても熱帯夜が再来したりはせぬように。って、誰にいってるんだろ。
 原稿でぼけていたせいか、ひと月前にイチジクを煮た残りの赤ワインが台所の隅に放置されていた。味を見たら別にお酢にはなっていなかったので、急遽牛肉を煮てビーフシチューにする。体重がたちまち戻りそうであるな。原稿の見直しを始めながら、去年作った食べ残しの栗の渋皮煮を入れてカンパーニュを作る。ぼけていて塩を入れ忘れる。
 読了本『古書店アゼリアの死体』 若竹七海 カッパノベルス コージー・ミステリは全然好きではないのだが、若竹さんのミステリは時々読みたくなる。この作品では主な舞台となる古書店アゼリアと、そこの女主人紅子刀自が最高。おなじみの湘南の街葉崎は、あの猫島もあるところで、ちらっと島も登場。

2010.09.08
 いやあ、やっぱり今年の異常暑さは篠田と建築探偵のせいだったのかもしれません。本日、湿度は高いとはいいながらここ一ヶ月記憶のない涼しさの中で、書き終えました。正味ノベルス字組で471頁。建築探偵本編としては最長です。明日から読み直しを始めます。でも、読者の皆様に本がお渡しできるのは来年の1月頭です。だいぶ先ですみません。

2010.09.07
 461頁にて本日本編を一応終了。明日エピローグを書きます。それでちょっと部屋の中を掃除したりしてから全体を読み直して、赤を入れて、ツレが読ませろというので彼に回して、その間にあとがきなんかも書いて、まあ完了と。本になるのはだいぶ先ですけど、篠田の仕事自体はほぼ先が見えました。あー疲れた。って、まだ油断しちゃいけない。

2010.09.06
 449頁まで来て、まだ終わらない。じりじり伸びる。6月初めから資料を読んで、7月下旬から書き出して、まだ終わらない。なんだか自分の原稿が終わらない内は、夏が終わらないんじゃないかという妄想が湧いてきてしまった。おまえは涼宮ハルヒかって。
 ゴーヤのピンポン球みたいになっちゃったやつをまとめて取って、ピクルスにした。これはこれでけっこういけるのではないかしら。
 読了本『新世界崩壊』 倉阪鬼一郎 講談社ノベルス クラサカ流バカミスのファンには応えられないというところだろう。しかし続けて読んでいると、ここに登場する仕掛けのいくつかはこれまでも同傾向のものが使われていたなと思ってしまって、その分インパクトに欠ける。◎◎と思わせて実は**とか、暗号のパターンとか。
 CRITICA Vol.5 探偵小説研究会の評論研究同人誌。とはいえネットで通販可能。アガサ・クリスティ特集を楽しく読んだ。現代本格についての言及では、『容疑者Xの献身』を論じている文章がそれぞれ趣向は違うものの3本もあって、なんでいまさら、という気がしてしまった。それなりの読みどころはあったが、新しく書かれている作品に評論家魂を刺激されるものがないというのだろうか。売れた本ではあるのだろうが、なんでみんながこうしつこく論じたがるのか、いまひとつ理解でけん。『綺想宮殺人事件』に関する論考は、この作品は本年の話題作だと思うので、こういうふうにリアルタイムを出来るだけフォローして欲しいなと思いましたです。

2010.09.05
 クライマックスの章、まあ出来たかな、という感じ。しかし物語を閉じるには、まだもうちょいと紙数がいる。『指輪物語』で申せば、滅びの亀裂にひとつの指輪を放り込むことは出来たが、というところ。いえ、あれほど長引かせやしませんが。
 壊れていたエアコンの代わりが据え付け完了。それにしても資料のたぐいとその間の埃で汚い汚い仕事場でありました。やれ恥ずかしい。

2010.09.04
 一応クライマックスを書いた。まあ、大丈夫だと思う。エピローグを書くと450は少し超過するな、という感じ。

 読了本『蒼林堂古書店へようこそ』乾くるみ 徳間文庫 100円以上の売買をするとコーヒーを出してくれる古本屋さんを舞台に、常連たちがささやかな謎を解く話にミステリの読書ガイドが付いた連作短編。各回の謎が日常の謎というにもあまりに小さいのと、キャラがいまいち立っていないので「うーん」と思いながら読んでいたが、ラストで連作全体に謎があったことが浮上して、きれいにまとまった上、予想外のひねりまで効いているので、そこまできて総合点がぐっとアップしました。
 『東京人10月号 特集悪女』 定期購読している雑誌だが、今回は特集がちょいと変わっていて面白かった。犯罪者から文学者、スター、映画のヒロインに小説のヒロインと虚実取り混ぜた「悪女像」さまざま。こういうのを読むと、悪女ものミステリなんか書いてみたくなるね。

2010.09.02
 今日も最終章継続中。ジムに行く日なのであんまり進まなかった。
 徳間のSFジャパンが11月刊行なので、10月上旬が〆切だと突然いわれる。書けるかどうか解らない。この雑誌はいつ出るかさっぱりわからないので、暇な時にでも書いておかないと恐ろしいのだが、今回はなにせ建築探偵のおかげで全然余裕がなかった。休刊にならなくてまあ良かった、というべきなのかな。しかし一冊分たまった連載原稿はどうなるんだろ。いや、それだって手入れする余裕がないまま、放置してあるのはこっちのせいでもあるんで、うー、頭がふたつ手が四本欲しい。

2010.09.01



 『王国は星空の下 北斗学園七不思議』の韓国語版が刊行された。これまで建築探偵などで、台湾版や中国大陸版が刊行されているが、いずれも装丁は元本を踏襲している。しかし韓国語版はオリジナルデザインで、これがなかなかいい感じなので表紙を載せてみました。しかし漢字交じりの中国語版と違って、ハングル文字だと全然わからないのがちょいと辛いところ。

 本日からいよいよ最終章に突入したが、パソコンが異音を発してびびる。バックアップはつい怠りがちだったけど、ここはあわてて毎回やることに。いやあ、怖いわ。勘弁して欲しいわ。
 運動不足が募るので、散歩にでも行こうかと思うが、昼間外に出たらあまりの暑さに、最近のスーパーで氷買って逃げ戻る。いつまで続く灼熱地獄。