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2009.04.30
 サイン本発送と銀行の用事を済ませて、今日はちょっと遊ぶ。メフィストの原稿は数日寝かせることにして、明日からは当面読書の予定。ああ、ゴールデンウィークに休めるのも久しぶりだなあ。世間様がお出かけする時は出かけません。

2009.04.29
 睡眠の質が良くなかったらしくて、朝から頭痛。いつにもまして集中力低下。しかしどうにかこうにか、予定通り『緑金書房午睡譚』の第四回を書き終える。読み返して手を入れて、連休明けに入稿か。やれやれ。これで次は『黎明の書』の第三回である。西欧中世関連の参考書を何冊か買ってあるので、書き出す前にそちらを読み終えるつもり。というわけで小説のたぐいは全然読めない。一昨日リブロで買い込んできたのも小説ではない本ばかり。
 買うつもりはないまま美術書の売り場に行ったら、「いま買っておかないと無くなるかも」という本がいくつか目について、ついつい買ってしまった。でもそういう本って、やたらと高いんだよねえ。画集でもないのに3000円4000円平気でするから泣けてくる。新書サイズで2000円とかさ。でも将来的に「神代さんがなんで美術史を、それもヴェネツィア派を研究するようになったか」という話を長編で書かないとならないので、いや別に依頼を受けている訳じゃない、強いていえばキャラから要請されているっていうか、で、そのための資料は目についたら買っておこうという。そのとき神代さん20代前半です。学部生だもん。ロマンスグレーでないと神代さんという気がしない、というご意見も承ったが、生まれた時からロマンスグレーの人間はおらん。
 しかし美術書売り場の平積みで、やたら**の謎とか、**の暗号とかいうタイトルが目に着くので変な感じ。『ダ・ヴィンチ・コード』の後遺症みたいだ。所詮は豪華なトンデモ本。あるいは謎でもなんでもないことを、謎だ謎だと騒ぐ種類の本。美術史はそんな色物でなくても十分面白いです。

2009.04.28
 うなぎのようにニョロニョロと逃げかける集中力を必死に取り押さえて、どうにかこうにか115枚まで。内容的には明日あたり、一応予定のラストまで到達するはず。といっても今回は「どうなる?」というところでぶちきって以下次号にするつもり。その後で最終回です。
 自宅に戻るとお手紙転送有り。礼状3通に新規のサイン本応募5通。まだ来るか。有り難いなあ。どうか『桜の園』も買ってやってください。お便りを下さる方はたいていの場合「ミステリよりも人物」とおっしゃるので、そういう向きには特に安心して読んで頂けると思いますよ。血なまぐさい事件もないし、日常的な書き込みも多いめですし。でもまあ、書き手としては「謎と解決」にもけっこうこだわっているんですけどね。

2009.04.27
 日記も書くことがないと、つい怠りがちになってしまう。昨日は仕事場から出ずに原稿。今日は東京に出てリブロと無印とザ・ガーデンといつものコースを回り、地下鉄で姉の家に行ってお茶。銀座に回り姉の買い物につきあってから、漬け物の若菜とわしたしょっぷといういつものコースで戻りました。明日明後日もひたすら仕事いたします。

2009.04.25
 雨です。寒いです。こう毎日気温ががくんがくんと変動すると、身体に応える気がしますなあ。
 今日は原稿89枚に到達。またじりじり延びてる症候群。
 あまりにも書くことがないので、今日は昨日作って今朝食べて美味しかった黒糖バナナマフィンのレシピを書きます。ネットで見つけたのをちょっとアレンジ。
 1 卵一個を湯煎に掛けつつ泡立てる。
 2 1に粉末状の黒砂糖65グラムを混ぜつつさらに泡立てる。
 3 電子レンジで溶かした無塩バター75グラムを2に加える。
 4 薄力粉70グラム、アーモンドの粉25グラム、ベーキングパウダー小さじ半分を、3のボールにふるい入れてさっと混ぜる。
 5 バナナ正味150グラムくらい(約2本)をマッシュして4に混ぜる。
 6 カップケーキの紙型4個に生地を注ぎわける。このとき中にラムレーズンを入れ、上には胡桃を好みの量載せる。
 7 170度で30分。竹串を刺して焼けた確認を。食べる時は少し暖めた方が美味。

2009.04.24
 あんまり書くことがない。原稿は相変わらずのろのろと進行中。それだけだとつまらないので、今日は黒糖バナナマフィンを焼いた。ネットで見つけたレシピの、砂糖を黒砂糖に変えてみた。たまにお菓子を作ると、糖分が多いので驚く。今回の「通販生活」に柴田よしきさんがモニタになっているパンこね機械が掲載されている。篠田も最近は自動パン焼き機もこね機械としてしか使用していなくて、このこね機械は自動パン焼き機より生地の扱いが手に近い優れものらしいのだが、壊れていない機械を捨てるのも嫌だしなあ、と迷っている。というか、たぶん買わないでしょう。迷うものは多いんだけど、篠田は基本的に貧乏性のけちんぼであります。いいや、と思って気にせず買うのは仕事の資料になりそうな本くらい。いますぐ使う当てはなくても、なんか興味を引かれたらえいやっと買ってしまう。

2009.04.23
 今月から九州長崎沖の軍艦島がツアー客に公開された。篠田にとってはなによりも皆川博子先生の希代の名作『聖女の島』の舞台である。もう少し新しめだと、恩田陸さんの『puzzle』というのがあったね。これまでも釣り船を借りて内緒で潜入というのはしばしばあったみたいだけど。といってもニュースやネットで見ると、新しく作られた通路と広場のみが立ち入り可能らしい。新聞に出ている団体旅行の広告を見てしばし悩む。海が荒れると上陸は出来ないというし、それじゃまったくの無駄足。上陸してもそれだけというのは、かえって失望するだけかもしれないが、うーん・・・

2009.04.21
 雨もよいで肌寒い。衣替えの気候ではないが、セーターや厚い長袖をしまって、半袖のTシャツを出す。エアロバイクを漕ぐとびっしり汗をかくようになってきた。あとは『緑金書房』続行。57枚まで。明日は夜用事があるので日記の更新はお休み。我ながら芸のない日記だなあ。

2009.04.20
 サイン本3件発送完了。仕事場から郵便局に行く細道は、花のきれいな家が多い。例の御衣黄もこ途中にあって、まだ満開だった。曇りの天気のせいもあってか、緑色が濃く見えて、芯のピンクもより濃く感じられた。帰りは黒トラの女猫と行き会い、話しかけたらころりと転がってさわらせてくれた。
 仕事は『緑金書房』続行中。やっと40枚超える。遅いなあ。今月中に次回連載分を脱稿したいと思っているんだけれど。今回では終わらなくて、たぶんもう一回。

2009.04.19
 まだ当面『緑金書房』。でも天気がいいのでちょっと散歩。神社の池で山盛りになってる亀どもを眺め、戻って残り物でバナナブレッドを焼き、仕事もぼちぼち。山の緑が目に躍るようにあざやかで、いくら眺めていても飽きない。
 『桜の園』の書影入りましたのでよろしく。ピンクの横文字はチェーホフの戯曲『桜の園』を意味するロシア文字です。まっ、デザインという意味しかありませんが。書店に並ぶのはもうちょっと後になります。近々東京に出る用事があるので、本当にその日に並んでいるか確認してきます。といっても新刊が出た直後の書店というのは、あまり行きたくなかったりするのですが。自分の本が置いてあれば「売れてない」と思い、無ければ「配本すらされてないんだ」といじける。ほんとよ。
 よく考えたら東京に出るのは22だった。ぼけてるし、自分。

2009.04.18
 『緑金書房』3日目。のろのろと進行中。しかしここに来て、前三回に振った伏線がいろいろと解消されることとなった。ヒロインが登校拒否した理由もやっとほの見えてきた。決めてなかったのかって? はい、さようです。毎度のことで、書き出す時に入り口は出来ていてもその先は闇に包まれていることがほとんど。我ながら毎度、薄氷を踏むというか綱渡りというか、いやあ心臓に良くない。
 週末にまたサイン本応募3通いただきました。あんまりついまでも告知を出しっぱなしにしているのも、間が抜けた話だなあなどと思っていたのですが、ここに来て初めて気がつかれた方も多いようなので、本が残っているうちは「とうぞ」と書いておくつもりです。ただその差し上げる本というのは、ノベルス、文庫ともせっせと増刷がかかっていたときの見本なので、最近は増刷ともとんとご無沙汰で、だから新しい本ほど差し上げられるものが少ないし、これから貯まる見込みはあまりなくて、まあいまのうちです。
 お礼状も3通。相模原のSさん、スタバカード有り難うございます。スタバはかなり愛用しておりますので、有り難く使わせて貰います。ちなみに篠田は甘い飲み物は苦手なので、いつも本日のコーヒーのトールサイズを、ブラックでぐびぐびやっています。小金井のNさん、篠田も『AveMaria』の終章はとても好きです。自分で書いたものを自分で好きだなんて、ずうずうしい気もしますが、なんかあのシーンは自分が書いたというより、そのとおりにあったことです、といいたいような感じなのですよ。神戸のMさん、この一年があなたにとって真に実り多いものとなり、意味ある時間になることをお祈りしています。『アベラシオン』は文庫にして貰うなら、固有名詞の注をつけたいとも思うのですが、そんなことすると量が五割り増しになって定価が上がって大迷惑、ということにもなりかねませんよねえ。どう思われます?

2009.04.17
 やっとこ昨日から『緑金書房』の第四回を書き出した。といっても、第三回を載せたメフィストが出たばかりで、〆切はまだずっと先なのだが、長編の書き下ろしを一本やる予定があるので、その前に連載は片を付けておこうという。暇な作家だから出来ること、というか、これくらい余裕があってするのが、いまの自分の体調では不安が少なくて良い。
 書かなければならない〆切はあとふたつあって、そちらは二件とも徳間書店。一件はSFジャパン連載の第三回だが、もう一件は「イラスト先行短編企画」というので、そのイラストが今日届く。うーん、どこから手を付ければいいのかさっぱりわからない。難物だなあ。
 来週配本の『桜の園』の見本が届く。全編桜づくしの一冊であります。東京のお花見シーズンには、ちょっと外れてしまいましたが、作品としては作者かなり気に入っておりますのでよろしく。それからごめんなさい、定価が少し上がりました。1500円ぷらす税です。

2009.04.16
 東京創元社から出る神代もの『桜の園』は4/23になるらしい。前回は創元のサイトでサイン本の販売をやったが、今回は作者の勝手な都合でこれはやらないことにした。このところずっと、ここでサイン本プレゼントをやっていて、その場合いただいたお便りに目を通しながら、一冊一冊ゆっくりとお名前を書き、自分の名を書き、日付を入れ、落款を押す。封筒に入れて発送までひとりでやるから、サイン会よりもそれぞれにかける時間は明らかに多いことに。しかしこれがとても楽しかった。
 一方サイトで販売するサイン本というのは、どのようにして作られるかというと、会社の応接室のテーブルあたりに本を山と積み上げて、これに片端からサインを入れていく。落款は編集者に捺してもらい、つまりは流れ作業です。当然楽しくも何ともない。疲れるだけ。索漠たるものです。それでも喜んで下さる方はいるのだろうけど、つまらないな、と思って止めちゃいました。篠田のサイン本なんて、そう何冊も持っていたって仕方ないだろうしね。創元の本は差し上げられるほどはないんで、他のタイトルでよろしければ、上記の要領でまだプレゼントしております。「龍」なんかも少しは残ってますよ。
 それから来年には一応建築探偵ラストの1巻が出るというわけで、なにかしらお祝い企画のようなものを編集部では考えてくれているようです。この不景気な時勢に、涙が出ずにはいられぬ有り難いお話、というわけで、どんなことになりますやら。本当は同人本でも配布したいところなんだけど、真っ白に燃え尽きてるかもしれないし。取り敢えず今抱えている仕事を5月中に目鼻をつけて、6月にはそのための取材を敢行する予定。

2009.04.15
 昨日は友人と池袋北口の現地っぽい四川料理屋へ。その前に少しでもカロリーを消費しておこうというわけで、白金の自然教育園へ散策に行く。庭園美術館の隣りにある。数十年ぶりで、前のことは完全に頭から抜けている。公園のように整備せずに樹木は伸び放題で、しかし野草や木にはすべて名称の札がついているので、植物図鑑を持たなくても気軽に見られる。桜は終わったがイチリンソウなどの野草が花盛り。モミジの新緑も美しい。幸いほとんど雨には遭わずにすんで、1時間ほど楽しむ。昔の大名家の庭園だった場所なので、松などはびっくりするほど大きなものもあり、荒れた感じがいい池もあり、これで300円はとてもお得な感じ。
 東武一階の伝統工芸センターで目の保養をし、安い陶器を買い、飯店へ。唐辛子の量はすごいが、丸のまま入れてあるので直接食べなければ耐えられないほど辛くはなく、むしろ脂は少なめでさっぱりした感じ。満腹するまで食べてから、近くのビルの四階にある中国食品のスーパーをひやかす。業務用っぽい量の多い調味料や冷凍点心が中心だが、これなら横浜まで行かなくてもいい。我が家では愛用の牛の胃袋の冷凍もあり。これでトルコ風のスープや、イタリアンな煮込みを作るのだ。これまではアメ横まで行っていたが、いやあ、こんな場所があるとは知らなかった。

2009.04.13
 『angels』は昨日送稿。今日からメフィスト連載の第四回に取りかかる。
 サイン本3通発送。タイトルさえこだわらなければ、プレゼントする本はまだ残っています。ご希望の方は上記要領を守られた上でご応募お待ちしています。
 仕事場の近くの御衣黄、淡緑の桜が今年も咲いた。近くのお寺のしだれ桜や八重桜も満開。若い頃は桜などさして目も止めなかったが、寄る年波か季節の移ろいが目に染みるように美しい。ひとりでその色香に酔うのももちろんのこと、友達や連れ合いと愛でればまたひとしお。
 というわけで、明日は自然大好きの友人と散策に出かけて、夜は美味しいお酒を頂いてきます。それから余分なカロリーを消費すべくダイエット致します。

2009.04.11
 結局『angels』は明日一日かかりそう。月曜日に送稿という感じか。
 不眠症が始まって以来、暗いうちに目が覚めてしまうのが毎度なのだが、そういうときはもう一度ちゃんと眠れる時もあるが、眠ったのか眠らないのかはっきしないことが多い。眠れなければ小説のプロットをぼんやりと考えていたりして、それが夢なのか起きて考えていたことなのか、曖昧な感じになる。しかしまるっきり夢だと、起きた時にはほとんど忘れているし、覚えていてもつじつまが合わなくて使い物にならない場合がほとんどなのだが、半醒半眠状態のそれは覚えていることもある。今朝もミステリっぽいプロットがふわふわと浮かんで、幸いそのほとんどは覚えていたので、ノートに書き留める。しかし、ものになるかどうかはよく分からん。すばらしいトリックが天から降ってくる、などということはないので、まあ自分が思いつきそうな、お話のきっかけのようなものだけでありました。

2009.04.10
 やっとこ『angels』の直し、二回目を最後まで終えた。週末で再読して大きな問題が見つからなければ、これは終わりにする。
 メフィスト発売。『緑金書房午睡譚』の第三回が掲載されています。よろしく。
 サイン本ご応募3件、お礼状3通。いずれも有り難うございます。週末にかかってしまったので、発送は来週になります。
 読了本はタイトルだけ。『四隅の魔』 三津田信三 角川ホラー文庫 『秋期限定栗きんとん事件』上下巻 米澤穂信 創元推理文庫

2009.04.09
 なんだか急に暖かくなって、着るものに困ってしまう。コート無しでは寒かったのは、ほんの数日前のことなのにね。
 昨日は石神井川添いの桜を眺めながら歩いた。東武東上線の中板橋駅からちょっと歩くともう川に行き当たる。そこをずーっと王子まで1時間半ほどかけて歩いた。桜は盛りを過ぎようとしていて、風が吹くとまさしく視野いっぱいの花吹雪。眼下に河面を見下ろすと、一面花びらが白い点となって浮かび、それが流れの静かな場所、急な場所、渦を巻く場所によって次々と異なる模様を描く。そこに点景を添えるのが鴨たち。いたのはたぶんオナガとカルガモとキンクロハジロ。最後の鴨は後頭部に弁髪みたいな垂れた羽があって、頭を振るとこれが遠目にもふるふるしてとてもラブリー。それとこの鴨は潜水してえさを採る。石神井川もけっこう水がきれいで、真上から見ると水底に潜った姿がはっきり見えて、これはなかなか面白い。そばにはカルガモがいてこっちは潜水しないのだが、首を伸ばして水面にくちばしを突き出し、水を漉すようにしながら泳いでプランクトンなんかを食べている。やたら元気なカルガモで、花びらに埋め尽くされた水の上を勢いよく泳ぎ回ると、その後が水脈となって残るのだ。こういうのは川の上から眺めるのが一番見やすい。
 川沿いの道はほとんど車の入らない遊歩道で、ところどころ公園もあるし、一カ所に止まっているより次々と景色の雰囲気も変化する分飽きなくていい。お花見にはこれがいいね、来年は少し飲み食いのものなど用意して、ワンカップを片手にふらふら歩くのも楽しそうだね、と思った次第。いまや我が家のリクリエーションは安近短なのでありました。
 仕事はまだ『angels』の直しをやってます。なんかあちこちほころびが見えて、「わー、こんなものを買っていただいていたのか」と反省したりめげたり。

2009.04.07
 ほとんど出歩かず、ずっと『angels』の直し。いろいろと粗が目について、その手当てに行きつ戻りつ。そうしたら今日はプリンタに紙を詰まらせ、その一部がなかなか見つからずに冷や汗。なんで詰まるかというと、篠田はけちなので用紙を裏表使う。ところがレーザープリンタだと熱で紙が反る。反った紙をプリンタに入れると詰まりやすいので、なんとか伸ばそうと辞書で押してみたり、という涙ぐましい努力をして、でもやっぱり詰まったというわけです。紙はやたらと使ってしまう仕事なので、せめて省資源なのでありますが。
 サイン本礼おたより2通。神戸のKさん、高松のHさん。偶然どちらも龍ローマ編の感想を寄せて下さり、偶然どちらもセバスティアーノに好意的なお手紙でした。これだけ活躍した主要人物で、全然美形でないというのは正真正銘初めてなので、この人には作者も大変愛着があります。龍ファンには「恋路のおじゃま虫」と睨まれたこともあったようですが、龍と透子が両思いになったら、新婚状態をスキップして一気に枯れた茶飲み友達化してしまいそうな気がするんですよねー。おじゃま虫くらい近くにいた方が、むしろ恋愛モードになるだうという、その道の達人クロベエさんの意見に作者も賛成です。
 書き残したことといえば過去編。鹿鳴館をやって欲しかったというお便りはありました。フランス革命とか戦争中の魔都上海とかも、実をいえばやりたかった。それからずーっと過去で、もっとぎらぎらしていた龍というか、アラハバキと、安比の話とかね。あのふたりならsexシーンなんかも、成人指定並の濃いことになっていたんじゃないかな。ただ近過去は歴史の下調べが大事で、遠過去はパラレルワールドと割り切らないとならないから、それはそれで大変そう。日本版コナン(名探偵ではないよ。シュワちゃんが映画で主演した方)のつもりでやればいいんだろうけど、現代の流行のラインではないですね。まあ、命があって書かせてくれる版元があったら、いつかやるかもしれません。

 明日は午後から名残の桜を愛でに行ってきますので、日記はお休み。

2009.04.04
 今日は『angels』の文庫直し作業続行。新しい作品を書くのと比べれば脳にかかる負荷は少ないとはいえるが、ずっとパソコンを睨んでいると眼に疲れが来る。今日は夕飯も作った。NHKの「今日の料理」4月号を買ったので、そこからのレシピで、春キャベツのギョウザとか。昔5人前で書かれていた材料はいつの間にか4人前になり、いまやとうとう2人前になっているのだよ。知ってました? まあ、うちなんかずっとふたりなので、その点は有り難いとはいえるけど、料理はある程度の分量作る方が美味しい場合も多くて、しかしこれから気温が上がってくると保存は利かないし、なかなか悩ましいものがありますね。
 都合により日記の更新が滞ります。次回は火曜日の夜。

2009.04.03
 予定通り『angels』の文庫直し作業を開始した。あまり直さなくていいかなと思っていたのだが、いざとなるとやはりあちこち気になるところが出てくる。文章がすべらかでない、と感じるところがいくつも目につくのだ。小説としての内容には、別段関係ないところばかりなんだけどね。今週末は仕事場に泊まりになるので、せいぜい集中して進めよう。天気も悪いらしいし。
 今日はせっかくの暖かなお日和だったので、いつものコースで一回り散歩してきた。なかなかほころびない仕事場周辺の桜も、ここに来て一気に五分咲きくらいまでは行ったようである。しかしソメイヨシノは、盛りを過ぎてほろほろと散り始めたときがまた良い。そういうのは遠目に眺めるのが美しいね。飯能河原に蕎麦屋が一軒ありまして、ここで昼酒を飲みながら河面に舞い散る桜を横目で眺める、なんて至福ですわよ。しかしそれまでは仕事仕事。

 読了本『物語としてのアパート』 近藤祐 彩流社 建築家が近代文学に登場するアパートを考察し、近代日本の都市生活における集合住宅像の変遷を語る。萩原朔太郎の詩に登場するアパート、明智小五郎が暮らしたアパート、寺山修司が短歌に詠ったアパート、森茉莉が生を終えたアパート、マンガ青年たちのトキワ荘、同潤会、戦後の巨大団地、バブル崩壊と郊外マンション・・・いままでありそうでなかった一冊。東京に生まれ育った人間なら特に、自分自身の体験と引き比べて、改めてアパートというもののイメージを思い返すのじゃなかろうか。かつてアパートが備えていた、都会的近代的な輝き、自由や高級感、その変遷と失墜、落ちぶれ果てながらなお残っていた、仮寓性(仮住まいゆえの不安定さと自由さ)とアジール性(既成の人間関係からの脱却)。建築探偵だと『灰色の砦』と『失楽の街』がこれに該当いたしますね。しかしもう少し手に取りやすい値段だったら、人に勧められるんだけどなー。

2009.04.02
 講談社文庫から『angels』を出すのは8月だが、データの用意ができたようなので、これを前倒しに片づけることとする。というわけで、ノベルスの元本を出して久しぶりに読み直し。最近はこういうことでもないと、旧作を読み返すということはめったにない。シリーズで続きを書くのに前のを読むというときは、もっと接近しているし、気分が違う。書いてから数年過ぎている旧作というのは、まあいろいろ思うこともあってそう楽しくはない。書き直せるチャンスだから、そこは前向きに考えないとならないんだけどね。データも届いたので、明日からそっちの作業に入ります。5月の連休明けには北斗学園のゲラも来るそうなので、それまでにこの文庫と、出来ればメフィストの連載の方もある程度目鼻を付けておきたい。
 夕方、昨日プロットを送った某社担当から肯定的な返事メール。ちょっとほっとする。これはまたいままでとは違う舞台で、違う勝負をしようというわけなので、気負いも少々。

2009.04.01
 どんよりと肌寒いお天気。桜も相変わらず。これでは近所に出る用事も「明日にしようかな」とナマケモノな気分になってしまい、一日仕事場でたらたらと小説のプロットを作る。夕方になって一応形になってきた分をA4に3枚まとめ、担当編集者にメール。実際に書き出すのは数ヶ月後なので、これについての作業はいったん今日で終わりにして、明日からはより〆切が近い仕事に手を付けることにする。