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2008.12.28
 26日の夜に東京にいたのだがあまりに寒くて、少し風邪っぽくなってしまった。あわてて風邪薬を飲んだが、今日も頭少しぼけ気味。外出の後かたづけをして、柚子の酒を漬けて、その後北斗学園を少しやるが、かろうじて250頁に到達したけど頭不調。今年の仕事はここまで。残りの日はなんだかんだで埋まってしまう。しかしどうやら来年は、早々に仕事始めになりそうだ。皆様どうぞ良いお年を。

2008.12.25
 年賀状を書き終えた。今年の1月に来たハガキを見ながら書くので、そこにそえられていたメッセージに返事のようなことを書いたりする。年賀状のやりとりしかしなくなっている相手だと、2年越しの応答ということになる。その悠長さたるや反時代的といってもいいが、それもまたよし、かな。
 今日は午前中だけ北斗学園をもう少しやって、午後はジム。明日明後日は出る用事があって、日記もお休みするので、今年の仕事はほぼ終わったようなものだ。29はコミケで友人のスペースの売り子をするし、30もまた出かける用事がある。31は少し仕事場を片づけるというわけで、でも28はもうちょっとだけ書けるかな。なぜか「時間がない」と思うと書きたくなる。
 本日のやれやれ。東京創元社『本格ミステリ・フラッシュバック』という本を、アマゾンに注文して届いた今日、よりにもよって同じ日に献本が届いた。くれるならもっと早くくれ。まあ、著者に声援ということで、しかたないのでこれは姉貴にやろう。
 次の日記の更新は日曜日28日になります。

2008.12.24
 コーンとサフランのパンは、もっちりしていてなかなか美味だった。
 銀座百点の編集部の方からメールが来た。建築探偵の読者だそうだ。有り難いことである。
 今日は午前中60頁ほどの北斗学園を手直しして、担当編集者にメール便。それから少し頭が痛かったので、また近所の山へ散歩。戻ってまた続きを書く。明日はジムも行くしちょいと忙しい。おっと、昨日は年賀状書いている内に眠くなってしまったのだ。今日は、遅くとも明日には書き上げなくては。

2008.12.23
 北斗学園がずれた分、これなら放置していた仕事が入れられるなと思い、東京創元社にメールしたら承諾の返事がもらえた。というわけで来年の四月、神代さんものの第二弾『桜の園』が出ます。イメージ通り四月に出せるというのがとても嬉しい。CDにコピーしてメール送稿。執筆用パソコンはネットにつないでないから、いちいちそうやって隣のパソコンへ持って行くのだ。それからプリントアウトにイラストの指定などを入れて宅急便にして出す。そうしたら今度は2月に出る龍ローマ編のゲラが来たので、こいつのチェックをやっつけちまう。正月にゲラなんかおいときたくないもんなあ。また手を入れたくなったりしたら困るし。
 というわけで、今日はばたばたとそういうことをしながら、黒豆を煮上げて、もうひとつコーンとサフランを入れたプチパンを焼いた。味は、これから食べるのでわからんが、見かけはいいぞ。さあ、年賀状書かないと。明日はもう一日、北斗学園のために使うつもり。

2008.12.22
 北斗学園3は来年の9月だそうだ。予定が後ろにずれたのは篠田のせいではない。しかし本が売れないのは書いたおまえのせいじゃないのか? まあ、そういわれれば否定は出来ないわなあ。
 黒豆を煮ながら本日は232頁まで。もう一章は書けないだろうな。25はジムに行くし、26は年末の買い物と我が家の忘年会で、29はコミケの売り子手伝いだ。おいっ、大掃除は。年賀状は。ぎゃあ。
 銀座の老舗名店に置かれているPR雑誌の古株、「銀座百点」からエッセイの依頼が来たです。ひさびさにめでたい、かな。好きなんですよ、銀座。東京の盛り場の中では、一番好きだ。ブランド店には縁も興味もないけど、本の教文館も、文具の伊東屋も、資生堂パーラーも、お漬け物の若菜も、スモークサーモンの王子サーモンも、沖縄県アンテナショップのわしたも、あんぱんの木村屋もみんな好きです。食い物屋が多いな。いやあ、あれに書かせてもらえるなんて、篠田もえらくなったもんだっち。

 読了本『短劇』 坂木司 光文社 日常の謎ミステリというのは、なぜか近頃は「悪人が出てこないいい人ばかりのミステリ」ということになってしまったらしい。坂木氏も日常の謎派で、もっぱら善人だらけの話を書いていると思ったら、今回はかなりビターな話の多いノンシリーズ、ノンミステリの掌編集。なんだ、黒い話上手いじゃないの、坂木さん。もしかして、こっちの方が本領? ちなみに篠田のベストは、いやあなテイストの「最後」

2008.12.21
 昨日書いたようなわけで、予定がガタガタになってしまったのだが、とにかく年内は書けるところまで北斗学園を書くと決める。後は連載二本の方に頭を振り向ける。しかし余裕がないないと思っていたものが、あることになるとどうもだらけた気分が起きてしまうのは如何ともしがたい。天気は思いの外暖かだったので、また近所の山を歩いて1万歩ほど運動してくる。歩いているとプロットの迷っているところが決まる、というのもあるしね。これからは天候の許す限り、歩いて頭を働かせることにしよう。おかげさまで221頁まで到達。といっても何頁で終わるか依然としてはっきりしないんだけど。

2008.12.20
 今日も一日原稿、北斗学園。しかし景気の悪い話になってしまい、モチベーションが下がることはなはだしい。北斗学園の2が出た段階では、1年以内に次をといわれたので、こっちはその気でいて、話も春の話だし、というので、しかし建築探偵が難航したおかげで予定が押して、メフィストの連載も休ませてもらって、1月脱稿をめざして必死に書いていた北斗学園。今になって急に来年の秋にしてくれなどといわれて、がっくり。秋にならないと出ないなら、いま必死になって書いていませんってば。なんか嫌になってしまって、どうしようなどと思ったのだが、半分以上書いたものを投げ出すのも情けない話だし、物語にとってもかわいそう。先のことは判らないけど、とにかくこれだけは完成させます。しかし点数を絞り出したってことは、やはり景気のせいですかね。

2008.12.19
 晴れて暖かだったので、一時間くらい山の下の方を散歩した。あとはパソコンにしがみついていた。そっちのことはあまり書くこともないので、旅行中に読んだ本を含め近来の読了本を。

 『金春屋ゴメス』 西條奈加 新潮文庫 日本ファンタジーノベル大賞受賞作。近未来に作られた江戸世界を舞台にした時代劇のパロディつーか。普通に面白いけど、読み返す可能性はない。なによりタイトルになっている人物のキャラ設定が成功しているとは思えない。
 『十三の呪』 三津田信三 角川ホラー文庫 最初はいかにもマニアックで粘着質的な作品世界ばかり書く人だなと思っていたが、ここに来て俄然リーダビリティがあがってきた。これも怪奇現象をミステリに解体するのではなく、ロジカルに、しかし超自然は超自然のままに落ちを付けている。だからホラーといっても怖くはないんだけど、純然たるホラーものでは篠田はないので、この方が読みやすいし、小説としても面白く感じる。
 『ゼロ時間へ』 アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫 今月のミステリーズ! で評論家の千街晶之氏が評論にとりあげていて、面白そうなので読んでみた。殺人が起きるまでが長いというか、事件というのは殺人に向かってのカウントダウンだ、という趣向で、「いつ事件が起きても不思議ではないサスペンス」で物語の三分の二までを引っ張っていく。なるほどね、というか、こういうのを書いてみたいなと思いました。事件自体はわりと、なんてことはないんだけど。

2008.12.18
 一泊二日京都で遊んできた。行ったのは大山崎山荘美術館、U山さんの墓参り、河井寛次郎記念館、清水三年坂美術館、時間が空いたんで清水寺、夜はガイドブックを見て見つけた住宅街のおばんさい屋さん。その他に食べたのは、美術館のベランダで紅茶にワインケーキ、生湯葉をのせたあんかけうどん、和風の味付けのスパゲッティとか。お天気もそんなに寒いことはなく、帰りは錦でだし巻き卵と漬け物、正月用に煮る黒豆を買い、帰宅。やっぱり京都は美味しかった。

2008.12.15
 昨日は隣で寝ているツレのいびきがうるさくて寝そびれる。先に眠ってしまわなかったのが敗因だな。今日も仕事は北斗学園。でも明日明後日は唐突に師走の京都。旅行までに200頁の目標には到達できなかったけど、少し頭を休めてきて最後の一踏ん張りに備えよう。

2008.12.14
 仕事は北斗学園。300頁ちょいで終わるか終わらないか、全然予想がつかないという、毎度スリルとサスペンスに生きる、それでプロかよ悪かったな、な小説家の篠田です。

 読了本『オタクはすでに死んでいる』 岡田斗司夫 新潮選書 ダイエットに成功したオタキング岡田のオタク世代論というか、彼がかつて自らのこととして発言していたオタクとオタク文化はすでに変質して死んでいる、という話。似た経緯を辿っているということであげられたのがSFで、なるほどなーと思ったのだが、いまほとんど同じことがミステリでも起きているんだね、という。ジャンル全体に目を配り、ストイックに努力してそれなりの知識を積み上げるのが正しいあり方という考えが消えて、「ただ自分が好きなものが好き」「そして一番大事なのはそういうものが好きな自分」というアイデンティティの問題だけが残るという。オタク文化の対象となった個々の要素が消滅するわけではないが、それをオタク文化として担う担い手も、語るべき意味も消滅した。たぶんミステリも、ミステリという小説が消えるわけではないが、ジャンルとしてそれが力を持つかというと、なんかそうではなくなっていくのではないかと。もともとジャンルの中核にはいない篠田なので、それほど喪失感は覚えませんが、時代の移ろいは感じます。

2008.12.13
 理論社の担当Mさんとデート。その前に池袋西武のリブロに行き、『毎日かあさん』の新しいのを買い、ついでだから少しマンガと文庫本でもなどと思うと、あっという間に籠が重くなり、しかし送ってもらうのはなんかつまらないのでうんしょと紙袋を持って神保町へ。いっしょに行きませうと約束していた明治大学博物館におもむく。ここにはあの鉄の処女のレプリカがあるのですね。いつかMさんとふたりでバートリ・エルジェベトの死んだ城を見に行きましょうねと約束している、ふたりは怪しいお友達。しかし昔と比べてめちゃきれいになった明治大学博物館。なんと鉄の処女イラスト入りグッズ(コースター、キーホルダー、レターセット、一筆箋)があるのにはびっくり。篠田は一筆箋を購入。しかしリアルなイラストではないので、見てそれと判る人は少ないかも。
 ちなみに篠田はこれは現実に使用された道具というより、見せて脅かす効果をねらったものではないかと思うちょります。なぜかというと、使用したら確実に死んでしまうから拷問にならない。処刑道具としては密室的すぎる。異端者や魔女は衆人環視の中で処刑するものでした。
 その後駿河台下のMさんお気に入りカフェに。そこはなんと篠田が大学生時代から何度か行った、老舗のロシア料理店の上だった。骨董品なみの古ビルに大丈夫なのかのエレベータが、なかなか閉所恐怖をそそるのだよ。カフェ自体は居心地よろしいが、客が少ないのがちょっと心配か。158頁まで進行した北斗学園を読んでもらい、プラスのエネルギーをもらう。刊行予定は一応来年5月。正式な決定は理論社の営業を通してからなので、またお知らせします。

2008.12.12
 医者に眼底検査に行く。やはり血圧が高いので、動脈もいくらか固くなっているらしい。次回は緑内障の検査をしなさいといわれる。もうこの歳になると、身体のありとあらゆる部分が「要注意」になってくるのである。なにやらやっかいなことですなあ。
 瞳孔を開く薬のおかげで近眼が急にひどくなったような感じで(だから本は読める)へろへろと仕事場に戻ってメールをチェックすると、てっきり2月だとばかり思っていたSFJapanの〆切が1/15だといわれて激しく焦る。これでは北斗学園を終えてからでは間に合わぬぞよ。恩田さんの真似して10枚くらいでお茶を濁したりして。いえいえそれはなりませぬ。作家のクラスが違うのに、そんなことしたら罰が当たります。というわけで、しょぼつく目で北斗の続きを書く。154頁まで。

2008.12.11
 今日も北斗学園。直し病が昂じてしまい、書き上げたところにまた手を入れてしまう。しかし一日パソコンにしがみついていると血圧がよけい高くなるので、一時間半ほどわしわしと散歩。戻って続きを書いて、いまは147頁。なんか、伸びている感じだなー。

2008.12.10
 午前中北斗学園、午後は今週は水曜日にジム。代わり映えしない。

 読了本『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』 中野京子 光文社新書 デューラーの「マクシミリアン1世」から、数々の絵画でつづるハプスブルク家の通史。要を得た記述は読みやすく、カラーで挿入された多くの肖像画で歴史的人物のイメージもとらえやすい。「エリザベート皇后」とかよく知られた絵も多いが、普通はなかなか見られない絵も多くて、スペイン・ハプスブルクを滅ぼした最後の王「カルロス2世」とか、ナポレオン皇帝の遺児「ローマ王」とか。しかしこうして見比べると、ほんとにハプスブルク面貌(この一族に特徴的な尖り顎と受け口)は強固な遺伝だなあと感心する。自作『アベラシオン』のネタにも使いましたが、もしもあの物語の一族がこのハプスブルク面貌を引き継いでいたら、アベーレもジェンティーレも美形じゃないわね(爆)

2008.12.09
 今日はまた天気下り坂。コンビニと郵便局へ、ゲラ、本の発送。後は戻って北斗学園の続き。主人公の気持ちをうまくとらえかねて行きつ戻りつ。某登場人物の長せりふをごっそり1ページ削る。気に入っていたところではあったのだが、自己満足にふけってはいけない。

2008.12.08
 同志社大ミス研の皆川先生講演会記録は、非常に丹念な労作だった。花園大学なんか毎年錚々たるミステリ作家や評論家を招いて講演をさせているのに、この種の記録が全く作られないというのは、正直いって大変にもったいないことだなあと改めて思う。
 今日は一日の三分の二くらいはリクリエーション。いつもなら車で行く「サイボクハム」に電車とバスを乗り継いで出かけて、日帰り温泉でたっぷり暖まり生ビールを飲む。お茶の時間には仕事場に戻りコーヒーを飲む。その後は少し仕事。建築探偵の念校(三度目のゲラ)にしぶとく直しを入れる。後は台湾版ご所望の読者へ手紙を書いて本を包装する。

2008.12.07
 依然睡眠不調。北斗学園、書いた部分を手直しして125頁まで。どうも今回はある程度ディテールを書き込まないと上手く話が転がらない。これまでのように勢いだけで、ばったばったといくわけにはいかないようなのである。
 ウィキペディアの猫の項に「ノルウェージャンフォレストキャット」という猫の写真が載っていて、これが長毛の黒白猫で、かなりクラウスのイメージに合う美形猫である。担当のMさんに「クラウスの写真を発見」とメールしたところ彼女から「若き日のクラウスでは」と返信。なるほど、いまはすっかり歳食って、おっさん顔のデブ猫になりました、と(笑)

2008.12.06
 睡眠不調。そのせいか原稿の進行具合もいまいち。パン作りまで失敗。こんな日もあるさ〜
 『紅薔薇伝綺』文庫版出来。柳川貴代さんの美しい装丁。赤ではなくほんとに紅薔薇の紅です。
 この六月同志社大ミステリ研究会の仕切で行われた皆川博子先生講演会の記録を掲載した「カメレオン24号」が刊行された。通販もしてもらえるので、ご興味をお持ちの方、ぜひ同志社ミステリ研究会のサイトにアクセスしてみて下さい。

 読了本『豪華客船エリス号の大冒険』 山口芳宏 東京創元社 17回鮎川賞受賞者の第二作。どちらかというと乱歩の冒険活劇の世界を再現したような話でありました。舞台の客船がいっこうに豪華に思えず、探偵以外のキャラが全然立っていないのは、まあご愛敬。

2008.12.05
 ほとんど仕事場引きこもり。北斗学園114頁まで。
 徳間の雑誌SFJapan2008冬号刊行。篠田の新連載「黎明の書」第一回と、インタビューが載っとりますので、ご興味おありの方はぜひご覧下さいまし。イラストはトリ・ブラのTHORES柴本さん。彼女と仕事をしたいという長らくの夢がようやく叶いました。つーても、小説としてはまだ始まったばかり。けっこう長くなりそうな感じが致します。吸血鬼と人間が敵味方ではなく、一応社会制度的に共存している中世社会という設定なので、自分的にはそれを書くのがとても楽しいのでありました。
 本日の朝刊に載っていてびっくりしたニュース。三重県のショッピングセンターで、受水槽から死後一ヶ月の死体が発見されたそうな。その水はセンター内の11の飲食店をふくむ施設全体で使われていた。都市伝説なんかではありがちの設定だけど、ほんとにこういうことってあるんだねえ。しかしそこで1度でも飲み食いした覚えのある人、ものすごーく嫌なんじゃないでしょうか。働いてて毎日水を飲んでいた人なんか、もっとたまらんのじゃないでしょうか。でも、どうしてくれるっていっても、ねえ・・・

2008.12.04
 眼底検査してもらいに東長崎の医者に行ったら、そこがえらくぼろい眼科で「担当が休みだから今日は出来ない」といわれて無駄足。午後はジムに行ったので仕事は休み。なんとなく徒労感。

2008.12.03
 今日は良く晴れたが一日仕事場に引きこもって、ちょっと気晴らしにパンを焼きながら仕事。北斗学園101頁まで。325くらいに収めないといかんのだが、収まるんだろうか。わかんねー。
 しかし晴れた曇ったと一喜一憂していられるくらいなのだから、不景気でも日本は平和だなといまさらのように思う。インドのムンバイ、タイのバンコク、訪れた街の騒乱はまったく知らない土地よりも生々しい。特にバンコクはね、今でも春になるとつれあいと「マンゴー食いにいきてー」と騒ぐくらいなのだから。でも今回のようなことがあると、危機管理能力はとても信頼できないし、行って帰れなくなったら大変だと思っちゃうよね。

2008.12.02
 天気も悪いので出歩く気にもなれない。でも必要なので銀行には行って、帰り近くのお寺で深紅に染まったカエデの葉を一枚拾う。紅葉はわざわざ遠くまで出かけなくても、近場でけっこう楽しめるんである。晴れたらまた散歩に足を伸ばすんだけどね。
 今日は北斗学園87頁まで。いささかくたびれた。

 読了本『孤児たちの城』 高山文彦 戦前のパリで一世を風靡したアメリカ生まれの黒人歌手ジョセフィン・べーカーが、世界から国籍も宗教も違う孤児たちを12、3人養子にして、南仏の城で育てた。その子たちの現在をインタビューしたノンフィクション。嫌みはない書きぶりだが、どこか隔靴掻痒のもどかしさがつきまとう。もちろん現実は常に、皮膜の向こう側にしか存在しないものだろうけれど。

2008.12.01
 めっきり寒くなった。紅葉は最後のにぎわい。今日は都心に出て友人と食事。仕事は休み。明日からはまた、心を入れ替えて働きます。しかし一日動かずにパソコンに向かっていると、どうも血圧が上がるようなんだよ。

 読了本 『食べる西洋美術史』 光文社新書 キリスト教図像の最後の晩餐から始まって、西洋美術史に登場する食事の場面、宴の場面、さらには果物や魚や食器をリアルに描いた静物画、そしてウォルホールのキャンベルスープの缶まで、食という面から眺めた美術史。肩の張らない読み物として楽しめます。