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2008.09.29
 やっと300を超えた。350で終わるのだろうか。終わるといいなあ。真夏に寒いところのミステリは書きにくいよと嘆いていたのが、いまやこんなに寒いもんねえ。明日は夜不在なので日記は休み。

 再読『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』 うん、やっぱりこっちは「説明ばかり」というか、素材がちゃんと煮えないままごろごろたくさん放り込まれたポトフという感じ。素材の取り合わせのセンスはかなりいいんではと思うけど、詰め込みすぎて火が回っていないのね。実はこれだけ読んで「この作者好きでない」といままでなにも読まないできたのだけれど、これなら他のものも読んでみようかなと思ったのでありました。

2008.09.28
 昨日も今日も仕事。マイナー小説家の日常なんてこんなもんです。しかし本日で292頁に到達。さすがに300では終わりませんわなあ。でも350では終わると思うよ。来月はいろいろ予定が立て込んでいるので、うかうかはしていられないけど。

 読了本『聚楽 太閤の錬金窟』 宇月原晴明 新潮文庫 『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』で第11回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作家の第二作。受賞作は石堂藍に「説明ばかりで小説としては面白くない」とばっさりやられたが、これは面白かった。冒頭のキリシタン時代の文体で創作したグノーシス派文書もよく出来ているし、絢爛豪華てんこ盛りこれでもかの世界。桃山時代に正統カトリックだけでなくカタリ派とかの異端が日本に来ていたら面白いなあというのは、篠田も考えたことがあったんだけど、これは頑張ってそこをやっている。曽呂利新左衛門が異能の忍者で、これが蜂須賀党の乱破やイエズス会の審問官と死闘を繰り広げる山田風太郎調のアクションシーンとか、ジル・ド・レの話を謡曲調でやらかすとか、サービス満点。しかし読み終えるとそういう派手な場面より、少年時代の信長と家康と秀吉が仲良く瓜を食べた遠い夏の日の思い出という、泣かせるシーンが印象に残る。信長を失った秀吉が、主の命令に全てを忘れて奔走した祝祭の日々を追い求めて、信長の漏らした一言半句を実現すべく朝鮮出兵までやらかしたあげく、絶望の中で死んでいき、ひとり取り残された家康が喜びもなく残されたものを引き受けるというのは、なんだかリアリティがある気がしたよ。

2008.09.26
 昨日も今日も仕事と、昨日はジム、今日は医者。医者の帰りはわしたショップで皮付き豚バラと中身汁と島らっきょを買う。まことにもってに代わり映えのしない毎日である。

2008.09.24
 昨日も今日も仕事。ひたすら仕事。でもまだ終わらない。

 読了本 『青銅の悲劇』 カケルシリーズのスピンオフかな、という感じだが、読み味は全然違う。事件は地味で、舞台設定とか描写とかもとにかく地味。毒殺未遂事件を巡って、いつ誰が毒を入れたかに関する数学的に厳密な考察がとにかく延々と続く。これが面白いかというと、面白いと思う人もきっといると思うが、篠田は頭が悪いのでこんがらかっちゃう。ついていけない。で、とにかく意図してのことだとは思うもののすべてが淡々、平板、無感動は、犯人が指摘されるところにも、ラストにもまんまで、正直「あーあ」という感じが強かった。ごめんなさい。

2008.09.22
 章の切れ目なのでスタバでプロットを作る。夕方になって新しい章を書き出すが、これがまた本文を書いてみないとディテールが決まらない始末で、あまりの見通しの立たなさ加減に泣きたくなる。

 読みかけというか読み出した本 『青銅の悲劇』 笠井潔 講談社 宗像という名前の小説家は笠井さんの作品に何度か登場していて、作者の投影である部分も少なくないのだが、それは必ずしも同一人物ではない。近作だと「天啓シリーズ」だが、篠田の好きな『黄昏の館』では、もっと華々しい役所を演じている。他にも『ヴァンパイヤー戦争』のキャラのはずのムラキがちらりと出たりするし、「カケル・シリーズ」のナディアは重要なキャラ。しかし視点人物の宗像が息子世代の若者と世代論を交わしたり、ガンダムの引用を不得要領の顔で聞いていたりするのは、真面目な笠井さんの学習の成果であるにはしても、ちょっと、なんというか、読むにイタイものがあるね。

2008.09.21
 今日で244頁まで。緊迫したシーンが続いたのでくたびれたが、案外頁は増えない。ここへ来てまた完成の分量が読めなくなった感じ。予想よりコンパクトに、300ちょいで収まるのかなあ。

 読了本『消えた名画 「ダ・ヴィンチ習作」疑惑を追う』 溝口敦 講談社 これはメーヘレンの贋作みたいに、偽物を作ろうとして作ったわけではなく、弟子が勉強のために描いたようなデッサンが、現代に真筆とされて法外な値段で売られかかった、純然たる詐欺事件なのだった。しかし同様に、製作の段階ではなく流通の段階で偽物となるケースはわりとある気がする。それだけ美術品の流通が、曖昧でいい加減なものをはらんでいるんだけどね。しかし問題のデッサン、これがレオナルドだと信じる方も信じる方だよ。全然良くないもん。それを20億円だぜ、それも20年以上前の。とんでもない金額だから、かえってそれらしいと思われたのかな。

2008.09.19
 昨日も今日も仕事。書きかけの小説については、書いても仕方がないので話題がない、というわけでときどきは日記を休むよ。今日は仕事場から出なかったので、30分エアロバイクを漕いでも5000歩しか歩いてない。仕事の合間にパンを焼いていた。今頃はまだ発酵が楽でいい。
 アマゾンのマーケット・プレイスで本を1冊購入。実は昔書店で目撃したうろ覚えの本で、タイトルも判らず、ただダ・ヴィンチの贋作が日本に売り込まれるノンフィクションだと記憶していて、しかし贋作美術についての本をいくら見ても見つからなくてずーっと気になっていたのだ。『アベラシオン』を書いていたときも、あれがわかっていたら絶対話題にするよなあと思いながら、わからないままだったのが、ある新書(いま手元にないのでタイトルを失念)の年表の中にそれらしいのがちらっと登場し、ダ・ヴィンチの他にキーワードが見つかったので、よしよしと思ってネットで検索をかけたらあっさり見つかり、当然とっくに絶版なのだがこうして入手できた。ネットがなければついにわからないままだよなあ、と思うと、便利な世の中だといまさらのように思う。
 しかしね、調べものが楽になったから蘊蓄型の小説は無意味になったというのは、考え方が間違っとるよ。調べたものを切り貼りするのは小学生だってする。一度飲み込んで吐き出さないと作品の一部にはなりません。その違いがわからないとしたら、それは読者の未熟です。

 読了本『私はフェルメール』 フランク・ウイン ランダムハウス講談社 フェルメールの贋作者として有名なメーヘレンの生涯。贋作者は常にジレンマの中に生きている。自分が描いた贋作が本物として受け止められれば、金銭的な利益は得られても彼の手腕が評価されることはない。贋作の事実が白日の下に晒されれば、一瞬の驚愕の後には罵られ詐欺師として指弾される。しかしメーヘレンの作品はやっぱり、いまの目で見ればとてもフェルメールには見えないんだけどなあ。イエスの顔は確かに一番描いた当人に似ているよなあ。

2008.09.17
 秋晴れ。曼珠沙華見物の人も多いだろう。こんな日はベランダの戸を開け放して、美味しいコーヒーをいれて未読本の山から選んだ2.3冊をそばに置いてのんびり、といきたいものだが、そういう余裕はないのでノートを持って駅のスタバへ。章の切れ目なので続きのプロットを立てるが、そろそろ〆に向かっていかねばならないので、今日の所はぴたっとは決まらない。こいつを先に殺すか、こいつは生かしておくかなどと、口に出してはいけないことをるる考えつつ時間を過ごし、帰り道は散歩代わりに遠回り。初曼珠沙華を目撃。
 帰ってからもいまいち労働意欲が湧かなくて、必要があって出してきた本を再読してしまう。半村良作『石の血脈』は傑作です。

2008.09.16
 相変わらずの毎日。わずかな息抜きは合間に作る料理と辻先生のミステリ。玉葱の使いかけが冷蔵庫に残っていたので、カレーソースを煮るが、新しく買ったホットのカレー粉をたんまりぶちこんだら鬼のように辛くなった。一晩か二晩寝かせれば丸くなるよ。小説も寝かせれば美味くなるなら嬉しいんだけど、ときには腐ったりするからな。SFジャパンの新連載のゲラが来るそうだ。わあっと書いて放置していたので、先日ほんとに載るということになって読み直したら、なんかやけに粗い原稿だった。直さないとなあ。といっても当面は手を付けている余裕がない。もう少し建築探偵が進行してないと。

2008.09.15
 すみません。日記書くネタがない。仕事してます。不眠症状にグリシンの入ったサプリが良いようで、いまはそれを飲んでます。今朝は蚊のぶーんで起こされたら午前2時という恐ろしい時刻で、それから寝たのやら寝ないのやら。それでも一応仕事はしていられるので、サプリの御利益かなあと。

2008.09.14
 白浜のアドベンチャーワールドで、パンダの双子の赤ちゃんが生まれたんだそうだ。公開されるようになったら、見に行きたいなあ。
 というわけで、いやなんの関連性もないけど、今日は仕事場から一歩も出ずに真面目に仕事。やっと200頁に到達しました。次の目標は今月中に300頁。

2008.09.13
 世間様は三連休だそうだが、こちらはなんにも関係なし。仕事場近くで建て売りの工事が続いていて、まあうるさいこと。しかしエアコンを付けるほど暑くはないし、閉めたら暑いというわけで、なかなかうまくいかないものです。仕事は依然ぼちぼちと。突然日記の更新がなくなったら、仕事場にこもっていると思ってくだされ。

2008.09.12
 やっぱり一日休むと、どうも仕事がスムースに行かない。しかしそれだけでなく、秋風が立ち始めると不眠症状が出てくる。これは去年もそうだった。涼しくて快適な気候になるはずなのにね。おかげでぼけが次第に募りつつある。やばい。ちかぢか仕事場泊まり込みをしなくては。もしかすると、夜昼逆転させてしまった方がとどこおりなく行くのかなあ。
 読了本『忌館 ホラー作家の棲む家』 三津田信三 講談社文庫 ノベルスで読んだ時も怖かったけど、再読してみてやっぱり怖かった。超常現象乱れ撃ちより、語り手が微妙にやばくなっていく感じと、作中作と現実がこれまた微妙に重なり合っていく加減から醸し出される恐怖が主体で、それがよい。まあ、小説家というのはいつも頭の中で「自分はやばいかも知れない」「書いている作品と現実に変な暗号がある」なんてことを考えているものなので(他の人は知らないけどね)、そのへんとだぶってくる感じがよけい怖いのでしょう。

2008.09.11
 バットマンが終わってしまう、とツレがいうので、明日までの映画「ダークナイト」を見に行く。なんだか正義の側よりジョーカーばかりが目立つ映画だった。バットマンには科学技術と優秀なスタッフがいて、ジョーカーはあんまりたいしたことのなさそうなチンピラっぽい手下と、後はナイフやピストル、爆弾、不屈の体力と悪巧み。と並べてみれば妙にシンプル。アナーキストにしてニヒリストにしてテロリストという感じで、それがやたらと強い強い。驚いたことに最後までジョーカーは死なないし、逮捕されたかもはっきりしないし、たとえ逮捕されたってまたすぐ逃げ出してくるだろうなあという感じで、正義の側はぼろぼろで、おまけにバットマンは本格的に市民からは悪だと見なされることになるというわけで、カタルシスなんか薬もない。あんまりにも救いがないことに唖然として開いた口がふさがらない有様。やっぱりバットマンは第一作の、ティム・バートンの、そしてジャック・ニコルスンのお馬鹿なジョーカーが良かったですよ。
 渋谷だったので、ランチを食べにBUNKAMURAに行ったら、ジョン・エヴァレット・ミレイ展をやっていて、「オフィーリア」が来ていたのにびっくりした。なぜびっくりしたかというと、今書いている建築探偵の中にこの絵の話が登場していて、画集片手にそこんところを書いたばっかりだったから。ま、こういうシンクロニシティみたいなものは、ときどきあるもんなんだけど。

2008.09.10
 昨日は夜祥伝社の担当と会食。新卒の新入編集者と引き合わされる。23歳だそうだ。親御さんは40代だ。もはや子世代より下。もうちょっとで孫世代と働くことになるのだな。ふう〜。
 今日は章の切れ目なので、スタバでプロット作り。呆れたことにここでようやく、メインの真犯人とこの一冊のラストシーンが浮かぶ。といってもそれはトンネルの出口というだけで、途中の道行きはまだわからないことが多い。しかし、なんとかなるかなあという気分が漂ってきた。いや、油断大敵。

 読了本『凶宅』 三津田信三 光文社文庫 文庫書き下ろし。ミステリではなく純ホラー。サブジャンルでいえば幽霊屋敷物。視点人物とその友人が小学4年生の男の子で、彼らがいい子なので読み味はよい。三津田さんの書く建物はちゃんとリアリティのある建物なので、その点も篠田のように建築が気になる読者には安心。ただし怖いかといわれれば、そんなに怖くはない。怖いの嫌いという人でも楽しめます。この前にもう一冊光文社文庫で書き下ろしが出ているのに気づいたので、早速購入。ついでに講談社文庫で出た『ホラー作家の住む家』が、『忌館』と改題、書き下ろし掌編を加えて文庫入りしたので、これも購入。こっちはかなり怖かった覚えがある。しかしタイトル、てっきり「いみやかた」かと思ったら「いかん」なのね。イカンじゃアカンみたいで語感がいまいちかなあ。

2008.09.08
 仕事黙々と続行中。書いている最中はそばに引き寄せた材料がどんどん取り込まれていく。で、「あっそうか、そういう話か」なんて書きながら驚いたり、「ああ、そういう謎なのね」なんてことをいって、もちろんその段階では答えは考えついてない。綱渡りは毎度厳しいが、そういう書き方しか出来ないのでしょーがない。いまのところでは美少年に翻弄される神代宗、男35歳迷いの季節っす。
 キョフテは成功でした。あとはこれを河原のバーベキューで、炭火で焼いて食ってみたいなあ、という感じでありましょうか。フード・プロセッサ君は筋でも脂でもがんがん挽肉にしてくれて、普通の挽肉より断然うまいのでこれはもう至福です。今日は残りのキョフテをインゲンを煮た残りのトマトソースで煮込むお色直し料理。

2008.09.07
 ええ、残暑です。建築探偵、いままでしばらく屋内シーンだったのが、外に出る場面を書かなくてはならなくなり、知識の不足がやや不安。10月に追加取材に行くことにしましたんで、気になったらその結果で手直しするということで、いまは突き進みます。
 今日は夜のトルコ料理のために、篠田の好きなトルコの付け合わせ、茄子のヨーグルトサラダとインゲンのトマト煮冷製を作りました。茄子を焼いて皮を剥き叩いて、それにニンニク、オリーブオイル、青唐辛子、ヨーグルトを混ぜるという、とても簡単な料理。トルコ語で茄子のことをパトゥルジャンといいます。なんか響きが良くて、好きな言葉。インゲンはまったくそのまんまの料理だけど、かなり長めに煮込んで柔らかくするのがトルコ料理的。キョフテのお味は、焼いてみないとわからないので明日報告します。

2008.09.06
 ええと、今日も暑いです。仕事してます。やっと160頁を超えました。でも半分来たという感触は全然ないので、今回はやや長めになるのでありましょう。
 明日の夕飯にトルコ料理のキョフテを仕込んだ。イスタンブールでとても美味しいのを食べたんだけど、それに一番近そうな感じがした、ネットで探したレシピ。つなぎに小麦粉とクスクスを入れて一晩寝かせる。肉はフードプロセッサで挽肉にした牛赤身ももと牛すねを半々。あとは玉葱、ニンニク、卵、塩、クミン、黒胡椒。やはり不器用人間にはバーミックスよりこっちの方が安全だ。かたまり肉があっという間に挽肉に化する様は見ていても快感がある。このハンバーグ風の種を、本格なら炭火のグリルで焼く。

 読了本『美女と竹林』 森見登美彦 光文社 頂き物。篠田は著者の小説を一度も読んだことがない。それなのにエッセイを読んでしまうというのは、どこか読書としては真っ当ではないと思うものの、未読本の山にわざわざ好みかどうか判らない小説を買ってきて加えるのもどうよと思ったので、その辺は無視して読む。一口でいってしまえばユルい本である。誉めていえばなごみ系だ。この感じ、なにかに似ていると思ったら、つい最近見た映画の「パンダフル・ライフ」だった。竹林にパンダは合い物だし。装幀もすてき。小説家も有名になると、こういう本を出してもらえてきっとファンが大喜びで買うのだろうな、と羨望を覚える本でした。しかしおかげで頭の中で、森見登美彦とパンダが等号で結ばれてしまった気がする。

2008.09.05
 所沢で古本市をやっているので、やはりチェックしておかねばというので出かける。会場全周で2時間かかってしまった。辻本は発見できなかった。こうあまりに雑然とした古本屋は、そこにそれなりの面白みはあるんだけど、とにかく回るのに時間がかかるし疲れる。文庫はものすごいたくさんあったが、分類を多少なりと試みているのはほんの一部だし、ノベルスはもはや埋め草扱い。しかし、せっかく所沢まで来たのだからと、前にあさり終えていたブックオフに行くと、なんとっ。探している中でもかなり探していた『本格・結婚殺人事件』が、105円であったじゃないかっっ。ネットの古本屋で一件だけ、1000円で出ていて、注文しようかどうしようかとずっと思いながらしていなかったのだ。よくぞものぐさしていたな、自分。というわけで、一度あさった店もまた覗いてみる必要はあるらしい。
 いや、仕事もしてますよ。でも、今日は暑くてさ・・・

2008.09.04
 昨日は映画を見に行くついでにブックオフを3軒回ったが、辻先生本の獲物は2冊のみ。そろそろ限界か。無念なり。映画は新都心のシネコンでパンダ映画を。夫婦50割なら1000円で見られて、まあいいかなというくらいのユル映画ではあったが、やつらが笹やタケノコを食らうしゃくしゃくいう音や、鳴き声や、暴れるところなんて珍しいものも聞いたり見たり。その後浦和のイタリアン。この店、篠田は某*ノテカ・*ンキオーリなんぞより、よほど美味いと思うのであります。
 本日は原稿とジム。

 読了本『東京駅で消えた』 夏樹静子 建築ミステリでもある。粗悪なコンクリートを使った建築現場の偽装事件なんてのもあって、20年近く前の作品だけど、日本人は相変わらず似たようなことをやってるんじゃないの、という情けない気分にもなる。しかし東京駅も変わるのだね。ステーションホテルはどんなになるのかな。

2008.09.02
 今日も仕事場から一歩も出ずにお仕事。やっとこすっとこ一日でノベルス10頁進みました。でも、明日はお出かけするもんね。映画見てご飯食べてくるので日記の更新はお休み。

 読了本『不連続の世界』 恩田陸 幻冬舎 恩田さんの小説というのは不思議だな、といまさらのように思う。プロットで突っ走るというものじゃない。ミステリでも、たいていの場合謎が突出しているわけでもなく、すべては淡々とさりげない。このプロットで他の人が書いたら、はっきりいって退屈な作品にしかならないだろうというような。でもいくらネタが「日常の謎」でも、恩田さんの小説を「日常の謎」とは誰も言わない。世界の空気とか、漂う香りとか、語り合う人々の間を明滅するイメージとか、そういう文章になりにくい、プロットに気を取られると網目からすり抜けていっちゃうようなものを、すくいとって定着させるのが恩田ワールドなんだと思う。これもそういう作品集。

2008.09.01
 関東大震災のあった日です。篠田は今日は一日仕事場から出ずにお仕事。別に当たり前の話だけど、わりと真面目にやってました。
 ええと。時間感覚が地球人じゃなさそうな某担当からメールが来て、前に書いているといった新作吸血鬼物の連載が決まるようです。雑誌はSFジャパンといいまして、季刊なのでわりと余裕持って書けるかなといいますか、連載開始前に書き上げておく、というようなことはしなくても、まあ大丈夫かな、と思うのであります。月刊はやはりしんどいよねー。来年は小説ノンはないから、その分の時間を振り向ければなんとかなるかな。まあなにはともあれ書いた原稿が没になったわけじゃなくて良かった。