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2008.08.31
 仕事続行。『たたり』読了。やっぱり新訳の方が読みやすくて良かったみたい。でもこのホラー、寸止めなんだわ。ポルターガイストっぽい怪異は現れるけど、ヒロインの狂気みたいなものはすごくさりげなく書かれていて、さりげないままいきなり彼女は破滅して、終わっちゃう。この屋敷がなんでやばい場所になったのか、そこに現れるものの正体は何なのかということも、曖昧なまま終わる。その朦朧としたところが怖いんでしょう、というのはわかるんだけど、せめてもう少し怪異の由来が見えてもなあ、なんて思うのは、本格ミステリに毒されてるんでしょうか、自分。感情描写や、ヒロインの心境変化といったものは、篠田が書いたらもっとずっとあからさまなものになるだろうな。それで作品が良くなるかどうか、というのは全然わかんないんだけど、ヒロインの身の上の寄る辺無さというか、そのへんはすごくびしびしリアルに来るんで、なんかもう少しこう、狂うならいっそ派手に狂わせて彼岸を見せてあげたかった、みたいなことを考えてしまう。完全に館の悪霊と同一化して、自分を帰らせようとした連中に復讐しちゃって、そのあげくに館ともども火噴いて死ぬとか。
 ホラーとミステリを接近させるには、館というのはやっぱりすごく使いやすいアイテムで、この小説では幽霊屋敷に心霊現象の調査に泊まり込んだ面々が恐怖と直面する、というのが大きなくくりだけど、ミステリならその館の過去に謎めいた事件があって、その事件を探ることと怪奇現象がひとつになって、解決が導かれることが館の救済にも繋がるというような、と考えていたら、すでに書かれていることに気がついた。『時計館の殺人』はほぼそれじゃん。ま、あれの本格ミステリとしての仕掛けは、実はそれと少しずれたところにあって、ホラーっぽさはミスディレクションにもなってるわけだけどね、本格ミステリ的な解決と、でも怪奇現象そのものは解かれない謎の部分も残る、みたいな話は、書けないかな。『火刑法廷』タイプ。やっぱその辺が一番のツボかな。

2008.08.30
 朝方雨の音で早々と目が覚めてしまい、眠れないので小説の続きについていろいろ考えて、「おっ、けっこういい感じにプロットが進んだぞ」と思ったのに、起きてみたら忘れている(爆)。眠った気はしていないが、それでも少しは眠ってしまったのかも知れない。催眠療法みたいに、半醒半睡状態でびしっと出来てもちろんちゃんと覚えていて使い物になって、とはなかなかいかんもんだなあ。
 わしたショップのセールが明日までなので、だーっと行って泡盛だけ担いでくる。ついでに近場で回れるブックオフを覗いてくるが、そろそろこうやって買い集めるのも限界かなあ、辻先生本。シャーリー・ジャクソンの『山荘奇譚』が創元で新訳で出たのを買い損ねて、ずーっと探していたのは今日発見。でも復刊ドットコムで再刊のニュースは流れていたなあ。まあ、世の中そんなもんよ。しかし訳タイトル、新訳は『たたり』で、それはどうよと思っていたら、再刊ではタイトル変えるみたい。『丘の屋敷』、これもあんまりピンとは来ないっすね。
 お化け屋敷小説は一度書いてみたいとは思うのですが、館の妖しさをいくらことばを尽くして描写してみてもどこまで伝わるか心許ないし、そうするとやっぱり館の力でおかしくなっていく人間の描写で恐怖を醸し出すしかないっしょ。ジャクソンはそれを不幸な女でやって、キングは不幸な男でやった。『シャイニング』ね。さて、他になにかやりようがあるかしら。

2008.08.29
 まったくもって連日連夜の土砂降り雨に雷。今朝仕事場に行ったらスリープにしていたパソコンの電源が落ちていて、起動させてもちょっと動きが怪しい。夜の間に落雷したらしい。くわばらくわばら。ちなみにこのおまじないのことばは、雷が来た時に桑畑にいると難を逃れるという、まあ迷信だろうけど、に由来しているそうなので、ここで唱えるのは伝統としては合っている(笑)。
 今日でやっと『黒影の館』はノベルス113頁に達し、ずっと書きたかった場面をひとつ書くことが出来た。2002年にデビュー10周年として作った同人本『篠田真由美の秘密の本棚』に建築探偵ものの書き下ろし掌編を載せたのだが、そこでちらっと書いた35歳神代宗と、まだ桜井京介になる前の少年の出会いの場面である。ああ、やれやれ。しかしこれはまだ序盤に過ぎないので、ここでやれやれ、なんていってちゃダメなんでありますよ、いうまでもなく。

2008.08.28
 まーたまた雨ですね。さすがにげんなり。湿度が高くて梅雨みたいだよ。昨日出かけといて良かった。本に水気は禁物だからねえ。午前中は雨の止み間にコンビニからゲラを送り、銀行に行き、戻ってきて仕事してたら降り出して、雨の中をジム。戻ってきたら雷バシバシで、怖くてパソコンがつけられない。
 読みかけ本『有栖川有栖の鉄道ミステリー旅』 山と渓谷社 最近旅行というと車になってしまって、鉄道とはだいぶご無沙汰が続いている。レイルが嫌いなわけではない。そもそも篠田は運転できない。しかし時間が限られていると、どうしても車に頼らざるを得なくなる。列車の旅は時間と気持ちに余裕がなくては出来ないのだ。というわけで乗りテツ有栖川さんの列車エッセイ。お勧め鉄道ミステリに辻先生の作品があがっていて、「さすがにわかっていらっしゃる」とニヤリとした。

2008.08.27
 雨が止んだので我慢できず、電車に乗ってブックオフ巡り。八王子/阿佐ヶ谷/荻窪/自由が丘/渋谷と6軒回って、獲物は9冊。交通費の方が高いかなー、なんちゃって。まだ回れたけど今日はプリンタのカートリッジがなくなりかけていたので、池袋でそれ買って、リブロで仕事関係の本、今回は唐突にラファエロ前派関係。そうしたら「ここまでは要らないだろうな」という関連書がつい目について、そっちも買ってしまう。かくて本棚ばかりがふくれあがり、未読本は増える一方。ああ、憧れの隠退生活読書三昧は何時の日。読んでも忘れるんだから、これくらいあれば死ぬまで退屈しないよ、と思いつつまた買ってしまう。
 帰ったら小説ノン連載のゲラが来ていたので、そっちをささっとチェック。文庫下ろしは『紅薔薇伝綺』12月で、ローマ編は2冊まとめて来年2月だそうだ。せわしいなー。

2008.08.26
 100頁をやっと超えたので、辻先生本探しに古本屋に行こうと思うんだけど、今日は天気が悪すぎるし、明日も切りがつかなかったので、もうちょい我慢。書くことがないので、この前「傑作」だけで済ませた『進駐軍の命により』について少し書く。
 やたら著作数が多くて、「迷犬ルパン」なんてシリーズがあるのでユーモア・ミステリ専門かと誤解されているかも知れない辻先生だが、作品を分類してみると、どシリアスな作品も少なくない。中でお仕事の大きな柱のひとつといえるのが鉄道ミステリで、軽めのトラベル・ミステリの他に、歴史がらみの作品群がある。敗戦前夜という緊迫した状況の中で、日本の辺縁部に鉄道がらみのドラマが躍動する作品群が『サハリン脱走列車』『あじあ号吼えろ』『沖縄軽便鉄道は死せず』だが、『進駐軍の命により』は、敗戦後GHQの支配下にあるオキュパイド・ジャパンを舞台に、日本人は乗ることを許されなかった豪華列車ヤンキー・リミテッドと、松本清張もネタにした下山事件をからめ、戦中から戦後を生きた多彩な人物群を配した力作。しかもその中に他の辻作品でおなじみの登場人物の親世代が登場したりして、愛読者をにやりとさせる。シリアスな作品でも、暗くなりすぎず。軽やかなユーモアと若々しさを漂わせているのも辻作品のすばらしい点のひとつ。この傑作は、いまならまだアマゾンで買えるのだ。みんな、買え。読め。こら。

2008.08.25
 天気といい、我が身といい、あまりにも代わり映えがしなくて困っちゃう。仕事しかしてません。いや、今日は夕飯作る。大したもんじゃないけど。豚かしら肉の梅味噌風味とうざく。花豆煮物。やっぱり料理は好き。食べるのも好きだけど、食べたいだけ食べると太っちゃうから。

2008.08.24
 一日冷たい雨がシトシト。今日はエアロバイクもさぼってしまったので、3000歩も歩いていない。そうしてパソコンにしがみついていたわりには、原稿の進みが遅いんだけどね。続けていればいつかは終わるさ、と思うしかないのだった。ああ、道は遠い。

2008.08.23
 8/21は群馬の山の中の温泉へ。宿に行く前に万座温泉まで足を伸ばし、湯釜を見物したのだが寒くて驚く。翌日は軽井沢経由で帰ったがこれまた曇天で風が冷たくて、とても八月の天気とは思えない。いやあ、暑いのは苦手なんだけどね、こんなにいきなり気温が下がると身体がびっくりしてしまうよ。
 読了本『進駐軍の命により』 辻真先 これは傑作。
 『演じられた白い夜』 近藤史恵 実業之日本社 再刊 作中劇の脚本に寄り添うように起こる連続殺人だが、その脚本自体がミステリとして良くできていて、それも活字より演じられた方が効果が上がるように書かれているところが秀逸。演劇活動の経験がある近藤さんだけに、そのあたりのリアリティも濃密。

2008.08.20
 ジムに行ったけど、それ以外はけっこう真面目に仕事。いや、別に自慢にはならないけど、やっと少しずつ波に乗ってきたかな、という感じはある。35歳の神代さんというのは、作者としてもなかなか新鮮。ずいぶん青臭い感じがして、これまでは回想の中でちらちらっと子供時代や高校時代がほの見えただけだから、そういう意味では一番若い、ヤング・カミシロ。しかもまだ相棒も子供たちもいないしね。唯一いるのが門野だったりして、これがまた得体の知れないこと当社比30倍。まっ、ともかくそんな感じで進行中です。相変わらず、作中の神代さん同様、作者も先が見えない恐怖の進行です。
 しかし、明日明後日は夏休み取ります。仕事お休み。日記もお休み。土曜日から通常営業に復帰です。

2008.08.19
 今年はほんとに雷雨が多い。雨が降れば少しでも涼しくなることが多いので、それはいいけど、落雷してパソコンがいかれたら困ると、そのたびに恐ろしい。一応防御用のタップを使ってはあるんだけどさ。
 明日あたり理論社ミステリーYA!のサイトに「北斗学園壁新聞」の2がアップされるはずです。単なるお遊びみたいなものですけど、まあ次巻が出るまでの間、そういうのを見てちょっとは楽しんで下さい、という。

2008.08.18
 相変わらずのとのとと仕事。代わり映えしないので、また料理ネタ。ごまがたくさん入ったパンが食べたくなったので、いろいろ折衷レシピ。イーストは少なめ、こねは機械で成型と焼きは手で。粉と水分・イーストを溶いた水・オイル、とわけて入れるのがコツかも。
 読了本『ガーディアン』 石持浅海 カッパノベルス ちょっとSF的な設定を入れたミステリ。死んだ父親や祖父が娘、その後は孫を守ってくれる、といってもハートウォーミングな物語ではない。情が通じているとはとても思われない、害意に反応する自動装置のようなもの、痴漢は指をへし折られる。過剰防衛気味といっていい。そういうものが存在する条件下で、どんな事件が起き周囲はどう振る舞うかをロジカルに考える、ということなのだが、この設定って小野不由美の『魔性の子』だよね。あっちはホラーになるのに、こっちのキャラはみんな妙に冷静なのが、変な気がした。少なくともこの続編を書いたら、それはやっぱりホラーというか、一種の超能力者が阻害されていくような物語にしかならないんじゃないか。それを寸止めでミステリとして処理するというのは、ユニークではあるんだけれど、なにかこの作者って、人間性に対する洞察に欠落があるような気が、する。

2008.08.17
 ひどい雨の一日だった。富岡八幡宮のお祭りもこれでは水のかけすぎ。有明に集まった諸君も大変だったと思う。涼しいのはいいけど、雨は同人本の大敵だからね。篠田は今朝は妙に早く目が覚めて、おかげで一日ぼけていた。仕事、進みがのろい。
 また料理ネタにしとこ。昨日の夜は茄子の蒸し物がグッドでした。丸のまま茄子をゆっくり柔らかくなるまで蒸して、手で裂いて、醤油に酢、胡麻油、酒を入れたたれにニンニクをまぜてかける。冷たく冷やしてどうぞ。本日はポトフです。あり合わせの野菜と牛すね肉。とり手羽元。涼しいから良かった。スープと具を別々に盛りつけるとちょっとおしゃれな感じ。フランスパンとワインで、手抜きのディナー。

2008.08.15
 この日になるといつも聞かされる言葉「終戦記念日」が嫌い。だって嘘だもの。「敗戦記念日」じゃないか。無条件降伏を受諾したんだからさ、誰がなんといったって。戦争肯定派でも、日本は侵略者じゃなかったって主張する人でも、それは同じでしょうに。なんでそういうつまらない、誤魔化しの仕方をするわけ? 「敗戦」を「終戦」と言い換えることで、なにかいいことがあるわけ。つまんない見栄以外に? 勝ち目のない戦争をして、ぼろぼろになって負けたんだよ、日本は。戦わないわけにはいかなかったんだとしても、その結果日本には雨あられと爆弾が降り注いで、非戦闘員がものすごい数殺された。ベトナム戦争で北爆がといっても、ハノイはほとんど壊れてないのに、東京は半分以上燃されて消えたんだよ。勝てっこない無謀な戦争のせいでさ。そのへん考えると、腹立つ。
 篠田が最近個人的にフェアしている辻真先先生は、なんとなくユーモア・ミステリの書き手みたいに思われているようだけど、戦争を主題にしているミステリや冒険小説がたくさんある。敗戦直前の緊迫した空気に先生のテツ魂が炸裂する『あじあ号、吼えろ』『サハリン脱走列車』『沖縄軽便鉄道は死せず』はいずれ劣らぬ大傑作。それから戦中戦後を先生が暮らした名古屋を舞台に、先生ご自身を投影した少年少女が活躍する本格ミステリも多数書かれていて、いずれも「その時代ならではの動機」「その時代でなくては成立しなかったトリック」を用いながら、時代に裏切られた若者たちの悲しみと戦いを描いている。『悪魔は天使である』『くらやみの天使』『平和な殺人者』『完全恋愛』。
 辻先生を再発見して以来、篠田はミステリマニアが先生を評価しないことが悔しくてならない。そりゃ中には、「先生、お忙しかったですか?」といいたくなるような作品も、ないとはいいませんが、多作な作家は評価しないなんて、そりゃ単に読み手の怠慢じゃないですかっ。

2008.08.14
 朝から原稿書き、建築探偵。最初エアコンを入れずに頑張っていたが10時頃には耐えられなくなる。昼過ぎから空が暗くなってきて、雷が聞こえ出す。やばそうなのでパソコンを切る。豪雨の中ジムへ。気がついたらもう雨は上がっていた。ほとんど熱帯雨林気候である。

2008.08.13
 あまり代わり映えしない毎日なので、わりと美味しくできた食パン型ブリオッシュのレシピを書いておく。パン焼き機にこねを任せたし、この気温では発酵に気を遣うことも要らないのでとても簡単。
1.強力粉250グラム、砂糖30グラム、塩4グラムに、卵1個と脂肪分30%の生クリーム100ccを入れて自動パン焼き機のこね機能で10分。
2.生地がひとまとまりになったら、イースト小さじ2分の1を水20ccで溶いたものを添加。数分こねる。
3.バター30グラムを添加して数分。生地がテカらなくなるまで。こねはもちろん手でやってもかまわないが、かなり柔い生地なので扱いにくい。
4.ボールをかぶせて2時間ほど発酵。倍になったらカードを使って軽く丸め直し20分ボールをかぶせておく。
5.油を塗った好みの型に丸め直した生地を入れて40分から50分。表面を乾かさないように。
6.オーブンの火加減は大きさによって変わるので要注意。うちは小さいオーブンなので、160度で15分、その後で180度に上げて15分。カステラみたいに金色の生地のブリオッシュ食パン完成。

2008.08.12
 昨日はなぜかちゃんと眠れなくて、朝になっても頭がぼけている。これではとても仕事にはならんばいと思い、絶賛辻真先フェア、辻本求めてブックオフ巡りを決行する。電車を乗り継いで西川口へ。京浜東北で南下しつつ秋葉原と大森、戻って白金台まで行くが、この4軒目で一冊もゲットできなかったのでここで切り上げる。計15冊なり。まあコンプリートは無理だろうし、「読む」ことが主体なので、文庫でもノベルスでもあったら買うだけなんだけど。念のためだが辻先生の本は新刊書店ではほとんど目に付かないのだよ。あればちゃんと新刊で買います。

2008.08.11
 今日は朝から午前中真面目に原稿を進め、お昼も簡単にパソコン前で済ませて、しかしここで一休みしたりするとだらあっとしてしまうから、ここは駅前のスタバに行こうとノートや鉛筆を持って出かけたのに、駅まで行って財布を持ってこなかったことに気づいた。すでにぼけている。それでも、注文してしまってから気がつかなくてまだ良かった。結局今日は駅まで二往復。でもおかげで、あと30分エアロバイクを漕いだら、楽々1万歩を超えました。
 原稿の方はようやく、50頁目に突入。でもこれって、全然いわゆるミステリらしいミステリではないわ。いやもちろん「謎が物語を主導する小説」ではあるんだけどね、「だれがやった」とか「どうやって」とか、そういう謎ではない。じゃあどうなるか、それは書いてみないとわからない。ただ、この物語が要求する、あるべき道筋をたどっているということだけは、わかる。だからいいことにする。

2008.08.10
 えっと。我ながら全然ぱっとしません。のんびりというより、泥沼の中を脱げかけたゴム長を引きずるようにして進んでいると申しますか。ぼけてて鍋は焦げ付かせるし、野菜カレーを煮ていたんだけど、これもかなり危ないところだった。やっぱり夏は休むべきだよねえ。

2008.08.09
 昨日の夕飯は総じて大変満足な出来だった。オクラをロースターで少し焦げ目がつくくらい焼いて、粗塩とこしょうや、ナンプラーにスダチと胡麻油、また胡麻油に柚胡椒のたれで食べるのは、料理というほどのものでもないシンプルさだったが、ふたりで2パックぺろり。他の3品も美味でした。料理づいた感じで、今日はビシソワーズと、黒ビールのカンパーニュを焼く。カンパーニュには自家製のジンジャーピール、ショウガの砂糖煮が入っている。
 というわけで、仕事はわりとのんびりやってます。

2008.08.08
 夕方なぜか突然エアコンが止まってしまい、仕事の手を止めてフィルターの掃除をする。幸い動き出してくれたけど、こりゃ恐ろしい。
 今日は夕飯担当。茄子とマイタケの田舎煮冷やして、や、とろろの冷たいスープなど、冷たくして食べられるものをメニューにする。メインは豚ロースのみそ漬け。自家製の梅味噌に梅ジャムで甘みを足してみたけど、味のほどはどうか、夕飯はこれからなんでまだ判りません。
 読了本『野球の国のアリス』 北村薫 講談社ミステリーランド 大変読み味のいい楽しい小説だったけど、野球のルールを知らないと楽しめないところはあるだろうな。あと個人的に「これはあの人がモデルかな」と思うところがあった。北村さんからのオマージュかしら。
 『土方歳三、参る! 幻説五稜郭』 辻真先 依然絶賛辻真先フェア続行中。これはいくらブックオフを回っても見つかりそうもないと思って、アマゾンのマーケットプレイスで購入。しかし土方の最後を題材にした小説ってみんな、小説家の創意よりも土方自身に固着したイメージ、その魅力の方が強くなっちゃうみたい。時間SFであるこの作品についても、それは変わらなかった。やっぱり司馬の書いた土方なんだよね。

2008.08.07
 今日も暑いけど、どうせ暑いなら曇ってどんよりむしむし暑いよりは、今日のようにぱかっと日が照っている方が、まだ夏らしくていい。午前中はみっちり仕事をして、ジムに行く前のランチってことで、自宅近くのオーガニック・カフェに行く。しかし空は青く、雲は白く、「わあ、夏休みしたいよーっ」と叫びたくなってしまう。こんな天気の時に、エアコンかけた部屋にこもってシコシコとパソコンに向かうというのは、悲しいなあ。
 メフィストの夏号が出た。分厚い。篠田の連載「緑金書房午睡譚」が載っていますので、どうぞよろしく。

2008.08.06
 今日も後ろめたい思いと共にクーラーに頼りつつ仕事。これまでに引いた伏線を回収しつつ。島田荘司さんの講談社ボックスは「一冊ずつはファンタジー、12冊完結すると本格ミステリ」だそうなのだが。建築探偵の場合は逆で「一冊ずつは本格ミステリ、完結するとミステリではあっても本格ではない」になります。念のために申し添えますと、本格ミステリというのは別名パズラー、読者が推理して真相を論理的に当てることが出来、当てることを楽しめるタイプのミステリのこと。しかし篠田は最近は、パズラーにはあまり萌えません。

 読了本 『復讐の棺』石崎幸二 『トスカの接吻』深水黎一郎 どちらも講談社ノベルス。わりと軽いめで読み味がいい、トリックはあるけどたぶん力点はそこにはない、という感じのミステリ。本格マニアはそれほど評価しないんだろうな、たぶん。いや、篠田はマニアではないので、そのへんよくはわからんです。

2008.08.05
 曇りなので少しは涼しいかと期待したが、いやいやどうして、そんなものではない。クーラーは嫌だよといいながら、クーラーをつけずにいると仕事どころかだらーっと溶けて流れているだけなので、仕方なく「ううう」とうめきながらじりじりちょぼちょぼ原稿を書き進めているところであります。

2008.08.04
 朝は六時起きして、歩いて15分ほどの場所に蓮の花を見に行く。そこらは曼珠沙華の名所なのだが、そのときはあまりに人が多くて、それにあれはしばらく見ると飽きてくるんだねえ、どっか。蓮の花の方が、さすがに極楽の花といいますか、天然の造化の妙です。拾った花びらを川に浮かべてみたりして。
 その後はまた、ずるずるだらだらと仕事。当然エアコンもがんがん。そうしたら夕方になって妙に暗くなってきたと思ったら、バケツをひっくり返したような大雨。そして雷。やばいなと思って手を止めてパソコンの電源を切ったら、とうとう仕事場のマンションに落雷したらしい。ほんの一分足らずだけど停電してたまげた。まるで熱帯のスコールである。やっぱりこれも地球温暖化だろうか。

2008.08.03
 今日はマジで暑かったー、というより、夜になった今も暑いです。死ねっちゅーのかこらっ、てなもんであります。篠田は冷房はあまり好きではないので、朝の内とか頭に冷えピタで頑張ってみたりするのですが、そのうちモーローとしてきます。それにいくらエアコン効かせても、骨身に染み通るような寒さなんて、どう考えても文章に滲むべくもなくて、です。だけど年内に出すためには、いま必死で書かないとどうもなりませんで、なかなかに困りましたね、ということです。

2008.08.02
 書影入りの全著作リスト、アップしました。これだけ並ぶとけっこう壮観です。すでに新刊書店で手に入らないものも多いので、そういうものがブックオフでもどこでも見つかりましたら、どうぞご遠慮なくお買い求め下さい。ただし、いままだ新刊書店で購入あるいは注文可能な書籍を、そうした古本屋で買い求める方には、作者の呪詛が遠慮会釈なく降りかかるでありましょうから、どうぞそのおつもりで。マジよ。物書きには死活問題。1冊売れて10パーセントただし税金最低一割、つまり1000円の本一冊売れれば90円もらえる、そういうささやかなお金をちょうだいして生きているのでありますからね。ほとんど目の前の空き缶にチャリーン、の世界。ご飯が食べられなくなったら本も書けませんから。

2008.08.01
 八月からまた元の日記に復帰しました。
 ひとつお知らせ。台湾版プレゼント、『月蝕の窓』が到着しました。2名様です。申し訳ありませんが、すでに他の巻をもらった方はご遠慮下さい。
 八月になって予定通り、建築探偵新刊の執筆にかかりました。しかしいくらエアコンをつけても、この気温の中で真冬の話を書くというのは結構しんどい。集中が続かなくて。
 読了本『チャーリー退場』 アレックス・アトキンスン 創元推理文庫 北村薫さんと有栖川有栖さんが本格ミステリの傑作と推薦していたので、それと演劇がらみのミステリというのは好きなもんで、読んでみたのですが、自分は本格好きではないのだなあ、ということをいまさらのように痛感した次第。つまらない作品というわけでは必ずしもないのだけれど、乗れなかった。