←2007

2007.12.28
 家庭内忘年会などの予定を終え、今年もいよいよ大詰め。日記の更新は今日が最後とさせていただきます。でも明日小説ノンのゲラがくるそうなので、完全休業にはなかなかならないです。「龍」の6もまだ終わらないし。皆様どうぞ良いお年を。来年の日記は3か4あたりからかな。
 読了本『ヴィクトリア女王』中公新書 ヴィクトリア朝を舞台にしたマンガとか小説とかノンフィクションとかはいろいろ読んだけど、本元の女王様については案外知らなかった。というわけでその一代記。18歳で即位して64年在位。ご苦労様という感じ。でもインドの植民地化とかアヘン戦争とか、下から見れば近代イギリスのもっともろくでもないトピックが、統治者にとっては花道だったりするんだなあと、当たり前のことにちょいとため息。
 『女王国の城』有栖川有栖 女王つながり、というわけでもないけど。普通におもしろいミステリだった。と、なんとなく留保付きのような書き方をしてしまうのは、ううん、なんというかね、ミステリの謎は解決されているんだけど、物語の舞台になっていて、読み進める上で大きな魅力に感じられた作中の「人類協会」という宗教団体の中にはらまれている「謎」みたいなものについては、最終的に手を触れないままそそくさと話が閉じられた、という印象を持ってしまったから。「そんなことを書くのはこの作品の意図ではありません、これはあくまで本格ミステリ、謎解きのパズラーですから」といわれるのかもしれないけど、オウムを通過してきた現代の日本人にとっては「え、これだけ」という気がしてしまうのは如何ともしがたい。そう思うのは篠田が、純然たるミステリ読みではないからだろう、きっと。

2007.12.25
 昨日のガイ・ヤーンは非常に美味しくできた。今日は仕事そっちのけで黒豆を煮た。煮汁がガス台周りに飛び散って悲惨。豚の角煮は途中まで。豆を煮ている大鍋が蒸し器と兼用なんで、入れ替えないとならない。明日は外食につき日記はお休み。これからは仕事もほぼ休みなので、日記の更新は滞りがちになるでありましょう。いや、もう少し仕事を進めておきたかったんだけどなあ。

2007.12.24
 寒いですねー、のクリスマスイブ。仕事は相変わらずのろのろと。26と27は留守になるし、29と30も出かけないとならないんで、掃除はろくにしなくても、もうあんまり進まないとは思うけど、半分くらいは進むかな。明日は黒豆と豚の角煮も作るし。で、今夜は普通のローストチキンではつまらないので、タイ風の焼き鳥ガイ・ヤーンをやってみることにした。ほんとは炭火で焼きたいところなんだけど、オーブンです。ナンプラーとかニンニクとか、砂糖も入れる甘辛だれ。900グラムの小さめの鶏だったので、ずばっと二つ割りにして今朝たれにつけました。食べるときはライム入りのソースを使いますが、うちはあんまり味が濃いのは好きでないので、ライムだけつける方がいいかなあ。それとからすみの和風スパゲティを作りますです。最近はイタリアン・レストランでもからすみスパのあるところがあるけど、これ、うちで作る方が全然美味。ニンニクをオリーブ油でいためて、味付けは白ワイン、みりん、醤油少々。あしらいは海苔の千切り。体重が怖いので甘味デザート類はパス。

2007.12.23
 昨日は石神井公園の飲み屋に行ってきた。そこは魚介系が美味くて、でも洋風の料理のメニューもあり、仕上げに好みのにぎり寿司をふたつみっつ摘むことも出来る店。生牡蠣やアンキモ、赤貝の刺身なんてあたりをやってきました。
 今日は「龍」の続き。プロットはするっと立ったけど、原稿にしようとするとまた迷いが出てきて、行きつ戻りつなかなか進まないのでやんなる。でもまあたいてい正月も4日くらいから仕事するから、月の前半に第六回を終わらせる、というのは可能なんじゃないかな。

2007.12.21
 スタバに行って第六回のプロットを立てる。仕事場だと読みかけのマンガ(清水玲子の『輝夜姫』)に手が伸びてしまうので。そうしたら意外とするするプロットが出来て自分で驚く。ここんとこずっと悶々としっぱなしだったから。でも、プロットを小説にするのはまたそれでいろいろあるんだけどさ。
 連載の第一回が掲載された小説ノン一月号発売。冒頭の龍のイラストが非常にかっこいい。

 読了本『理由あって冬に出る』似鳥鶏 創元推理文庫 昨年の鮎川賞佳作 いささか饒舌すぎる文体に正直な話閉口したが、それは向き不向きもあれば当方の年齢もあるだろう。キャラは生き生きして会話もリズムがいい。物理トリックはリアルで現実的だし、作品の雰囲気とも齟齬がない。心温まる系のいい話と思わせておいて、もう一度逆転させる意地の悪さも気に入った。ただ、犯人の動機と手段のちぐはぐさは、犯人の性格とは一致しないし気にはなる。「こいつはそれくらい気がつかないほど馬鹿じゃないよなあ」と。選評にもそこは指摘されていて、手当をしたらしい痕跡もあるけど解消されたとはいえなくて、そこの話のメインなだけにちょっとなあ、と思ってしまう。それと、これは建築オタクの感想かもしれないが、ラストの落ちはアンリアルであります。詳しく書くとネタバレになってしまうから書かないけど、鉄筋コンクリート造四階建ての建築物にああいうことが可能かどうか、編集者、それくらいチェックしてやれ。常識の範囲だ。(作者でも担当編集者でも、具体的に知りたければ篠田のところへ連絡をよこすべし)

2007.12.20
 今日は一日オフにした。仕事をしないと心なしか体調もいい。手紙を一通。推理作家協会の会報に載せる「はがき随想」を一通書く。今度のテーマは「私の飲み物」だそうなので、カフェ・バッハのことを書いてしまった。それから郵便局経由でスーパーに行って、正月用に煮る丹波の黒豆を買う。誘惑に駆られてダイエットを踏み外す。一ヶ月くらい体重計るのやめようかなあ。ストレスフルだから。正月休みが終わったら、またすればいいやなどと。ジムに行って、買ったまま読んでなかったマンガとミステリを読んで、今日はおしまい。明日は少し部屋の片づけをして、もう少し「龍」のプロットを進めてみるとしよう。とにかく来年はあんまり無理をせず、面倒なつきあいは蹴っ飛ばして、たらたらと働くんだ。

2007.12.19
 どうにか第五回を直し終えてメール送稿。本日も歩数2000足らず。原稿送ってからエアロバイクに乗ろうかと思ったんだけど、今朝は早く目が覚めてしまって頭痛がするのでその気力もなし。マットレスに電熱カーペットを敷いた上で寝転がって、うとうとしてしまった。通販生活の楽暖マットは、ぬるぬるとした暖かさが快適であります。後は御用納めまで第六回のプロットがどこまで詰められるか、だなあ。一月の前半までにそれを書き終えられれば良しとしよう。12/26以降は年末の掃除や買い物や雑用があるので、仕事はその辺までね。そして正月は寝転がって読書三昧。今回はマリオ・プラーツの『綺想主義研究』を読むのだ。

2007.12.18
 ローマ編の第五回をやっとラストまで。明日赤を入れてまあ、終わるか。第六回で前半終了の予定なんだけど、今年中には書き上がりそうもなし。かなりくたびれてきた。といって、もう御用納めというのは、いくらなんでも早すぎるしね。

2007.12.17
 寒いときのダイエットはこたえるなあ。でも減らないんだよなあ。こういうときは、美味しいものが出てくる小説を読むのがいい。かえって食欲が湧いてしまうと昔なら思ったけど、なんか最近は「腹ももたれないし、太る心配もないし、小説の中の美食はええもんや」という気がしてます。ミステリ界三大美食小説といえば私見では、柴田よしき「ふたたびの虹」近藤文恵「タルト・タタンの夢」そして北森鴻の香菜里屋シリーズ。というわけで『蛍坂』講談社文庫を読みました。

2007.12.16
 昨日は東京の千石にあるモンゴルレストラン「シリンゴル」に友人夫妻と四人でいく。骨付き羊肉などをむさぼり食らい、全身ぽっぽぽぬくぬくで帰路につく。しかし体重がどっと増えて涙。
 今日はお仕事。来週ずっとお仕事。出かける予定なし。せいぜいいまのうちにダイエットしておこうっと。

 日曜の楽しみは新聞の読書欄をチェックすること。読みたそうな本の書評は切り抜いて手帳に挟んでおく。書店で店員さんに聞くとき、タイトルがあやふやで迷惑をかけたりしないで済む。その本を買ったら今度はそのページの間に切り抜きを挟む。本を読んで書評と見比べると、改めて「ああ、こういう読み方があるんだなあ」と感心したり、「この書評家とは意見が合わない。この人の薦める本は買うの止そう」と思ったり、いろいろ楽しいのでありました。

2007.12.14
 相変わらずだらだらと仕事。週一度のジム。余暇は数独。激辛3の挫折問題を少しずつ制覇中。しかしその第105問が、どう見ても間違ってはいないのに回答欄と違う。余詰めがあるのはまずいはずなんだけどなあ・・・

2007.12.13
 昨日日記が書けなかったのは、パソコンの移行ためでした。仕事場にVISTAを導入して、古いMEの入ったマシンを別途使おうとしたのだが、ツレが奮闘のあげくにギブアップ。「ええい、面倒だ。もう一台買ってしまえ」っというわけで、えらい物入りなり。たった5年で始末に負えないくらい時代遅れになるくせに、ずいぶんと高い買い物ではないかい。
 今日は一日仕事場から出ず、エアロバイクも漕がずにパソコンを睨んでいたが、進捗状況はあまり望ましいとはいえず。渋滞だけどのろのろ進んでいるから、ここはじたばたせずに辛抱が必要ね、というところか。しかし万歩計は万歩どこからわずか1500歩。肩はこってがちがち。まったく小説家という職業は身体に悪い。

 読了本『閉ざされた夏』 若竹七海 光文社文庫 ある地方都市にある夭折した文学者の資料を収蔵する記念館。主人公はそこの学芸員。事件はその文学者の過去を背景にしていて、架空の作家の生い立ちから人生、作品梗概といったディテールの作り込みがとても良くできている。「この作品が読んでみたいなあ」と本気で思ってしまうくらい。「いっそ若竹さん、ほんとにこれを書いてくれないかしら」とさえ思った。ただミステリとしては、事件の真相やトリックより、そっちの背景のおもしろさの方が勝っているもんで、ちっょとバランスが悪い印象がある。主人公の青年が頼りなさげなぼーっとした青年で、周りにいる女性がばりばり強いタイプばかりというのも、まあ、そこは好みの問題ですが。
 『天草の伝承キリシタンとオラショ』 濱崎献作 天草サンタマリア館 ふつうの読者にはまず縁もないだろう本だけど、興味深く読んだので。天草にも昭和の初めくらいまではカクレキリシタンがいたのだそうで、江戸の禁教時代からそれ以降まで記録に残された天草のオラショ、いわゆるお祈りの言葉ですな、それを宣教師が伝えたオリジナルのそれと対比している。変容のすさまじさ、宗教感情の変質と、それでもなお残されたものの意味を問わずにはおれない労作。

2007.12.10
 ローマ編を書き継ぐ。仕事に関しては実際、それくらいしか書くことがない。んで、別の話。
 今日の夕刊から毎日新聞では、数独パズルが掲載されることになった。実は篠田ここしばらく、このパズルにはまっております。しかし「やさしいのはもういいや」などといって、激辛数独というのを1から3まで買い込んで、半年やったあげく、クリアしたのは最初の一冊だけで、2と3はそれぞれ何度やっても挫折してしまう問題がいくつか。新聞に載るのは初心者向けのものらしいので、ここらでまた少し初心に返って楽しもうかななどと思っております。難問は解けたときの快感は大きいけど、時間がかかるんで仕事の妨げになるしね。
 明日は夜いないので日記の更新はお休み。

 読了本『ひとにぎりの異形』光文社文庫 異形コレクション、ショートショート特集。篠田も初ショートショートを書かせてもらった。しかし読者としてはやっぱり、すごくこのジャンルが好きかというと、そうでもない。昔はごたぶんに洩れずに星新一さんの文庫本をかなり読んだものだけど、しばらく読み続けると飽きてきてしまうんだなあ。もちろん、名作「おーい、でてこい」のような忘れがたい傑作は頭に染みついているけど。異形のこれは書き手が81人。だから読み味はみんな違っていて、少なくともそういう意味で飽きるってことはない。アイディアストーリーから落語から散文詩から、ほんとにいろいろで、いまみたいに気ぜわしい時代だからこそ、こういうのは復活してもいいんじゃない、という気はするけど、書き手としては、まあいいか、みたい。

2007.12.09
 今日からようやっとローマ編の第五回を書き出す。実をいうと原稿というやつは、この書き出すときがとてもしんどい。最近は「書き出しだけがしんどい」わけじゃなく、なんだかずっとしんどいんだけどさ。登場人物たちもすごくしんどい目にあっているんで、しょーがないかなー、なんてね。

2007.12.08
 効果は実証済みという「造顔マッサージ」のテキストをもらったので、ものは試しにやってみるが顔のたるみが取れたのかどうか、少なくとも鏡を睨んだくらいでは解らない。問題なのはそういうことをやっていると、なんとなく頭が「体を動かしたい」という方に行ってしまって、仕事モードにならない点だ。無論美容も健康も無意味ではないし、若返れればそれに越したことはないが、頭ぼうぼう肌荒れでも原稿が進むのと、逆とどちらが望ましいかと聞かれたら、答えに困るより「そりゃ原稿が進んだ方が」と答えてしまいそうだ。書けなきゃ食うに困るし、もともと小説を書くって健康にはいいとはいえないもんね。
 昼間暖かいので散歩に出かけて、今日は間違いなくノートも筆記具も鞄に入れていったのだが、週末の午後だとさすがにスタバも混んでいて、本屋でコミケのカタログが出ていたので、それをかって帰宅。電話帳のようにかさばって重いから、これを持っていたらもうとっとと帰るしかない。しかし久しぶりに見るとすっかり状況は様変わりしていて、特に小説ジャンルは減った減った。ひところ隆盛を誇ったミステリ系もハリポタも見る影もない。これでは行く甲斐もないなという感じで、でも今回はジャンル分けが違って、歴史ものなんかも同じ日であるから、せっかく新しくできた友人がチケットをくれるというので、ちらっと参加することにする。もしもすれ違ったら、知らないふりをしていてください、各位。
 「龍」の第六回はまだ漠然としているが、第五回もプロットだけで漠然としているので、明日から書き出すことにする。最悪でも第五回までは今年中にアップしなくては。
 東京創元社の雑誌「ミステリーズ」12月号に、神代ものの新作「花の形見に」前編が掲載されています。よろしくお願いします。

2007.12.07
 最近暗くなってから車で走っていると、やたらとイルミネーションをつけた住宅がある。どんどん派手になるというか、電気代だって馬鹿にならないだろうになあ、などと思ってしまう。サンタがはしごをかけてベランダによじ登っているようなデザインまであって、「泥棒にしか見えない」と思う。だったら逆に泥棒が、体に電飾をつけてベランダをよじ登ると、偽装になるかもなどと、ものすごいアホなことを考えた。
 やっとこ「龍」第五回のプロットを立て終えたが、一応予定として6回で300ページを超え、上下巻の上巻はここまでという区切りになるので、そこまではプロットを立ててから書き出した方がいいかも、と考える。しかしそうなると下巻の展開もある程度決めておかないとならないし、なにせイタリア編の〆だから、やたらたくさん登場した悪役どもに、みんなそれなりの見せ場を作って消えていただかないとな、というわけで、メモを作り出す。

2007.12.06 
 続きのプロットを作ろうと思って駅前まで出て、銀行や薬屋に行ったあとスタバで注文をして、空いてて良かったそばにうるさそうなグループもいないし、とバッグを開けたら持ってくるはずのノートが入っていなかった。そろえておいて、入れるのを忘れたのだ。馬鹿である。どこか断線しているとしか思えん。仕方なくコーヒー飲みながら宙をにらんで帰宅。送稿した原稿のラストが気にくわなくなって、手直しして再度送稿。それからやっと第五回のプロットを始める。今年中に六回までというのは無理そうだけど、せめてプロットくらいはきっちり立てておかないと。
 帰宅したら光文社文庫異形コレクションの全部ショートショート「ひとにぎりの異形」が届いていた。篠田も寄稿しております。イタリア物です。それから建築学会の「建築雑誌12月号」も。こちらではインタビューがなんと6ページも。いわゆる業界系の雑誌なので、このサイトを見ている人はまず普通は手に取らないというか、そもそも知らない雑誌だと思われますが、内容は「ミステリと建築」を語っていて、けっこう面白いものになっているのではないかと。この号はほかにも、建築業界にいるのではないけど建築が面白いと思っている人たちが登場する「みんなの建築」という特集が組まれているので、興味を持ってくださった方はぜひお目通しいただけると幸甚です。

 読了本『アウトドア般若心経』 みうらじゅん 幻冬舎 タイトルを一目見て「いったいどういう本なんだろう」と思ったけど、ほんとにアウトドアで般若心経だった。すべては無だ、と思ってしまえばとても楽になるよ、と、うーんと簡単にいってしまうとそういうことなんじゃないかなあ、という般若心経の教え。そこに踏みとどまるのは難しいし、踏みとどまることにこだわってしまったらもう「無」ではなくなるわけだけど、腹が立ったときや、訳もなく落ち込んだときや、このくそ寒いのにガソリンも灯油もどんどん上がるし、収入は減る物価は上昇する、いったいどうなっちゃうんでしょ、などとやりきれなくなったときなんか、「そんなこと考えたってしかたないよ、存在は無なんだから」と思うと、いくらか気分がリセットできる、ときもあるよ。

2007.12.05
 午後になってようやっとローマ編第四回脱稿送稿。続きを考えるつもりだったが、読みかけの皆川先生の本を手に取ったらどうにも止められなくなり・・・ なんでこんなみずみずしい作品を、失礼ながら篠田の母と同年の方が。天才は違うわい、と思ったらなんか今更のようにがっくりきて、それからは仕事になりませんでした。でもこれは傑作です。作中作の扱い方にこんな手があったかと、いまさらのように瞠目させられてしまった。しかし物語構造は比較的シンプルなので、皆川作品入門作としてもいけると思う。だからといって、ディープなファンに物足りないかというと、全然そんなことはない。戦争末期から戦後を生きる十代の少女たちの、生々しいがちょっと突き放した書き方も抜群。そのへんをもっと書き込んで、『冬の旅人』くらいの大長編にしてほしかった、という無い物ねだり感はあるものの。
 読了本『倒立する塔の殺人』 皆川博子 理論社ミステリーYA!

2007.12.04
 今日も引きこもりで一日暮れて、終わらなかったなあ、第四回。山場が意外と長引いて、あとちょっと。なにかというとトウコとセバの濡れ場です。といっても、フィジカルなもんとは違いますけど、ぎったんばっこんのベッド体操よか、落ちこぼれ修道士と女戦士の危うい恋はよっぽど色っぽいでっせ。

 読了本『天帝の愛でたまう孤島』古野まほろ 講談社ノベルス 本土から海路3時間。陸上の道はないに等しく、ボートで1時間の水路にはピラニアがうようよという、ご丁寧な設定。そんな場所に巨大な城を建てるのに、材料と機材はどうやって運んだ。電気は自家発電だそうだが、燃料はいかに確保する。水道が出るのはどういう魔術だ。腰の曲がったばあさんだけじゃあ、毎日の掃除や洗濯もままなるめえ、と、そっちの方がよほど玄妙不可思議なミステリ。こういうのを読んでいると「終わったな、ふっ」と思ってしまうのでありましたよ。なにがって、まあ、この種の本格ミステリ本格ミステリしたガジェットに対する、我が愛が、だね。

2007.12.03
 今日も一日引きこもり。明日あたりにはどうにか、「龍」の第四回が終わりそう。本屋にもなかなか行けないので、広告で見て面白そうだと思った本をアマゾンで買った。まだ読みかけだけど、『キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る』筑摩書房。まあ、一種の書評だけど、弁護士の立場から「警察の捜査が不自然」とか、そういったあたりに突っ込みを入れているのが読みどころ。どうせならミステリ専一にやって欲しかったが、『海辺のカフカ』村上春樹とか、『いま、会いにゆきます』市川拓司とか、ほかのジャンルはふつうの読書感想文みたいでつまらない。岡嶋二人の名作『99%の誘拐』に対する駄目出しなんか、おお、と思ったけど、『ダ・ヴィンチ・コード』になんか感心しちゃだめじゃん。陳腐なオカルトネタにも、免疫のない普通人なら「ほお」と思って仕方ないかもしれないけど、ルーブル美術館の館長なんて名士のご老人が、瀕死でマッパになってダイイング・メッセージって、大馬鹿ギャグ以外のなにものでもないじゃん。弁護士は、リアルなミステリにはケンカを売れても、トンデモ・ミステリにはあっさりやられてしまう。というお話でした。

2007.12.02
 引きこもって仕事だけしていると、下手したら一日千歩も歩かない。今日はエアロバイクを漕ぐのと、練りパイ生地を仕込んで生リンゴのパイを焼いた。仕事も少しだけ進んだ。どうも集中力がないのだ、我ながら。更年期のせいよ、といっておこう。
 理論社から挟み込みはがきのコピーが送られてくる。従来の篠田読者と、学校図書館の司書さんと、若い読者のほぼ3グループにわけられる感じ。そして、これまで目にする機会がなかった分やっぱり、13歳なんて年齢を見るとうれしい。それから講談社ノベルスは反響も都会中心な感じがあるけど、理論社の本はそうでもないのが面白い。建築探偵ももっと部数が多くないと、全国津津うらうらまで配本されるというわけにはいかないんでありましょう。

2007.12.01
 2週間ご無沙汰していたら、また「龍」の展開がわからなくなってしまった。我ながら記憶力が非常に甘いのである。というわけで、前に書いた第四回の原稿を手直しすることから、てれてれと始める。間にキッチンて゜遊ぶ。紅玉を買って、既製品のパイ皮にカスタードクリームを塗り、生のリンゴを並べて焼いた。この方が甘くなくて好き。しかしまだカスタードが残っているから、今度は自分で練りパイ生地でも作って同様のリンゴパイを作ろうかな。ほんとはフランスのパン屋で売っている、ばりばりの硬い生地にたぺっとリンゴが張り付いたチープなアップルパイが食べたいんだけど、既製品のパイ生地はふくらみ過ぎでした。