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2007.09.30
 今日は川島町の遠山記念館というのに行った。日興證券の創立者で川島町出身の遠山元一という人が母親のために建てた家で、普段は公開していない二階が特別公開というので、雨にもかかわらず出かけていったのだが、サイトを見ても「わりと普通の日本建築だなー」と全然期待してなかった。篠田は西洋館でないと煩悩が発動しないのだよ。
 そうしたらこれがびっくり、すごいお屋敷でした。派手さはないのだけど、素材や細部、ふすまの引き手とか建具とかにめちゃめちゃ凝っている上に、建築が昭和11年なので明治の建築なんかと比べると、人間が住むための合理的な快適さというのがちゃんと心がけられている。すでに中央給湯システムで蛇口を捻るとお湯が出たというからびっくり。年取ったおかあさんのための、やさしい設計というのもあると思う。
 そして特別公開の二階には、やはり洋風間があって、オパールガラスのステンドグラスがあったり、超細かい細工の飾り棚があったり、眼福でございますとはこのことか。隣接する美術館には遠山氏の蒐集した美術工芸品が代わる代わる展示されているが、これがまた名前に惑わされたいい加減コレクションの対極、自分の趣味と美意識を持って「いいな」と思うものを集めたという感じが伝わってくる。
 日本庭園だけど芝生が貼ってある、なんてのも面白い。行って良かった、という感じでした。しかし、不便なんだよね。埼玉県にもう20年以上暮らしているのに、川島町ってどこさ、って感じだったし。

2007.09.29
 今日からローマ編始動。相変わらず「プロットが立てられない病」なので、取りあえずおおざっぱな場面構成の出来ている頭の4章を書いてしまうことにする。しかしこれ、どうみてもまだ序盤戦なんだよね。果たしてローマ編は何枚で完結するんだろう。わからないまま突き進むというのは、とても心臓に悪いんだけど、だからといって動かないままだといつになっても動かないだろうな、という気がするんで。
 オープニングは夜のヴィラ・アドリアーナ、ローマの東25キロほどのところにあるローマ皇帝ハドリアヌスのヴィラの遺跡で、「終わり無き夜に生まれつくとも」で登場したあそこ。今回は現代なので廃墟というか、崩れ残りしかありません。夜は開いていないので、当然そこは空想になるけど、本当にあのときは暑かったねえ、Yくん。

2007.09.28
 あとがきを書いて『聖なる血』文庫版をメール送稿。ローマ編、夏前に少し書いておいたメモを取り出すが、正直な話そのとき考えていたことはほぼ頭から飛んでいるので、再度仕切直し。クライマックスからエピローグへの流れは出来ているので、物は試しでそのへんをメモしてみる。最後から前へ前へとさかのぼる形。
 仕事以外では『フランスの常備菜』という本に出ていた「紫キャベツとブルーベリーのビネガー風味」というのを作ってみる。これはポークソテーと一緒に蒸し煮にして食べるのだ。フランス料理といっても、レストラン料理とは全然別の家庭料理で、その素朴さはむしろ好み。つくづく技巧を凝らした物より、素材を活かした料理が好きなのだ。服とかアクセサリも、シンプルで素材の良さやおもしろさが活かされたものがいい。

2007.09.27
 二日間遊んでしまったので、今日は一日べったりパソコン前。『聖なる血』をラストまで直し終えた。やれやれ。ここらでそろそろローマ編の構想を練らなくては。

2007.09.26
 昨日はリブロと三省堂。書店で散財。といっても高がしれてるけど。来年書く話に古書店が出てくるので、イメージモデルとして神保町の一誠堂を観察しに行く。ここまで立派すぎる古書店では不似合いかもしれないが、ヨーロッパぽいのはやはりいいなと思う。ついでに装丁の美しい洋書の古本でも一冊欲しいものだと思うが20万円とか平気で書いてあるので、二の足を踏む。
 今日は現代美術館にジブリのアニメの背景を書いている人の絵を見に行く。すごい混雑で入場1時間待ち。日本の風景というのは、基本的に湿度で出来ているなあといまさらのように思う。ところで、ジブリはグッズとして「トトロの家」をプラモにしてくれないかなあ。
 読了本『インシテミル』 米澤穂信 文藝春秋 『死のロングウォーク』だと作者がどこかでいっていたと思うのだが、どちらかといえば『バトル・ロワイヤル』だった。普通にミステリ。普通に面白い。もしかすると本ミス大賞の候補としてアリかな。

2007.09.24
 今日も仕事は『聖なる血』の手入れ。なんとか今週中には終わらせたいけど、出かける用事もあって。明日は夜外出なので日記の更新はお休み。
 読了本『むかし卓袱台があったころ』 久世光彦 ちくま文庫 いまはなき雑誌「室内」に連載されたエッセイを中心に、筆者の子供時代の生活のありようなどを綴った一冊。わざとそうしたわけでもないが、この前に読んだ小説『陛下』に共通する要素がたくさんあって、あの小説で主人公の夢想的な青年の実家のたたずまいなど、自伝的な要素が活かされていたのだということがわかる。『陛下』の主人公は2.26に参加する青年将校なんだが、どうも全然軍人らしくないなあと思っていたんだけど、久世は子供の頃は病弱だったらしくて、まあ軍人のタイプとはいえないし。

2007.09.23
 気温は下がったけど、天気が悪くて湿度が高い。一日中どんより暗いし、これはこれであまり気分が良くない。
 今日から龍の黙示録『聖なる血』の文庫下ろし手入れを始める。もらったテキストファイルが、全部ルビがかっこでくくられて本文に入っていて、これをいちいち消すのが恐ろしく煩わしい。でもまあ、こういう機械的な作業というのは、ひたすらやっていればいつかは終わるとわかっているので、精神的なきつさはない。ただ肩が凝って目が疲れるだけだ。
 読了本『赤石沢教室の実験』 田代裕彦 富士見書房 小説として読める。本格ミステリとしてはまあシンプルな叙述トリックで、ただし真相がわかったときの驚きの落差は小さい。サイコでホラーな部分もかなり大きくある。つまらなくはなかった。絶賛する気はさらさらないけど。

2007.09.22
 姉とふたり弥生美術館に「武部本一郎展」を見に行く。昔姉が買ったバロウズの火星シリーズのイラストで印象深かった挿絵画家。絵柄は基本的にリアルだが、人物が流麗で現在の末弥純に通じる。マッチョイズモのバロウズを楽しく読んだのも、武部の描くヒーローがとても美しかったからだ。他に児童ものなどのイラストも多数で見覚えのあるものも多い。動物好きの人であったらしく、ロビンソン・クルーソーのイラストでは原作では登場していない(と思う)犬や猫が主人公に連れ添っている。
 その後平常展示の高畠華晶と竹久夢二を見るが、夢二は動物嫌いだったのではないか、というのが姉と二人の推理。だって夢二の絵に登場する猫はほぼどれも、耳が平らになってるんですよ。これ、猫の不機嫌サイン。

 読了本『有元利夫 絵を描く楽しさ』 新潮社とんぼの本 1985年の早すぎる死以後、いまなお絶大な人気を誇る画家の、生前のエッセイに夫人の思い出話を交えた一冊。篠田は昔CBSソニーのバロックレコードシリーズを購入して、そのジャケットに載っていた有元作品に出合った。いま見てもやっぱり好きである。しかし、芸術家の妻にはなりたくないとも思った。

2007.09.21
 鎌倉にある神奈川県立近代美術館に「アントニン アンド ノエミ・レーモンド展」を見に行く。レーモンドは帝国ホテルの設計をするフランク・ロイド・ライトの助手として、画家、デザイナーのの妻ノエミとともに来日。しかしほどなくライトと決別して日本で建築家として活動する。初期のライトの影響があらわな作品からモダン・デザインへと移行していく様が、豊富な作例写真と共に展示されている。
 この美術館はピロティという、一階が柱のみの吹き抜けになって二階に展示室があるスタイル。一階の周囲は蓮池で、水面に反射する光と影が白い天井に映って美しい。風が吹き抜けその心地よさにうっとり。
 帰りの駅までの散歩中、昔鮎川先生が「綾辻さんはぼくが見せたこの建物から時計館を構想されたんですよ」といって教えて下さった洋館に久しぶりに巡り会う。どこだか場所がわからなくなっていたのだった。

2007.09.20
 パバロッティのオペラ・アリアはやはりなかなか良かった。これだけ豊かな声の持ち主なら、多少大根だろうと太めだろうとなんのそのという感じだけど、舞台で見たらやはり少々きついものがあるかもなあ。椿姫に恋する二枚目がこのおっさんでは、うーん。CDで聞いてる方がいいかも。
 来年からメフィストで始める予定の連作短編シリーズのプロットを練る。だいたいの輪郭と雰囲気は立ち上がってきた。ゆるくファンタジーで軽くミステリ。現実から半歩横にずれて淡彩風。いままで書いてない雰囲気のものになりそうだ。どちらにしても、がちがちのミステリではない。自分の志向がそっちを向いてないことはすでにはっきりしている。気分としては、波津彬子さんに挿絵を描いていただきたいような、ムードを目指してます。

 読了本『陛下』 久世光彦 中公文庫 2、26事件と北一輝をモチーフにした小説だけど、おそろしく色彩的でやばいほどエロい。といっても、決してその気をそそるような、つまりポルノグラフィーではない。日本的な心情ってエロいなあと想う。歌人齋藤史が、名前と歌だけだけど登場する。

2007.09.19
 今日は買い置きの皮付き豚バラ肉でラフテーを作った。ラフテーやトンボーロは絶対に、皮付きの豚バラでなくてはいけない。皮なしのバラでは「似たなにか」にしかならないんでありますよ。皮からコラーゲンが出て、それが赤身にもしみ込んで、脂は落としてもしっとりした食感の煮物になるんです。
 それからパバロッティのCD、2枚組のイタリア民謡やなんかが入っている方を聞く。オー・ソレ・ミオとかフニクリ・フニクラとか、耳慣れた民謡も多い。しかしこれがまたあなた、「おっさんが背中に薔薇と後光しょってるーっ」という感じの超派手派手な歌いぶりで、まさしく期待にそぐわない。シューベルトのアベ・マリアは、これまで女声のしか聞いてないので、ちょっと印象が違う。我らが結城カゲリくんの持ち歌だけど、さすがに20代初めの青年だと、ここまでの声量はないだろうなあ。もう1枚はオペラのアリアで、トリノ・オリンピックの開会式の「誰も寝てはならぬ」なんかが入っている。リゴレットの「女心の歌」と椿姫の「乾杯の歌」は神代先生の持ち歌です。相当に酔わさないと歌わないけどね。
 読了本 『駅神』 図子慧 早川書房 『留美のために』 倉阪鬼一郎 原書房 仕事の隙にいただきものの本を少しでも読まなくては、というわけで。前者は駅ならぬ易をモチーフにした、ちょっと変わった、ミステリっぽい普通小説。巻末に「素人でもできる易のやり方」が載ってます。後者は、クセ玉の投げての作者にしてはストレートな本格暗号ミステリ。

2007.09.18
 今日は医者に行った後池袋に出て、健康に悪そうなしょっぱい豚骨ラーメンを食べて(たまーに食べたくなる。食べた後はちょっと後悔したりして。ある種の悪徳のような食べ物です)、その後本屋とCD屋。CDは最近亡くなったイタリアのテノール歌手ルチアーノ・パバロッティのものを。写真を見ると笑うしかないようなこゆいイタリア親父。でもなんかカワイイぞ。篠田の親父好き心をくすぐるものがある。
 最近のオペラは世界的に、劇としてのドラマ性、ストーリー性を尊重する傾向にあるが、パバロッティはどっちかというと古いタイプのオペラ歌手だったらしい。以前にカストラートの歴史を読んでいたとき、この時代のオペラというのは一応物語の筋はあるけれど、歌手には「歌う」気はあっても「演じる」気はなくて、着飾るだけ着飾って自分のアリアになると舞台の真ん中に突っ立って、ひたすら朗々と歌い上げるだけ、派手に派手にというものだったそうだけど、古いタイプっていうのはたぶんこんな感じだったんでしょう。パバロッティもねえ、最初に書いたとおりなにせこゆい顔の巨漢だから、なんの役をやってもパバロッティにしか見えなかったろうなと。

2007.09.16
 やっぱり今年の天気はちょっと変。ヒガンバナの開花が一週間遅れているようだ。家の近所のヒガンバナ群生地はまだほんのちょっとしか咲いていないで、蓮の花がたくさん残っている。咲く前のヒガンバナって、アスパラガスと似ているというのを始めて知った。食べたらダメよ。毒がある。
 開花期は売店が出るので、そこで地元産の栗を買う。去年渋皮煮を作ったら、へたなマロングラッセよりずっと美味しくできたので、今年もやるのだ。うまいものを食べるのには、手間は惜しまない。
 しかし今日は残暑の戻りというか、まあ暑いこと。北斗学園のちょっと直しかとをして、葉書を書いて、のんびり過ごす。

2007.09.15
 今日は仕事場の資料を片づけて床に掃除機をかけ、手紙を書いたりといった雑用をぼちぼち。
 建築学会の建築雑誌からインタビューの申し込みが来た。編集委員の方が以前からの建築探偵の読者であるという。有り難い話である。

2007.09.14
 お、お、お、終わったあああああッ。終わった終わった終わったあー、と部屋の中をかけずり回りながら絶叫する篠田です。手帖を見返してみたら、資料読みを始めたのは8月の頭だし、ということは一ヶ月ちょっとしかかけてないんで、それなら建築探偵なんかのほうが毎回よほど時間はかかっているはずなのに、このやたらと「長く濃密な時間が流れた」感はなんでなんだろう。
 毎度毎度きちんとプロットを立てずに手探りで書き進めて、ちゃんと最後に伏線が回収できて円環が閉じるまで冷や冷やの綱渡りというのも、実はデビュー作からほとんど変わっていないんだけど、(それもどうよ)、最近このスリルの度合いがとみに高くて、毎度「もうだめだ」「今度こそ破綻する」と覚悟を決めたりして、しかし不思議とうまくいくのでありました。ええ、今回も、エピローグまでぴたっと着地が決まりましたとも。
 というわけで、最初の『王国は星空の下』はかなりジュブナイルを意識して、あまり物語も複雑にしないように用心し、手綱抑え気味で行ったのですが、今回は全面的に全力疾走であります。なのにページはそんなに増えずに済んだのも良かった。増えると定価が上がって、やはり売りづらくなるのだそうでして。「子供の本だから読まなくていいや」とお手を出されなかったお客様、お読みになった方が良いですよ、絶対。おもしろいですよ。ふっふっふ。

2007.09.13
 長編を書いている間はいつもずーっと、早く終われ、早く終われと自分を急き立てていて、これが終わったらあれもしようこれもしよう、なにより部屋を掃除しよう、不義理している友人にメールを書こうと、そんなことばかり考えて歯を食いしばっているのに、最後を目の前にして急にスピードが上がると、なんだか急に淋しくなる。ああ、終わってしまう。人生というのも、こんなふうにして過ぎていくのでしょうかね。大量の開放感と一抹の寂寥。だとしたら、死ぬのもそんなに悪いことではありません。

2007.09.12
 今日は朝から土砂降りの雨だったが、夕方には夕焼けが出た。家の近所でヒガンバナを見かけた。いよいよ秋ですか。しかし、ちょうどいい気候が抜きで今度は寒くなりそうだ。
 北斗学園300頁まで書き進む。あと20頁くらいかな。今回はサイン会に来てくれたあるお嬢さんの名前が気に入ってしまったので、許可をもらって彼女の名前をキャラのひとりに使った。ずいぶん気の強い子になってしまった。というか、気がついてみると篠田の小説に出てくる女性って、みんな強いね。たぶん弱い子というより、「あたし弱いの」ってタイプが苦手なんだろうな。

 読了本『新顎十郎捕物帖』 都築道夫 講談社ノベルス 久生十蘭のパスティーシュ。ミステリというより、江戸の匂いとキャラのかっこうよさを楽しむ小説だと思う。
 『伯爵の血族』 異形コレクション 井上雅彦編 久しぶりに読んでみました、書き下ろしアンソロジー。今回は吸血鬼テーマ。しかし吸血鬼やってなかったか、と逆に驚いた。ジャポニズムものばかり集まってしまって、と井上氏はいっていたが、テーマ・アンソロの場合、やっぱりひねりを利かせたいと思うとストーカー離れを心がけて、ということなんでしょうね。楽しめたけど、篠田ならヴェネツィアのジェンティーレ君のお話を書きますわ。あの子は主役を張れるキャラなんだけど、シリーズ主人公が強烈なもんで、どうもね。

2007.09.11
 エアコンが要らない涼しさは有り難いが、こう雨もよいで昼間から夕方みたいに暗いのは、どうにもうっとおしくていけねえや、と不平不満の種が尽きぬのが凡夫の凡夫たる所以でありましょうか。
 北斗学園、いよいよクライマックス近し。結局300頁と少しに収まりそう。伸びる伸びると思っていたのに、なにやら不思議な感じ。まあ、それはともかく連休明けあたりにはエンド・マークをつけたいもの。
 文庫版『月蝕の窓』が書店に並ぶのも連休明けくらいかな。今回は衝撃的な赤い表紙です。サイトのトップに書影を入れましたんで、どうぞ見てやって下さい。

2007.09.10
 ええと、北斗学園進行中。いよいよクライマックス近し、という感じです。そしてクライマックスなんてものは存在しないのがダイエットでありまして、今日は例のまずいカップケーキ、3袋が1箱で、メープル、チョコ、抹茶味でこの順に食べたんだけど、最後の抹茶が一番中ではましだった気がした。もしかすると単に、口が味に慣れただけなのかもしれないけど。ま、とにかくこいつは食べ終えたんで、数日はダイエット食じゃないお昼を食べようっと。

2007.09.09
 仕事に関しては鋭意やっとります、としかいうことがないので、ちょいと仕事に関係ない事を書く。ダイエットである。
 去年の夏に5キロ落として、BMI
を基準値にして、それから一応維持しているのだけど、食べたいように食べたらまた元通りになるのは目に見えている。仕方ないから昼は抑えめにして、ときどきダイエットフードを食べる。150キロカロリーで必要栄養素の三分の一がふくまれてます、というやつ。ドラッグストアで値段を基準に、いろいろ試してみました。シェイク系は、正直まずい。それになかなか溶けない。シェイカーで振り回しても絶対ダマが残る。そのたびにボールと泡立て器が必要になる。フリーズドライのおかゆなんかは、あまりに食べ応えがない。食べ応えと食味の点でまあまあなのは、ビスケット系かな。これを低脂肪ミルクと食べる。今回は買ったことがなかったカップケーキというのを試した。粉末を溶いてレンジで加熱する。しかしこれも、まずい。おまけに一時間後には腹が鳴る。
 ただダイエット食品で良い点は、買い置きが利くし調理に時間がかからないので、仕事でせっぱ詰まっているときに便利という点だろう。ダイエットに成功したオタキング岡田氏は、食べたものをメモに書き出すだけで痩せたというが、それだけ間食してたのを止めたら、それは減るだろう。っていうか、自覚なしにジャンクフードを食べ続けたというのが、そもそもわからん。篠田は間食の習慣がもともとないからな。その代わり晩酌の習慣は止めるつもりはないというか、それを確保するために昼は禁欲しているんであります。

2007.09.08
 もうこれからは当面、まだ終わらん、以外のせりふは入らないよお。本もそんなに読めないしね。いきなり日記の更新がなかったら、仕事場に泊まり込んだと思って下さい。一日10頁じゃ、今週中に終わらないしなあ。

2007.09.07
 昨日は一晩中すごい雨だった。微妙にぼけて不調なのは、そのせいで眠りが浅かったかららしい。午後からは蒸してきてエアコン入れざるを得ず。あとは仕事、北斗学園継続中。まだ終わらないが、もう9月も一週間過ぎた。そろそろまくらんとなー。

2007.09.06
 まあ、すごい雨と風。車で動いても、傘をつぼめて車に乗ろうとする、そのわずかな時間に容赦なく濡れる。沖縄なんてこういう台風直撃が、年に何度もあるんだな、大変だなといまさらのように思う。
 石垣島出身の作家さんのエッセイを読んだら、最近は定年退職した内地人が沖縄に憧れて家を建てたりするけど、海辺に建てて台風が来たらさあ大変ということになったりする、のだそうだ。郷に入っては郷に従え、は月並みだけど依然真理だってことですね。

2007.09.05
 午後から大雨。明日も一日雨らしい。まあ、仕事で動けないからいいようなものだけど、蒸し暑いのはどーもね。

 読了本『レオナルドのユダ』 服部まゆみ 先月急逝された作者に礼を表して。塚本邦雄の『獅子流離タン』と、違ってフランチェスコ・メルツィがすごく嫌なやつになっているのが面白い。晩年のレオナルドがほとんど書かれていないのが残念。終盤になっていきなりミステリめいたトリックが登場するのがいささか唐突。それともうひとつ。作中に登場する五線譜の暗号だけど、三雲岳斗さんの『旧宮殿にて』に登場する暗号とそっくり同じ。無論これもレオナルドが探偵役をやる歴史ミステリだけど、こちらでは件の暗号を作ったのはレオナルドではなく他の人。初出は服部作品の方が早いが、どこかに元ネタがあるのだろう。だけど、三雲作品を読んだときはとても感心した覚えがあるので、作者の考案でないとわかってちと残念なり。

2007.09.04
 今日はまた暑いんだけど、いつまでも沈没していたんじゃ秋になっても原稿が終わらないので、北斗学園の続きを書く。最初に目指した「明るい学園ミステリ」からは怒濤の勢いで遠ざかりつつある気がする。しかしそれは篠田のせいではない。つーか、タイトルのせいである。もう少し呑気そうなタイトルも用意してあったのだが、『闇の聖杯、光の剣』というのが、担当のMさんに「一目惚れしました」といわれて決定してしまい、そうしたらどんどんとディープな内容に。大丈夫かな、11歳の読者。まあ、来年は12歳になってるね。
 ひとつ、読者のお手紙から話題を。その方『一角獣の繭』を読んでいて、あの陶孔雀は松浦の変装に違いないと思われたそうな。明智小五郎と対決する怪人二十面相、みたいね。ごめんなさい。笑いました。

2007.09.03
 普通のSF大会というのは、毎年日本で開かれていて、しかし今回はワールド・コンと一緒というので、規模が一段と大きい、らしい。なにせ初参加なのでよくわからない。全員が集まってどかんとなにかやるというのではなく、基本的に個室でセミナーとか、パネル・ディスカッションとか、映画上映とか、作品朗読とかそういうものを数日間やる、ものらしい。会場はみなとみらいのきれいで立派な会議施設だが、中は雑然かつ騒然として、オタク体型の群衆が行き来していたり、コスプレーヤーが闊歩していたり、どっちかというと大学の学祭みたいな感じ。お会いした方、浅暮三文さん、井上雅彦さん、高野文緒さん、山之口洋さん、太田忠司さん、山田正紀さん、ひかわ玲子さん、翻訳家のマッシモ・スマレさん。久しぶりに石堂藍と会ってしゃべった。
 出歩いた翌日は案の定使い物にならず。それでもショーショートに手を入れて、まあこんなものかな。星新一が化けて出ても勘弁。

2007.09.01
  8月が終わった。ここ数日はうそのように涼しいね。しかしずーっと仕事しているんで、「夏を過ごした」という気分は全然しない。北斗学園が終わらないと、ゆっくり休む気にもならんというか。まあとにかく、引っかかっていたところも気を取り直して書き直し、再開しました。
 明日は横浜でやっているSF大会に顔を出さねばならない用事があって、それが六時までなんで、日記の更新はお休みとします。