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2006.02.27

 午前中に直しを済ませて祥伝社にメール送稿。送ってからあとがきと、カバー袖の著者のことばを書き忘れたことに思い至るが、今日はやる気がしないので、未読本の山から片端から本を取ってだらだら読書。
 明日は多分日記は休み。3月からは平常モードに戻る予定。

2006.02.26

 冷たい雨。本格ミステリ作家クラブの会議があるので昼間出かけて東京往復。車内では本を読んで、出かける前と帰ってきてからはヴェネツィア編を再チェック。しかし体調がいまいちで、赤入れをデータに反映させるところまでは気力が続かず。結局今月中で全休出来るのは一日だけか。しんどい。

2006.06.25

 ヴェネツィア編の直しを完了させて、本を二冊読んで、それからプリントアウトを読み直し中。本のことも書きたいけど、時間の余裕が出来てから。

2006.02.24

 たらたらっとヴェネツィア編の直し、残りをやるが集中力を欠く。午後から一時間ほどマガジンハウスの編集者とライターさんが来て話す。4月に出るカーサブルータスという雑誌で、見開き2ページ建築探偵のブックガイド的なものになるらしい。
 読了本『サル知恵の輪』 霞流一 柴犬の描写が超ラブリー、こなもんの描写がめちゃうまそう。脱力系のギャグで快く脱力。ミステリに対してこんな感想はだめですか、そーですか。

2006.02.23

 原稿完成、メール送稿、その後部屋の片づけ。明日は取材の人が来るので午前中は掃除だ。
 読了本『超級アジア・モダン』 村松伸 鹿島出版会 1995年の本を今頃になって読んでいるというのも、我ながら遅いなあ・・・

2006.02.22

 神代短編『思いは雪のように降りつもる』一応ラストまでたどりつき、赤入れて明日には完成予定。
 ヴェネツィア編ラストのデータ到着。雑誌も到着。今回は透子とセバくんの**シーンがなんとイラストつきで。**の中身はぜひご覧あれ。
 『龍の黙示録』と続編『東日流妖異変』がそれぞれ増刷いたし候。ありがたやありがたや。

2006.02.21

 えー、仕事しかしてません。昨日今日で128枚まで。後2、3日で終わるはずだけど、今月は次回ミステリーズのゲラを返して、「龍」のラストの直しをして、月が変わったら建築探偵を始めないとならないんで、全然余裕はありません。おかしいなあ。なんだってこんなに忙しいんだろう。要するに仕事が遅いのか。

2006.02.18

 仕事だけ。やっと73枚。でも来週はつれあいが展示会で毎日帰りが遅いので、毎日残業でがんばるのだ。取りあえず明日は日記の更新はする暇がないと思う。その後は出来るだけやるけど、きっと毎日「仕事」しか書くことがないんだろうなー。

 一昨日の読了本 『日の名残』 カズオ・イシグロ わりと有名な執事小説。しかし執事というのはどちらかというと脇役向きではないかと思う。この作品は執事の一人称だが、彼はあんまり幸せではない。職務に忠実であったあまりに父親の死に目にも遭わず、恋をしてくれた女性ともそれと気づけず、老齢を迎えて自分が失ったものにようやく気づくというのは悲劇だ。上手い小説だと聞きすぎていたせいか、妙にあざとい感じもしてしまった。

2006.02.17

 昨日は染色をやっている知人が北鎌倉のギャラリーで個展を開いているというので、つれあいとふたりで出かけていく。なかなか見晴らしのいいところにある個人住宅のようなギャラリーで、フレンドリーな猫とのふれあいを楽しみつつ、ランチをいただいて染色作品を眺める。もうひとつの目的だった小瀧美術館は休館になっていたので、しかたなく30分ほどハイキングをして、小町通りの昔なじみの喫茶店イワタでコーヒーを飲んで帰ってくる。
 今日はだらだらとお仕事再開。

2006.02.16

 二日間飲むのを我慢していた睡眠導入剤を半錠飲んで久しぶりに7時近くまで安眠。おかげで気分が良い。残業して神代シリーズ46枚まで。いくら気分が良くて残業しても、さすがに一日30枚が限界か。
 明日は出かけるので日記の更新は休み。その後は当面短編の完成に向かってひた走ります。といってもこれ、最低150枚くらいは要りそうなんだけど。

2006.02.15

 神代宗教授の優雅なる日常シリーズの第四作を書き始める。
 マガジンハウスの「カーサブルータス」という雑誌から取材の申し込みが来る。建築系の雑誌で、本と建築みたいな特集の中に、ミステリーと建築、といったページを作るらしいのだが、なんとなく話がすれ違いそうな予感がある。どっちかというと、綾辻さんの館シリーズあたりを取り上げた方が話はストレートに行くんじゃないのかという気も。そもそもこの依頼をしてきた人は、建築探偵をどの程度読んでいるんだろうか・・・ まっ、滅多にある機会でもないので取材は受けると思うけど。

2006.02.14

 新宿の有隣堂へ榎田尤利さんのサイン会の整理券をもらいに行き、池袋に出て本を数冊買い戻る。昨日は睡眠導入剤を飲まなかったら、立て続けにやたらと変な夢を見てしまったて少し眠いので、本を読みながらだらだらする。

 読了本 『消えた探偵』 秋月涼介 講談社ノベルス もっとぶち壊れた結末になるのかと思ったら、意外や普通のミステリだったので驚いた。
 『ゴーレムの檻』 柄刀一 カッパノベルス きれいにまとまっていて、その先に少しだけスーパーナチュラルな余剰がある。しかし2冊続けて読んだら、どっちもパラレルワールドのモチーフがついてまわっているのに気がついた。

2006.02.13

 予定通りヴェネツィア編の第六章までの直しを終えてプリントアウト。こういうものはゲラの裏紙を使うのだが、プリンタに入らないB4の用紙がたくさん残っていたので、せっせとA4に切り縮める。子供のときは広告チラシの裏にお話を書いておりました。最近の広告は裏が白くないね。それから大賞候補作を2本読んだ。明日は東京の本屋へ行こう。

 読了本 『扉は閉ざされたまま』 石持浅海 ノンノベル 再読 動機探しのミステリになくてはならないのは登場人物の説得力。リアリティというと曖昧になる。しかしこの作品の場合、犯人・被害者・探偵がいずれも「変」なだけでなく、「こんな人間いるわけあるか」と感じさせてしまうのが最大の難点。なんでそんなことになるかというと、作者の頭に宿ったのが「密室ミステリにおけるひとつのお決まりパターンを覆す」という着想で、それを成り立たせるために「動機の謎」を作り、そうした動機を持つ犯人と持たせる被害者を造形したわけ。そういう手筋がすべて透けて見えてしまうというところが、なんともいえず興ざめなのだった。

『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介 新潮社 こういう小説が現代の特に若い世代に受けているというのは想像は出来るし、そうか、とも思うけれど、それは篠田が小説に求めているものではなく、書くことも読むこともしたいとは思わない。要するに世界が不条理に満ちていて人はぶち壊れているのは百も承知だからこそ、壊れている世界を描いた小説は求めない。せめて小説の中でくらい条理の通るのを読みたいんであります。

2006.02.12

 来る日も来る日も仕事しかしていないで、家と仕事場の間を往復しているだけなので、日記に書くネタがなんにもない。ヴェネツィア編は最終回が今月発売の小説ノンなので、その分のデータがまだ来ていない。でも明日の午前中で6章までの手直しが一応終わるので、そうしたらひっくりかえって本格ミステリクラブ大賞の候補作『向日葵の咲かない夏』を読むのだ。これだけ未読だから。それと問題作『扉は閉ざされたまま』を一応再読して、『ゴーレムの檻』も再読しようとしたら本が見つからず、しかしうちの近所の本屋にもないんで、東京に出てこようかしら。たまには外に出ないと尻から根っこが生えてしまいそうだしね。読みたいのに読んでないといえば、山田正紀さんの『マジック・オペラ』なんかも未読だし。
 そうしてちょっと頭に風を入れてから、神代先生短編をもう一作書くのね。

2006.02.11

 今日は朝から目が覚めてしまったなあと思っていたら、久しぶりに昼寝をしてしまった。おかげでエアロバイクを漕ぐ時間がなくなってしまったが、まあ気分は悪くない。仕事は「龍」ヴェネツィア編の直し続行中。これが一区切りついたら、本格ミステリ作家クラブ大賞の小説候補作を読むぞ。

2006.02.10

 昨日から枕を取り替えて、睡眠導入剤も当面毎日ちゃんと飲むことにしたので、まずまず眠れて気分は回復基調。しかし講談社から『アベラシオン』ノベルス版の袖につける著者のことばを書いてくれといわれていたのを、ころっと失念していて編集者の電話に冷や汗。やはりぼけているのか。

 読了本 『ニッポン硬貨の謎』 北村薫 東京創元社 本格ミステリ作家クラブ大賞の、評論賞候補。作中に登場するクイーン「国名シリーズ」論が面白いという話だったが、これはそういう部分だけでなく、作品全体がクイーンのパスティーシュであると同時に、本格ミステリという形式の評論的小説となっている。記号性、虚構性、ホラ話性の純粋結晶のような作品だ。これを面白いと感じない人は、「本格ミステリ感受性」のない人だから、別のジャンルを読んだ方が良い。もちろんどんなものにも向き不向きはあるんで、それが悪いなんてことは全然ないので誤解せぬように。ただこういう小説に向かって、リアリティがない、というようなあほだけはいわないでほしいと思います。世の中には人間の血や汗のにおい抜きでも成立する小説はあるのですよ。

2006.02.09

 一昨日は東陽町のギャラリーに、プランだけで実際は建てられなかった著名な建築をCGで表現した「未構築」という展示と、もうじき改築のため休館になる東京ステーションギャラリーに「前川國男展」を見に行った。前者ではペテルブルグの風景に嵌め込まれた巨大な二重螺旋鉄骨第三インターナショナル記念塔が好み。
 昨日は医者を二軒はしごして、池袋で本格ミステリ作家クラブの大賞候補作で、未読のものを探して買う。リブロはほぼ全滅。駄目な本屋だにゃ。
 今日は真面目に「龍」の直しをやる。夕方メールに繋ごうとしたらサーバーのトラブルで繋がらず。光文社様、旅行で買った資料届きました。お手数でした。

 今日の反省。東京拘置所の独居房には暖房が入っていないというウソを信じてしまいました。まさかとは思っていたんだけどね。報道ステーションもとんだうそつきだ。

 読了本『円環の孤独』 講談社ノベルス 宇宙ステーションのホテルにDNAロックの密室、タイムトラベルとSF趣向に期待したが、話は別段そうした趣向ならではの奇想もなく、妙にごたついてすっきりしない小説だった。これで「本格イズムの新たなる継承者」といわれてもなー。

2006.02.06

 長崎は天候には恵まれた。ただしスカイネットアジア航空という航空会社はいささか危うい感じがある。出発日いきなりフライトキャンセルで予定が狂わされたが、どうも機材に問題があったらしくて・・・ 
 旅先で安眠できないのはいつものことなので、さらに眠気がたまっている。「龍」ヴェネツィア編の直しを続行したがジムにも行った。今夜は薬を飲んで寝よう。明日明後日、夜まで外出なので日記は休みます。

2006.02.02

 ヴェネツィア編のデータ・フロッピを送ってもらったので、先にこちらに手を付けることにした。5月に出すには4月に校了だからね。そうすっと建築探偵とかぶってまうからね。ああ、しゃかりきにやってたんで肩凝った。
 明日から二泊三日長崎。今年の9月号からジャーロでやるゴシック・ロマンス第二弾のための取材。遊びではありませんです。荒涼とした季節の生月島を見たいので、この季節にいかせてくれと光文社にお願いした。ちゃんと醤油も用意した(笑)
 というわけで日記の更新は月曜日。

 読了本 『水曜日のジゴロ』栗本薫 ちょいと気まぐれを起こして久しぶりに読んでみた伊集院大介シリーズ。ああ驚いた。昔はこのシリーズって、本格ミステリだったんすよ。いまは、なんなんでしょう、これって。

2006.02.01

 朝から雨だが歯医者の予約があったので出かける。定期検診。幸い新しい虫歯はなし。せっかく出かけてきたので、茶店で先日から練っているプロットを考える。「神代宗教授の優雅なる日常」シリーズ、というのはたったいま適当につけた名前。でもまあだいぶ形になってきた。今月中にこれを書き上げて、後は「龍」ヴェネツィア編の直しをやる予定。
 ああ、どっか温泉でも行きたいにゃ。