←2004

2004.01.31

 今日もひたすら資料読み。一応買ったものはほぼ読み終えて、最後に『火薬工学』という本に取りかかったが、さすがに普通に市販されている本だけあって、これを読めば素人も爆弾が作れる、なんてことは全然無い。ちらっと読んでも全然頭に入りません。あーあっ、と。まだプロットは進まず。ちゃんと書けるんだろうか、なんて不安がむくむくと。何作書いたからって、もう楽勝なんてことはないんですわあ。

 読了本 『闇の中の黒い馬』竹本健治 ミステリーランド第三回配本 紛れもないタケモト・テイストだけど、ちょっと薄味、かな?

2004.01.30

 あんまり体調が良くないので、午前中雑用を片づけた後は仕事場で資料読み。古本屋サイトで買った資料の内、爆弾闘争のノンフィクション本がなんと著者のサイン落款入りだった。献辞はなかったけれど、誰が売ったものなのだろう。

2004.01.29

 昨日は銀座で『二つの塔』SEEを見た。気づかずに行ったが水曜日はレディスデーで千円なり。戦闘シーンはやはり大きい画面で見る方が疲れないな。最初に劇場公開されたときは非常に疑問だったエオウィン姫のキャストも、見慣れたせいかわりかしよく思えてきてしまった。葬儀のシーンの歌がね、実にいいんです。なんというか、悲壮な雰囲気があって。それとヘルム砦の戦い、実のところいろいろ変なところはある。砦の構造自体なんか非合理だし、最後ガンダルフとエオメルがつっこんでいくところも、いくら魔法使いだからって、長槍の密集陣形に正面から突撃したら勝てないでしょ、普通。でもまあ、いいや、おもしろかったし。
 お友達の女性作家さんとお酒を飲んで、仕事場に泊めてもらって、しっかりフレンチのお昼までご馳走になって、二日間完全休み。明日からまた働かなくてはっ。

 通販の中に「趣味の小説読みたいです」「通販して下さい」と書いて下さる方、多数。ありがとうございます。たぶんやります、通販。その場合少し返信に時間がかかっても勘弁してね、とあらかじめお願いしておきます。
 それから「秘密の本棚」を再版してくれたら1500円でも買う、といって下さる方がいたのですが、ごめんなさい、そうしたら同好の士を30人集めて下さい。必ず買うという方が30人いたらやります。でも、人集めは私は出来ないので、そちらでなさっていただかないとなりません。いや、実のところ1500円でもきついかも。印刷実費がそれくらいかかる、という意味です。

2004.01.27

 アマゾンで買った本の内、一番高かった警察白書は統計資料ばかりで役に立たず。しかし公安がいまも日本共産党を監視し続けているとはっきり書かれている、なんてのは少し意外だったが。古本屋からの本はまだほとんど届いていないので、資料読みはひと休みしてプロット作りを始める。いくつかの場面は思いついているのだが、ここはまず主要人物の名前つけから。どういう名前にするかを考えることでそのキャラのことを考え、名前が決まったことでそれがさらに固まる。少しずつ話が動き出した。クライマックスの絵はあるのだが、そこにたどり着く道行きはもちろかまったくの未知数で、うまくそのようにキャラが動いてくれるかは皆目分からない。それとやっぱりミステリなので、作者の手の内をうまく隠して話を進めることに留意しないとならない。トリックが突出するようなミステリは書けないし、書くつもりもないが、物語の中に仕込む広義のトリックは常に入れているのだから。
 肌のざわつくような気分がある。物語が生まれてくるときはいつもそうだ。

 明日は夜不在なので日記の更新は休みます。

2004.01.26

 今日もひたすら資料読み。あと何冊か古本屋サイトに注文したので、それが届くのを待たないといけない。いくら資料を読んでも刑事をリアルに書く自信なんか全然ないんだけど、どうしても今回は警察ノータッチというわけにはいかなくて、でも前面に出てくるのは休職中かなんかで個人的に動くやつになるだろう。『原罪の庭』の荒木刑事は退職してしまったので、あとは、というわけで『翡翠の城』のあいつだ。年齢を数えたら彼も34歳になるのだが、巡査部長のままでいいか、警部補に昇進させてやるか、そんな程度のことでもまた迷ってしまう。

 夕刊を見たら大阪で中学三年生男子の虐待事件。こういうのは本当に気が滅入る。そして「親にならなくて良かったぜ」と思ってしまう。ひとつ歯車が食い違ったら、自分が虐待親となった可能性は充分あると思うから。

2004.01.25

 今日はひたすら新作のための資料読み。しかし今回は建築探偵としてもかなり毛色の変わった話になる予定で、資料も建築関係は横に置いて、「ばくだん」や「こうあんけいさつ」関連の本ばかり読んでいる。そうするとどうも頭の中が殺伐としてきていけないなあ、というわけで、間にマンガを読んで少し頭を和ませては(ちなみに今日は波津さんの雨柳堂を読んでいた)、また資料に戻る。山のように本を買って読んで、使うのはほんのちょっとだから、効率が悪いったらない。
 それにきっと読者は「毛色の変わった話」よりも「いつものあれ」が読みたいんだろうな、などとちっょといじけて思ったりする。自分が読者の場合、つい好きなシリーズものには「いつものあれ」(あれの中身はシリーズそれぞれ)を求めてしまうのだが、書き手としては自己模倣ほど悲しいものはないので、所詮「毛色が変わった」程度であっても、少しでもこれまでとは違うものを書きたくなるのだ。
 第二部の終わりなので、『原罪の庭』のように神代先生が視点人物となる。ただし事件全体は先生の視点だけでは描けないので、必然的に「三人称多視点」となるだろう。前に日記でも触れたと思うが、とみなが貴和『EDGE』シリーズ(講談社ホワイトハート)に触発されるところが大きかった。つまり犯人の視点もそこには登場するはずだが、なおかつフーダニットの興味とどんでん返しもきちんと折り込みたい。がちがちのミステリ・マニアはどうせ篠田の小説なんか読まないだろうが、だからって手抜きなんかしないからねっ。

2004.01.24

 友人が遊びに来たのでようやく「ロード・オブ・ザ・リング」の第二部「二つの塔」のスペシャル・エクステンデッド・エディションを見る。これがまた第一部にも増して「なぜここを削ったPJ !!」とシャウトしたいようなものだった。第一部ではホビット村の描写や、ぶよ水の沼地でアラゴルンが歌うところとか、ムード的に惜しすぎる場面が多かったが、今回は「これを削ったらストーリーがわかんないでしょう」といいたいようなシーンばかり。一番そう思ったのはファラミアとボロミアの兄弟に父親のデネソールがからむところ。父が兄をひいきにして弟を疎んじる、その結果弟が屈折するというのは原作にもある設定だが、原作のファラミアはそれにもめげないけなげな青年で、映画のファラミアはしっかりいじけている。いきなりいじけたファラミアを見せられて「こりゃなんじゃあっ」といいたくなったのが、復活されたシーンで父親のあんまりな言動を見せられると、彼が指輪を父の元に持ち帰って、父の鼻を明かしてやりたいと思った気持ちも理解されるのだ。ここを削ったらダメでしょう。
 他に印象に残っているシーンは、ローハンのセオドレドの埋葬シーンでエオウィン姫が弔いの歌を歌う、その激しい声とか、彼女に問いつめられてアラゴルンの本当の年齢がばれるシーンとか、破れて逃げていくオークが森に食らわれるシーンとか、レゴラスとギムリの殺した数比べとか、メリーとピピンが食料庫を発見して喜ぶシーンとか。総じて改変されていて妙に唐突な印象のあるところは、復活させたシーンを入れるとしっくり収まるのだった。だめじゃん、PJ。この映画って、SEEでないと完結してないよ。第三部の公開は目前だけど、最後のDVDが出てくれないと終わったことにならないってか。気が長いなあ。

2004.01.22

 この日記は基本的に仕事のことしか書かないと決めているのだが、毎日そうねたがあるわけではない。というわけで仕事とは関係ないが、今日はむしょうに食べたくなったのでポテトコロッケを作った。玉葱のみじん切りと合い挽き肉を炒めてふかして潰したジャガイモと混ぜる、ごくオーソドックスなコロッケ。子供の頃肉屋の店先の香ばしい香りを再現するにはラードで揚げないとならないのだが、そこまでは面倒でやれない。
 いまは『失楽の街』のための資料本を読んだり、アマゾンや古本屋サイトで資料になりそうな本を注文したり、サイトで調べものをしたりしている。有り難いことに最近のことなら、たいていのことはネットで調べられる。2001年4月の月齢と、桜の開花日とか。建築探偵も第二部ラストだから、せいぜい派手に美しくまいりたいもの。
 小説ノン2月号発売。今回はゴス・ロリで決めたライラを丹野さんがばっちり描いてくれたぞ。こりゃ必見の一枚です。
 読了本『猫はこたつで丸くなる』柴田よしき カッパノベルス 基本的にコージーと呼ばれるミステリはそれほど好きではないのだが、さすが柴田姉御はひと味もふた味も違う。そして毎度感嘆を新たにするのは、正太郎始め猫たち犬たちが「実にそれらしい」ことだ。ヒロインにして同居人桜川ひとみが、人間の男性の目にはなかなか魅力的な女性らしいのに、正太郎にいわせると身も蓋もない、というのがまたおかしい。故山本夏彦翁いわく「下男の目に英雄なし」である。

 明日は都合により日記の更新を休みます。

2004.01.21

 午前中はジャーロのプロット作りを一時間ほど。やはり今回は篠田の今までの作品でもっとも死人が多い。こういうのは嫌だな〜などと思いつつ、いまさら変えることは出来ないのでご容赦。
 午後から『失楽の街』のプロットを作り始める。話が出来てくるときの気分というのは決して快感ではなくて、なんか妙に肌がざわざわして寒気がするような、嫌あな感じがする。といっても無論不快感だけではないのだ。なんかこう、「あ〜来る来る〜〜」という、決して高揚してはいないんだが平常心ともいえない変な感じ。風邪の引き始めみたいな、って、実際風邪を引きかけているんじゃあるまいな。

2004.01.20

 友人に付き合ってデザート・ブッフェへ行ってきたので今日は仕事お休み。この友人、どうやらもっと若い頃は蒼並の直観像記憶の持ち主であったらしい。こないだ書き上げた『AveMaria』の中で、蒼は自分の記憶について考え続けているが、篠田が想像したことはおおよそ当たっているようだな、と安堵。
 読了本『アジアン怪綺・異形コレクション』光文社文庫 久しぶりに寄稿したものの、全部読み終えるのにかなり時間がかかった。つまらないからではない。読み応えが非常にあったからである。廣済堂でのスタート以来、舵取り役井上雅彦の絶妙なテーマ設定に毎度感嘆の思いを新たにしていたが、今回は28巻にのぼる異形コレクションの中でも出色の出来ではないかしらん。篠田の作品は巻頭にありますが、そこだけ立ち読みして済ませるのはもったいなさすぎますぞ。

2004.01.19

 朝目が覚めると雪。しかし通販の封筒を投函に雪の中をコンビニまで。そしたら午後には日が射していた。ジャーロ、最後まで直して108枚。送稿。午後は先のプロットを立てる。話が進んでいよいよ人死にが増えてきた。建築探偵はミステリでも出来る限り殺人が起こらないように、という線でプロットを立てているが、この話はもうたくさん死ぬのであります。作者も実のところ書いていて「うわあ、やだー」とか思いながらです。やっぱり篠田は基本的に、自分のキャラを殺すのは苦手。いじめるのは楽しいが(おいっ)。

 年末に入れておいたビデオで、宮崎駿のスタジオ・ジブリのプロデューサーを主人公にした番組を見た。それがとても面白かった。今度は押井守作品のプロデュースをするというので、監督がそのプロデューサーについて語っているのだが、「監督は自分の作り出す作品を100%わかっているわけではない。だからこそ自分以外の人間の口から、作品について語られることを強烈に願ってしまう」ということばがあって、そうか、と膝を叩く。篠田が読者の感想手紙を読んだり、パロディの同人本を読んだりしたいと思うのも、「自作について語られることを強烈に願ってしまう」からなんだなあ、と。ほめられたい、とかいうのとは少し違った衝動なんだと思う。批判されてもそれが的はずれでなければ、うん、とうなずいてしまうもの。

2004.01.18

 打って変わった上天気。封筒や切手を購入して通販の処理。ジャーロ104枚で一応ラスト。プリントして赤入れ、直し。今日は最後まで行かず。明日中に送稿したい。
 読了本 『安吾探偵控』 野崎六助 東京創元社 とにかく文体がいい。その文体だけで楽しんで読めてしまったといったら、ミステリに対しては的はずれな誉め言葉になってしまうのかも知れないが。
 『早すぎた天才 贋作詩人トマス・チャタトン伝』 新潮選書 17歳で自殺した非業の天才少年詩人の評伝。ついに彼を死にまで追いつめたプライドの高さが痛々しい。若いという字は苦しい字に似てるわ、なんて歌の文句を思い出してしまった。

2004.01.17

 昨日は仕事場に泊まったのだが、寒いと思ったら雪だ。今日も通販が4件来ていたのだが、寒くて封筒を買いに行く元気が出ず。すみませんすみません。まだ残部はたくさんありますので、どうぞお申し込み下さい。
 趣味の小説をしょうこりもなくちょっといじる。B5でページを作って貼り込みも済ませたのに、A5にしたらどうかなと思ったらむしろこちらの方が安くできる。なんとか出来るだけ安く作りたいのであります。最初は作者が自分のキャラを使ってエロティックな小説を書いてしまうなどというのは、かなりやばくていけないことではないかと思って、ひたすらこそこそ気分でいたのだが、ペーパーの通販の方でも「興味があります」と書き添えて下さる方がいらして、お遊びとしてそういう作品を楽しんでくれる人もそれなりの数いらっしゃるかも知れない、という気がしてきたのだった。「秘密の本棚」も600冊売ったわけで、こちらもその半分、300冊くらいは刷ってもいいか、などとちらちら気分は動いてしまう。刷り部数に関係があるので、そういう本が出たら買いたいから通販希望、と思われる方は、はがきなり手紙なりでぜひお知らせ下さい。
 ただし、建築探偵本編とは別もので、ただもうキャラのビジュアルイメージと、そのずれ具合を楽しんでいただきたい。本編の世界で深春と京介が恋愛関係になる、ということは、何度もいっているけど絶対にありません。篠田は恋よりも友情に高い価値を見いだすタイプの人間です。恋愛はしばしばエゴイスティックだけど、真の友情は相手のために自分の感情を殺すことが出来るものだと思うのです。だから彼らはどこまでも友愛の関係です。
 夕方やっとこジャーロの続きを書き出す。本日は91枚。明日にはラストまでたどりつくでありましょう。

2004.01.16

 『ロード・オブ・ザ・リング』の第一部スペシャル・エクステンデッド・エディションの劇場公開を見に行く。そしたらDVDよりさらにちょっとだけ場面が増えているではないか。嬉しいような悲しいような。気がついたのはギムリがボートの上で「奥方が髪を三本下さった」といってレゴラスが良かったねというようにほほえむシーン。ここ、好きなんですよ、とっても。
 同行の友人とふたり「ガンダルフが好きじゃ」といいながら見たのだが、第一部のガンダルフ、はっきりいって君のせいでかなり状況は悪化しているぞ。その1みすみすサルマンに捕まりに行く。その2雪山越えで雪崩必死の崖下で大声を出す。その3モリアの合い言葉をなかなか思い出せない。その4敵が迫っているのにながながと本に読みふける。その5バルログをやっつけたと思って油断してひっぱりこまれる。かなり、おいおいでありましたな。
 来週は第二部を見に行くぞ。しかしDVD買ったのに見る暇がない。わーん。 

2004.01.15

 朝一ジムから戻るとペーパーの通販が来ている。とてもたくさん来ている。ちびちび転送してくれと行ったのに、どう見てもまとめて来ている。私は小心者である。読者を待たせていると思うとそれだけで動揺する。場合によっては逆上する。読者から「早く続きを書け」といわれと食ってかかるくらいには逆上する。しかし異動した担当ははっきりいって日本語が通じないので食ってかかっても仕方がないので、とっとと通販の作業をする。午後新しい担当が来る。あまりにも異動してきた担当が使い物にならないので、上司に泣きついた結果担当が変わったのである。新担当は日本語がちゃんと通じる。たぶん他のことも通じるだろう。読者のためにもまずはめでたい。
 というわけで今日は仕事も出来ないまま通販を処理。40冊。今日まで講談社に到着したものは全部発送を終えた。やっぱり通販は心臓に悪い。お手紙には出来るだけ返事を書いたが、「秘密の本棚が欲しい」というのだけはご容赦。同人出版は印刷部数がそのままコストに跳ね上がる。800円で販売した上記本も、注文が増えて小出しに増刷したら最後は売るほど赤字が増える状況となった。30部刷れば原価が一冊1500円になってしまう。だれもそれだけお金を払う気はしないでしょう。あきらめて下さいまし。

2004.01.14

 やたらと寒いせいかどうも体調がいまいち。コーヒーを飲みすぎて腹がおかしい。というわけで、一日がんばったけど今日は72枚まで。

2004.01.13

 今日はつれあいの誕生日なので池袋へプレゼントを買いに行ってとっとと戻る。午後は仕事、ジャーロの続き。44枚まで。まあ一応、予定のラインは走っている、といっておこう。しかしほんとに5回で終わるのかな。いや、終わらないとまずいんだけどね。
 ペーパーの通販、まったく届かない。講談社でたまっているのか、応募してくれる人が誰もいないのか。送ったけど来ないぞ、という人は、担当に確認しますのでいましばらくお待ち下さい。
 読了本 『バルーン・タウンの殺人』 妊婦探偵ものでSFミステリ。同じ妊婦がらみでも青井夏海さんの『赤ちゃん』シリーズとは雰囲気が全然違って、こちらはクールでフェミニスティック。

2004.01.12

 「君子の交わりは淡きこと水のごとし」なんて故事成語がふと思い出される今日この頃である。当然のごとく君子ではない篠田は、しょっちゅう人間関係で失敗をやらかしては、「ああ、また水と反対のことをしてしまった」などと嘆くのだが、昔にしたって君子がやたらと多かったはずもなく、つまり人間関係で悩む人は昔からたくさんいたってことでありましょう。
 昨日は姉と有明ビッグサイトの「骨董ジャンボリー」というイベントへ。コミケ関連以外で行ったのは初めてだ。木目込み細工をやる姉の友人はせっせと端切れ布を見てまわり、姉は好きな馬の細工金具や裁縫箱を購入、篠田はアンティークアクセサリーの店でトルコ石と銀のアクセサリを。篠田はあまり物欲はない方なのだが、こういうところへ行くとやはり「金があればまだ欲しい物はある」と思ってしまうね。俗人だなあ。
 今日はやっとこすっとこ仕事へ。ジャーロ連載『すべてのものをひとつの夜が待つ』の第三回。しかし前回を書いてから時間が経っているもんだから、まったく頭はそこから離れていて、容易に戻らない。どうにかこうにか17枚書く。殺したくない人間を、殺さなくてはならなくなりそうだ。でも今回は止めておこう。
 読了本 『総統の子ら』皆川博子 ほんとに読むのがきつい歴史小説 しかし皆川先生、取材で戦車まで乗られたそうだ。なんてナイスな。
 『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂重太郎 文章がとてもいい。きれいにだまされたけど、読後感が悲しい。それと篠田は動物虐待という犯罪は、殺人より嫌いなんで道行きもかなりしんどかった。

2004.01.10

 『AveMaria』の原稿をちょこちょこと手直しして、フロッピに落とす。そうしたらまた急にミスを見つけてやり直しになったり、どうも二度手間が多い。しかしどうにかあとがきも含めて終えて、趣味の方も一段落したので、これでやっとジャーロ連載『すべてのものをひとつの夜が待つ』第三回を書けるのじゃ。
 しかし明日は姉と有明に、骨董のイベントへ行くので仕事はほぼ休み。日記もお休みいたします。寒さ厳しい折、日記を見に来て下さる皆様、お身体大切にお過ごし下さい。

2004.01.09

 『AveMaria』のあとがきを書く。あとがきを書くのってわりと好きなのだ。それと本日は今年最初のマシン・ジム。体重が落ちないよ、間食止めたのに。仕事はあんまりしていなくて書くことがありません。実を言うと同人本の版下を作っていたのだ。原稿用紙にプリントアウトを貼り付ける。でも読み直すとまたあちこち直したくなって、結局おまえはまだ趣味にかまけとるんかい。すみません。

2004.01.08

 今日はやっと仕事。取りあえず『魔女』のサイン本を作製。1月17日オープンの佐賀県伊万里市伊万里駅前積文堂書店様で売られるそうだ。この日記を読んでいる篠田の読者で、『魔女の死んだ家』をまだ買っておられない方がいらしたら、ぜひ。って、なんかすごく話がミクロ。増刷広告は無事担当から送ってもらえました。いつも広告というと講談社ノベルスの中のひとつなので、今回のように他の本に混じって載せてもらうとまた雰囲気が違って嬉しい。
 その後『アベラシオン』の念校を、前回の訂正箇所だけチェック。しかし三カ所も見落としがあって、ちょっとやな感じ。こういうことで信頼がおけないのって、どうも嫌だ。ともあれ送り返してしまったので、この作品に関しては作者の手を離れたことになる。どうか、きちんとした本になってくれ。
 さて、そろそろ頭を切り換えてジャーロの続きを書かなくては。

2004.01.07

 趣味の小説をやっと書き終える。やれやれである。講談社から『アベラシオン』の念校が来る。全部読み返す気力はないので、前回の訂正箇所だけ確認するつもり。同封されて年賀状4通とペーパーの通販が11通。封筒や切手、セロテープなどを買いに外出。やっぱり通販はわりと手間である。この後もペーパーを出すとしても、コストが上がるのは覚悟で200部にして出来るだけ売り切るようにするしかないだろうなあ。とかいいながら同人本用の原稿を書いてるもんなあ。上記「趣味の小説本」は、イベントで売った残りは本屋に委託、というのを利用するやもしれず。ひとりで通販していると、ほんと仕事する暇がなくなってしまうのです。
 『魔女』のサイン本の依頼。九州に新規開店する書店にまとめて出すらしい。しかし児童書コーナーを充実させたいから、というような手紙がついていて、はて、児童書にサインはありかなあ、などと首をひねる。子供は別に喜ばないよね。
 ところで12月に『魔女』の増刷が出たとき、新聞広告が出たらしいのだが、篠田はそれを見ていないのだ。うちは毎日新聞で、毎日には文芸の広告はしばしば載らない。どなたか、それが何日に出たか知っていたら教えて下さい。担当さんに聞いたけど返事がないんである。まさか、まだ休みじゃないよね。

2004.01.06

 毎日こう書くのも社会人としてどうよ、自分、と思いながら今日も一日楽しく趣味の小説を書いてしまった。時代考証もへったくれもあったもんじゃない、なんちゃってナチ物だったりする。そして基本的にべたなラブストーリー。セックス描写はありつつも、本音はロマンティック・ラブっつーわけで、死んだ恋人が老いた男の死の床に迎えに来る、なんてのを平気で書けてしまうのも男・男物ゆえ。え、理解できないって。ほっといて。でも明日には書き終わる。終わらないとね、いい加減に。
 読書は皆川博子先生の『総統の子ら』集英社を読んでいるところ。こちらはなんちゃってではないナチ物といいますか、戦前から戦争、そして戦後に入るまでのドイツ社会を、幾人かの少年を主人公に描ききった大作です。ナチというと悪役の代名詞で、説明なしに悪にしてオッケーという感じがあるけど、そのときどきにいる人間にはそれなりの理屈や理想があったし、悪を望んで悪を行ったわけではない、という物語。ただまあヒトラーがやらかしたことは人間の中における悪のひとつの極限ではあったわけで、そのことはもちろん忘れてはいかんと思うのでした。善を望みながら結果的に悪になってしまうというのは、確信犯的な悪よりもっとやばいですよね。

2004.01.05

 今日も一日趣味の小説書きだったりする。これを書き終えないと仕事が始められないので、やたらめったら書いている。イラストを描いてくれる友人に原稿を廻さないとならないから。趣味の場合仕事ほど時間をかけずにやる、というのもひとつの原則であります。というわけで、30字かける27行かける2段のページを15ページくらい書いてしまったりして、単純計算だと400字換算60枚。おいおい。大丈夫か、自分。まあ、肩はごりごりに凝っております。

2004.01.04

 この日誌は仕事日誌なので、基本的に仕事をしていないときは書かないことになっているのだが、あんまり長いことご無沙汰なのもどうか、というわけで少しだけ。なぜ仕事をしていないかというと、趣味の小説を書いているから。今年の五月に有明で売る予定の耽美小説、とこの際はいっておきましょうか、それを書いております。別に本来的な意味の耽美、とはいえない気もするのだが、ボーイズラブっつーことばもあんまり当たらない気がするもんで。まあ、男と男の恋愛小説ですわ。そういうのが嫌いだとか、興味ないとか、キモチワルイという人は、さらっと気にせずに流して下さい。好きな方だけ読んでね、という作品です。だから同人本です。
 読了本 『ヘビイチゴ・サナトリウム』 ほしおさなえ 鮎川賞最終候補作。達者な青春小説だと思うけど、ミステリとしては薄味というべきか。謎の焦点になっている女性登場人物が、最後まで読んでもどういう人間だったか腑に落ちない、という点で、ミステリとしても青春小説としても弱い気がした。

2004.01.01
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今風に申せば「あけおめ」で「ことよろ」。ただし小説家がこんなことばを使うわけにはいきませんな。
 12/29のコミケには多数ご来場下さりありがとうございました。差し入れもたくさん頂戴し、申し訳ないような嬉しさです。それにしても300部は多かったね、というわけで残りを上記の要領で通販することにしました。これを定期刊行化するかどうかは、ちょっと微妙です。せめて年に一度くらいは、出したいと思うのですが。
 正月は家でのんびり、がいつもの篠田。しかし明日は仕事場に行って、趣味の小説を書きます。五月のイベントで小説本を出すことに決まった上、2月いっぱいに入稿すれば割引だというわけで。
 これを書き上げたら建築探偵本編。あ、その前にジャーロの連載を書いた方がいいか。とにかく今年はまた建築探偵2冊刊行ですから、読者の皆様よろしくです。